【とびっきり!しずおか特集】コロナ禍で進む「キャッシュレス決済」 老舗小売店から役場まで 課題は利用率の向上

新型コロナの新規感染者が増え続ける中、人と接触せずに支払いができることから注目されている「キャッシュレス決済」。大規模店舗では既に浸透していますが、規模の小さな店でも導入が進んでいます。

画像: 【とびっきり!しずおか特集】コロナ禍で進む「キャッシュレス決済」 老舗小売店から役場まで 課題は利用率の向上

老舗食品店でも導入…コミュニケーションのひとつ

清水駅前銀座商店街で80年近く営業する食料品店、次郎長屋。店主自らが北海道に出向き買い付けしている昆布や全国から仕入れた15種類のみそが人気の店です。

次郎長屋店主:「こちらがキャッシュレス決済の端末となります」

こちらの店では2002年にクレジットカードでの支払いを導入。さらに3年ほど前からは、PayPayも使えるようになりました。

次郎長屋
西ヶ谷健志店主:「うちはこういう昔ながらの食料品店なので、お客様のほとんどは現金を使っていたが、いろんな方法を準備するのはサービスの一環としていいのではないかと思って、いろんなものを取り入れた」

「キャッシュレス決済」とは、クレジットカードや、Suicaなどの交通系ICカードを使ったり、スマートフォンでQRコードを読み取ったりするなど、現金を使わずに支払う方法のこと。キャッシュレス決済を導入したメリットは大きいと話します。

画像: 老舗食品店でも導入…コミュニケーションのひとつ

次郎長屋 
西ヶ谷健志店主):「コミュニケーションのひとつとしてのツールとしてもとても役立っていると思っている。現金に限らず最後の料金をいただく時はすごくコミュニケーションの場としてはとても大切」

こちらの店では、Suica(スイカ)など交通系ICカードでの支払いを導入した2016年にはキャッシュレスでの決済額はわずか1.1%でした。それが、去年は16.4%と大幅に増加しています。

コロナ禍だからこそ店にも客にもメリット

さらにコロナ禍だからこそ、キャッシュレス決済は重要だといいます。

次郎長屋 
西ヶ谷健志店主:「私とお客様。私を守ることもできるし、お客様にも迷惑をかけずに気持ちよく帰っていただくということは非常にメリットが大きい」

画像: コロナ禍だからこそ店にも客にもメリット

静岡市民 30代:「きょうはPayPayで支払った。最近は子どもが出来てから財布を出すのが結構手間になったのでキャッシュレスだとすごい楽で、すごい使っている」

静岡市民 70代:「PayPayも使うし現金も使う。場合によって(使い分ける)、現金で払ってそれで終わりにするというものいいが、やっぱりカードを持っていれば、それなりに使ってポイントが貯まっていくから」

「導入手続き」や「端末の使い方」など課題も多い

一方現金派は…。

Q.きょうの支払いは?

静岡市民 80代:「僕は嫌いだ。あの今のやつ(キャッシュレス)。性に合わない、古い人間だから。衛生的に触らないで今の時代にはいいかもしれないが、なんか味気ないな。」

商店街を対象にした、おととしの県の調査によると、クレジットカードやスマートフォンの決済などキャッシュレス決済を導入した店舗が「ある」と回答した団体は88.2%。4年前の前回調査(2018年45.2%)に比べおよそ2倍に増えています。一方、まだ導入していない店にその理由をきくと、「端末等の使い方に不安がある」が55.2%、次いで「導入する手続きが面倒である」が51.7%と課題も見えてきました。

画像: 「導入手続き」や「端末の使い方」など課題も多い

次郎長屋 
西ヶ谷健志店主:「結局何かトラブルがあった時に教えてくれる人がいない。そこをキャッシュレス会社がもっともっと使いやすいようにしてもらえれば。お店の人たちはもっと簡単に導入できるだろうし、難しい操作もいらずに高齢者の商店主も導入できると思う」

浜松市役所など行政も積極的に導入

民間で進んでいるキャッシュレス決済ですが国もこれを推進していています。大阪万博が開催される2025年までにキャッシュレス決済の比率を40%にまで引き上げることを目標としています。(2020年は29.7%)そんな中、県内でもこんなところで利用できるようになりました。

吉川誠記者:「浜松市役所の窓口です。こちらでは、住民票や印鑑登録証明書などの発行手数料に電子マネーなどのキャッシュレスで支払えるというのです。」

浜松市は、去年12月から市役所をはじめ博物館など14の施設でキャッシュレス決済を導入。住民票の写しや印鑑登録証明書・戸籍謄本など、ほとんどの証明書の発行手数料をキャッシュレスで支払えるようになったのです。

画像: 浜松市役所など行政も積極的に導入

浜松市中区区役所区民生活課 
鈴木速人 課長補佐:「コロナ禍の中で非接触による決済の需要が高まったことと
客の利便性の向上の両面から導入した。会計処理の簡素化と正確さ、職員の負担軽減につながる」

市は、おととし12月からおよそ1カ月半にわたり一部窓口でのキャッシュレス決済の実証実験を実施。昨年末から本格導入したのです。

浜松市中区区役所区民生活課 
鈴木速人 課長補佐):「現金の受け渡しがなくて便利とか、感染症予防になるという声をもらって継続してほしいという要望をいただいた」

利用率は1割…まだまだ「現金派」も

では、実際にどれくらいの市民が利用しているのでしょうか。こちらの窓口を利用したのは1時間で20人ほど。そのうち3人が支払いをキャッシュレスにしていました。

浜松市民 キャッシュレス決済利用 60代:「それはすごく便利でいい。最近は使っている。クレジットカードとiD、d払いなどを使っている。釣銭とかじゃりじゃりと細かいお金を準備しなくていいのでその点はすごく楽」

一方で、こんな声も。

画像: 利用率は1割…まだまだ「現金派」も

Q今までキャッシュレスを使ったことは?
浜松市民 現金での支払い 80代:「ありません。使わなくてもいいから使わない」

Q現金の方がいい?
浜松市民 現金での支払い 80代:「そうですね。目で見えるしね、その時の感覚で」

Q今後も現金で?
浜松市民 現金での支払い 80代:「はいはい」

浜松市中区区役所区民生活課 
鈴木速人 課長補佐):「キャッシュレスが進むことによって窓口の混雑もなくなることも期待しているが、今現在1割ほどの利用者なので、これが広がっていけば混雑が解消されると思っている」

浜松市では来年度以降も利用できる施設や決済の種類を増やしていきたいとしています。今後もあらゆる場所でキャッシュレス化が進みそうです。