復旧・復興どこまで… 竜巻とみられる突風被害から半年 いまだ爪痕の残る静岡・牧之原市
布引原地区 一人暮らしの女性は…
須藤誠人アナウンサー:「牧之原市東萩間の上空です。かなり広い範囲にわたって突風による被害と見られます大きな影響が出ているようです」
5月1日、竜巻とみられる突風被害を受けた牧之原市。家屋の屋根がはがれたり、壁に車が衝突したりおよそ140軒の建物が損壊しました。
白鳥衛記者:「牧之原市布引原地区です。突風から半年が経ちましたが、現在も住宅にはブルーシートがかけられています」
この家の住人、遠藤香苗さん(75)。突風の影響で屋根や窓が激しく損傷しました。家の中は雨や泥の痕跡が未だに残っていますが、その一角を片付けてこの家に住み続けています。
遠藤香苗さん:「不便は不便だね。お勝手だってガラス割れてるし、夏は暑かったし風通しはないし」
雨漏りも続いており復旧にはほど遠い状況。しかしこの家には思い入れがあるといいます。
遠藤さん:「お父さんと苦労してうちを建ててね、昭和49年の一番金利が高い時ね、の時建てたもんでね、すごいあれだけんが、47年になるもんで、来年の春になるとまんまる47だもんね。お父さん亡くなって19年」
47年住み続けた思い出の自宅でしたが、被害の大きさから解体せざるを得ないことに。ただ牧之原市が廃棄物の処理費用を負担するのは12月までのため、手続きを急いでいますが現在、解体の見積もりさえ終わっていないといいます。
遠藤さん:「まだ見積もりの金額はまだ聞いてない。いくらになるだかね。みんな経験したことないでね。みんな高いと思うよって、あんま高いとつらいなと思って。手続きして3カ月もかかれば、もう先お金建て替えとかないといけない。みんなそう言ったよ。お金がなくちゃ何にもできないって」
突風の被害から半年。今でもあの日のことは忘れられないと言います。
遠藤さん:「ホント半年経っただよね、きのうでね。きょう2日だもんね。あの時のことはいつも思い出すよ。あの時ね、うちにいなくて良かったな、亡くなってたかもしれんとか。そのことは思い出すよね」
須々木地区 「奇跡のもろみ」の醤油店は…
一方、被害の大きかった布引原地区からおよそ15キロ離れた牧之原市須々木でも被害がありました。
株式会社ハチマル 社長
鈴木義丸さん:「当時はホントに右も左も、がれきの中で何から手を付けていいか、全くわからない状態で、本当にボランティアの皆さんに助けていただいて、いろんな人に助けていただいて、ホントなんとかここまで来れたなというふうに思っています」
醤油を製造・販売をする会社を経営する鈴木さん。3月から醤油をもろみから作り始めていましたが、その矢先突風で醤油やもろみを保管していた蔵が倒壊しました。
鈴木さん:「倒壊した建屋の解体作業が、ちょうど先週いっぱいで終わりまして、こういった形で最後整理をしているところですけど、なんて言うかようやく再建へのスタート地点が見えてきたかなぐらいな状況になってます」
突風で倒壊した蔵は築150年以上。江戸時代に建てられた歴史ある建物でした。しかし倒壊で中のほとんどのものが壊れ、出荷前の醤油が
廃棄となるましたが、その中でもろみの桶1つだけが無事に見つかりました。この「奇跡のもろみ」から再び醤油作りを始め、しだいにに以前の味に近づいていました。
白鳥記者:「あ、お醤油ですね」
鈴木さん:「まだまだこれね、今1日1日で味が変わってる」
白鳥記者:「来年の10月11月に」
鈴木さん:「そうですね。本当に楽しみ。それまで無事に育てて、おいしい醤油にしていきたいと思っています」
醤油は来年10月に完成予定で、販売はせずまずはもろみの材料を提供した人に渡す予定だということです。