将棋の名人戦第2局その裏側に迫る 名人戦はなぜ静岡市で開催されたのか? 「おやつ」はどのように決まったのか?
(27日浮月楼)「おはようございます。
将棋の藤井聡太六冠が渡辺明名人に挑戦する、名人戦の第2局が27日、28日の2日間、静岡市で行われました。
決着がついたのは、28日の夜。
藤井六冠が、87手で、渡辺名人に勝利しました。
将棋界の8大タイトルの中で、最も歴史のある「名人戦」の対局が、静岡市で開催されたのは、いったいなぜなのでしょうか?
そして、対局同様大きな注目を集めている「おやつ」。
2人は、どんな「おやつ」を食べたのでしょうか?
今週の「ニュースの現場」は、静岡が舞台となった将棋の「名人戦」第2局に迫りました!
前夜祭
今週水曜、対局の舞台となる静岡市葵区の料亭「浮月楼」で前夜祭が行われました。
藤井聡太六冠:
「3週間ほど前に第1局があったが、その中で名人戦という舞台で対局できることの喜びや楽しみな気持ちを本当にとても強く感じた。その気持ちを持って2日間、盤上に集中してよい将棋にできるよう頑張りたい」
渡辺明名人
「あしたからの第二局も、自分自身も満足できるような内容の将棋を目指して頑張っていきたい」
将棋ファンを前に、意気込みを語った藤井六冠と渡辺名人。
「名人戦」は7番勝負で、今月5日と6日に、東京で行われた第1局は、藤井六冠が勝利しています。
そもそも、なぜ「名人戦」が、静岡市で行われたのでしょうか?
静岡市文化振興課と徳川家康
伊地健治アナウンサー:
「今回、大きな注目を集めている将棋の名人戦。その誘致を担当しているのが、静岡市役所の文化振興課、こちらの皆さんなんです」
静岡市 文化振興課 福原綾花 主査:
「名人戦に関しては、約1年前から誘致活動を行いまして、将棋(の対局)を開催するにふさわしい地であるということを、市長などがトップセールスを行って開催までもってきた」
静岡と将棋の関係を語るのに欠かせないのが、徳川家康の存在です。
家康は、実力のあった将棋指しを駿府城に呼び、対局させていました。
これが、「将棋名人制度」の発祥と言われています。
そこで静岡市では、9年前から「名人戦」や「A級順位戦最終局」などの誘致を行っているんです。
また、文化振興課は、対局の誘致活動以外にも、主催者や将棋連盟との連絡・調整などを担当。
会場となる浮月楼の部屋割りも行うそうです。
静岡市 文化振興課 福原綾花 主査
「名人戦という大きな大一番の勝負になりますので、対局棋士の方がなるべく鉢合わせないように、お部屋を分ける、朝食会場が重ならないようにするなど、
そういった細かい配慮もしております」
Q:やっぱり対局前に鉢合わせしたり、偶然でも会ってしまうというのはあまりよくない?
「そうみたいです」
第2局初日
27日午前9時、名人戦第2局が始まりました。
対局が始まると、先手の藤井六冠は、いつも通り「初手・お茶」から。
「名人戦」は、先に4勝したほうがタイトル獲得となり、藤井六冠は、史上最年少の名人獲得と、「七冠」の獲得を、渡辺名人は、「名人」のタイトル4連覇をめざします。
初日は、午後6時半すぎ、藤井六冠が、43手目を封じて、対局を終えました。
2人が選んだおやつ「茶っふる」
対局とともに、毎回将棋のタイトル戦で注目を集める「おやつ」。
今回の名人戦では、静岡市文化振興課が、「おやつ候補」を決めるコンテストを実施。
市民投票で8つの「おやつ」を選んでいました。
初日の午後の「おやつ」に、藤井六冠と渡辺名人が選んだのは…。
なんと、2人とも同じ「おやつ」を選択。
「茶っふる」の本山茶と、静岡いちごのセットです。
お店を取材しました。
伊地健治アナウンサー:
「初日の対局で藤井さん、渡辺さん、2人が食べたというおやつ「茶っふる」ですが、きょうはお店、開店からお客さんが途切れることがありません。そして、ショーケースを見ても、もう売り切れになっているものもあるのですが、開店から1時間半で、なんと100個近く出ているということです。ちょうど今、本山といちごワッフルが補充されました。今ですね、同時生産しながら、またなくなった2種類を補充しています。大変な人気です」
棋士が食べた「おやつ」を売る店には、同じものを食べたいという人が殺到。
県外からのお客さんが、直接店にくるケースも多いといいます。
「茶っふる」は、28日1日で、350個売れたそうです。
Q茶っふるが選ばれた、2人に選ばれたと聞いた時は?
前田金三郎商店 前田冨左男社長:
「びっくりしたというか、連絡があった時に、2つご用意くださいって言われたんですけど、最初意味が分からなくて」
「どういうことですかって聞いたら、お二人とも同時で選ばれたんですってことを聞いて二度ビックリ」
そんな「茶っふる」を、私もいただきました。
伊地健治アナウンサー:
「茶っふるということで、ほんとにワッフルになっているんですけども、もう生地がふわふわで柔らかいです。さあ、この本山、どんなお味なんでしょうか」
「うん、あら、甘さ控えめでおいしいです、だけど甘く煮てあるお豆がいいアクセントになって、本山茶の抹茶を使っているそうですが、その苦みもさわやかに口の中に広がる感じがして、疲れが吹き飛ぶ感じが確かにありますね。」
前田さん:
「そうですね、ただ甘いだけじゃなくて、苦みとかもあると、刺激を受けて、生き返る感じがしますよね」
伊地健治アナウンサー:
「やっぱり棋士の皆さんって、相当脳を使っていると思うのでこういう甘い物というのは大きな影響があるんですかね」
前田さん:
「そうですね、いろいろ頭を使っていらっしゃるので、
(甘いものを食べて)頑張っていただきたいと思います」
伊地健治アナウンサー:
「僕も、そんなに普段頭を使っているわけではないんですけども、すごく今、脳がすっきりした感じがします!」
対局2日目 将棋ファンは大盤解説会の会場に
そして、対局2日目の28日。
「封じ手は1六香」
挑戦者の藤井六冠の「封じ手」が開封され、対局が再開しました。
伊地健治アナウンサー
「大盤解説会が行われる、ここ静岡市民文化会館には、
事前にチケットを買った200人の方に加え、当日券を買った将棋ファンの皆さんが詰め掛けています」
愛知県から70代:
Q:きょうはどちらから?
「愛知県です」
「きのうから来ています」
Q:静岡に泊まって?
「そうですね」
Q:タイトル戦にはよく来られる?
「将棋が好きなので、またそれと藤井聡太さんも好きだから私は(藤井六冠を)尊敬しています。それぐらい素晴らしい方だと思う」
神奈川県から40代:
「渡辺明名人が好きなので、応援したいと思って来ました」
「ちょうど早めにゴールデンウィークの休みが取れたので神奈川から来ることにしました」
対局の舞台となった、浮月楼には、
すでに多くの問い合わせが寄せられていると言います。
浮月楼 若女将 久保田暁子さん
「今回も(会場に選ばれて)光栄ですし、うれしく思っています。順位戦・名人戦を通して浮月楼のことを知った方からの問い合わせもありますし、先生と同じメニューを食べられるのか、先生が使った部屋や対局でした部屋を見られるのか、使うことができるのかという問い合わせが多いです」
対局終了
対局が終了したのは、午後8時前…。
藤井六冠が、渡辺名人を、87手で破り、2連勝。
藤井六冠の2勝0敗となりました。
藤井六冠:
「本局は苦しい勝利だったと思うので、しっかり振り返ってまた次になんとか繋げられたらと思います」
渡辺名人:
「中盤で ぽっきり折れてしまったので、(第3局は)そのようなことがないように やっていきたいと思います」
史上最年少「名人」と「七冠」獲得をかける藤井六冠。
第3局は5月13日と14日に、大阪府高槻市で行われます。