畜産農家の頭を悩ますエサ代の高騰 半世紀続く農場継いだ男性…難しい局面で気づいた「価値」 静岡・掛川市

 食品の値上げが続いていますが、畜産業界ではエサ代が高止まりになっています。そうした中、静岡県掛川市で半世紀以上続く農場を継いだ男性に話を聞きました。キーワードは、品質と価値です。

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畜産農家の頭を悩ますエサ代の高騰 半世紀続く農場継いだ男性…難しい局面で気づいた「価値」 静岡・掛川市

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80頭の豚を育てる農場…配合飼料の価格が1.5倍に

 掛川市沖之須で56年続く大石農場。およそ80頭の豚を育てています。大石農場では、1カ月でおよそ4.5トンのエサを消費しています。こうした畜産農家の頭を悩ませているのが、エサ代の高騰です。

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 こちらは、配合飼料の工場渡価格の推移。2020年までは1トンあたり6万7千円前後でしたが、おととしに入ってから徐々に値上がり、去年7月には一気に1.5倍の10万円台まで上昇しました。

 ウクライナ情勢による穀物価格の上昇などが理由とみられ、国は畜産経営への影響を緩和するため、価格安定制度の発動や緊急対策事業として、1トンあたり6750円の補填交付を実施しています。

 ただ、大石農場ではおととしと比べておよそ3割「エサ代」が上がった状態が続いているそうです。

経営という観点だけでない「価値」は…

おおいしハム 大石善弘社長:「ソーセージを作る機械。ここにお肉を入れて、細かくして乳化させていく。そのまま出来た物を機械の中に入れる」

 大石善弘さん43歳。本場ドイツの製法を学び、大石農場で育てられた豚をハムやソーセージに加工して販売しています。

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 去年の春、1割程度の値上げに踏み切りましたが、今後さらなる値上げの可能性もあるとしています。

 こうした中、実は大石さん、ことし1月に父・照雄さんから大石農場を継ぎました。

父親と息子
父 照雄さん:「もっとね、前進して精進して、また良いものを作ってもらいたい」

Q.言葉を聞いてどうか

善弘さん:「自分たちはね、おいしい物、良い物を作らなければ、まずはいけないと思っている。良いものを作り続けるためにも、もちろん商品だけじゃなくて、原材料になる豚なんかも、成績よくていい豚を作っていきたいと思う」

 難しい局面でも養豚場を継ぐことにした理由は、経営という観点だけでない「価値」に気が付いたからと言います。

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おおいしハム 大石善弘社長:「うちの財産ってなにかと思った時に、養豚をやっていることであって、今新規に養豚、畜産は開業するのがすごく難しい時代になっている。父は儲かってないけど、これをやって価値があるんじゃないのかなっていうのは思った」