「新幹線のいす」はハウマッチ 『匠の技』でよみがえる家電 市場規模拡大するリサイクルショップのいま 静岡市

 消費者の生活防衛意識が強まる中、リサイクルショップの市場が拡大していると言います。普段使いの物から、コレクター品まで幅広く取り扱うリサイクルショップがなぜ人気なのか、その舞台裏を取材しました。

画像: 「新幹線のいす」はハウマッチ 『匠の技』でよみがえる家電 市場規模拡大するリサイクルショップのいま 静岡市

新幹線のいすはおいくら?

 静岡市駿河区にあるリサイクルショップ、ハウマッチ・ライフ。衣料品やテレビ、パソコンなど、さまざまなリユース品を取り扱っています。中には、こんな商品も。いったい何か分かりますか? 実は新幹線のいす。お値段は7万9800円。
 

画像1: 新幹線のいすはおいくら?

 ハウマッチ・ライフ静岡産業館西通り店の土屋貴店長にどんな掘り出し物があるのか。教えてもらうと…。

画像2: 新幹線のいすはおいくら?

栗田麻理アナウンサー:これですか。新品の半額以下って書いてありますけど。
土屋貴店長:2018年製の三菱の冷蔵庫になります。
栗田アナ:これ中古品ってことですか。
土屋店長:そうです。
栗田アナ:中見てもいいですか。
土屋店長:どうぞ
栗田アナ:本当に中古品ですか。臭いもしないですね。無臭です。
土屋店長:中を水洗いしているので清掃は行っています。

この時期は大学生が多い

画像: この時期は大学生が多い

 こちらの店舗では、5000円以上の家電には6カ月の無料保証を付けていて、不具合があった場合は、返品に対応しています。

静岡市 80代男性:「掃除機を見に来たの。そんなに悪いものは置いていない。テレビを1つとってもさ、新品を買いに家電量販店を見て回るでしょ。そこで見ていいなと思ったら、頭の中に入れてこういうところに来て同等品を買うわけよ」

静岡市 30代男性:「ほぼ新品に近い状態でも安く手に入ることもあるので。そういうのが魅力ですね。ここの。物価が上がっているので。こういうところを利用するのがいい感じですね」

 また、未使用のアウトレット家具も多数販売していて、3月や4月は、大学生が親と一緒に来て購入していくことが多いそうです。

年々拡大する市場規模

画像1: 年々拡大する市場規模

 リユース業界の市場規模は年々拡大していて、2021年におよそ2.7兆円に。2025年には3.5兆円にまで拡大すると見込まれる、右肩上がりの業界です。買い取りの査定のため店を訪れた男性。5月に結婚を控え、荷物の整理をしようと売りに来たそうです。

画像2: 年々拡大する市場規模

30代男性
栗田アナ:何を売ったのですか
男性:いらない電子辞書とか使っていないメモリーカード。けっこういろいろありますけど。小さい棚とか。
栗田アナ:いくらで売れましたか
男性:今回は1400円ぐらいですけど、捨てたらちょっともったいないと思いますので、できれば自分がいらないものも他の人がいるかもしれない。

家電の売り上げが好調

 店内に並んでいる商品はおよそ2万2000点。さらに店の裏側をのぞいてみると…。

ハウマッチ・ライフ静岡産業館西通り店 土屋貴店長
栗田アナ:ここは?
土屋店長:バックヤード兼倉庫になっています。
栗田アナ:たくさん積まれていますけど、これはリモコンですか?
土屋店長:リモコンもまとめて買い取って、テレビだけで来たものにリモコンを付けて売るとか。当店のヤフーオークションのページからそういった商品も販売しておりますので、ちょっと専門的なものとか店頭で売りにくいものをそちらで販売しています。

画像: 家電の売り上げが好調

土屋店長:「(店舗)全体の売り上げですと昨年比で約110%の売り上げ。家電に関しましては昨年比で116%の売り上げとなっております。一番の理由はコロナ禍が明けてきたこと。それによって引っ越しで動く方とか単身者の方でも新しく静岡に住む方が増えてきたんじゃないかなと思います」

『匠の技』で

画像1: 『匠の技』で

 価格が手ごろで、品ぞろえも豊富な中古家電。静岡市にある別のリサイクルショップでも、中古家電の販売に力を入れています。

ピックアップ静岡登呂店 森本店長:「当店に来るお客様に関してはファミリー層の方よりも単身のお客様が多いので、単身用の商品のバリエーションを増やして営業をしております」

 特に充実しているのが、縦型の洗濯機。ひとり暮らし向けとして売れ筋の4.5キロから5.5キロのものが多く並んでいます。商品にはこんな表示が…。

「分解クリーニング済み」

画像2: 『匠の技』で

洗濯機、冷蔵庫を分解洗浄

画像1: 洗濯機、冷蔵庫を分解洗浄

ピックアップ静岡登呂店 森本大店長:「『匠の技』という専門部署を設けまして洗濯機、冷蔵庫の分解洗浄を行っております」

 中古家電を新品同様に“再生させる匠”がいました。洗浄を担当するのは、72歳の南條博司さん。匠の技で“商品を蘇らせる達人”です。分解洗浄歴は7年ですが、かつてはJRの技術職員として、国鉄時代から鉄道の保守作業を47年間担当した、まさにメンテナンスの達人です。

 この日作業するのは、2017年製の洗濯機。外見からは、汚れはほとんどないように見えますが、洗濯槽を外してみると…。

画像2: 洗濯機、冷蔵庫を分解洗浄

分解洗浄の匠 南條博司さん:「びっしり付いているので。(家庭の)洗剤で洗ってとれるもんじゃない」

 洗濯機の内側には、どろどろになった柔軟剤がびっしり。洗濯槽も水あかやカビで黒ずんでいました。このこびりついた汚れをエアコンプレッサーを使って、落としていきます。

画像3: 洗濯機、冷蔵庫を分解洗浄

 匠はさらに分解を進めます。

南條さん:糸くずフィルターの中側もこんなに汚い。
Q.糸くずフィルターの裏側が実は汚れがたまっている?
南條さん:そうです。糸くずフィルターの中が汚い。

作業開始から2時間後。

 達人の手によって磨かれた洗濯機は、見違えるほどきれいに。新品同様の輝きを取り戻しました。

画像4: 洗濯機、冷蔵庫を分解洗浄

 部品を組み立て終えると、洗濯機の動作を確認します。

南條さん:「このあとは全部の動作確認ですね。一通り、初めから最後まで全部異常なくできるかどうかをやります。キュルキュル音とかガリガリ音とか異音が。一番(最初は)音から始まる。故障は」
Q.昔の経験が生きている?
南條さん:「もう体に染みついたもんですからね。絶対に事故を起こさないとか。けがさせないとか。落とさないとかね。しつこいくらいやっていますね」

画像5: 洗濯機、冷蔵庫を分解洗浄