「寝過ごした酔っ払い」の夢も叶う 電車で「お泊まり会」…サプライズイベントも 静岡・富士市
◆東京からの参加者(50代):「普段、駅で寝られるようなことなんてないので」
◆東京からの参加者(30代):「電車で泊まれるってところですかね」
電車に泊まる!?
杉沢洋佑記者:「普段、何気なく使っている電車の椅子。この電車の椅子をベッド代わりにしてお泊まり会をしようというイベントが今から行われます」
静岡県富士市の東部エリアを走る岳南電車。その駅で先週末、初めてのイベントが開かれました。普段は入ることができない終電後の吉原駅のホームに滞在し、停車している車両の中で一夜を過ごす「ナイトステイホーム」です。
岳南電車の始発から終点までの運賃が370円なのに対し、参加費は1万円。15人の定員は募集から1週間で埋まりました。
運転士「小さい会社だからできる」
岳南電車 山田健主任運転士:「地方の鉄道会社が苦しい中、うちでしかできないことがあると思う。本当に小さい会社なのでできると思います」 新型コロナの感染拡大により、岳南電車の4月と5月の売り上げは去年より6割も減少。苦境に陥る中、考えついたのが今回のイベントでした。
◆兵庫からの参加者(10代):「いつも座っている電車の席よりふかふかなので、寝られるかなと思う」
参加者は『寝床確保券』を受けとり、自分のスペースをキープします。基本的には、どこを寝床にしても問題ありません。電車内に寝袋を持ち込む人もいれば、外のベンチに横になる人も。
◆東京からの参加者(30代):「(酔っ払って)終電逃した日をすごく思い出します。この硬さといい、ちょっと肌寒い秋の感じがすごく懐かしいです」
東京からの参加者の望みは… 「寝過ごした酔っ払い」
少し変わった体験を希望する人もいました。
◆東京からの参加者(20代):「『お客さん、終電ですよ』とやってもらいたい」
夢を叶えるパートナーに選ばれたのは岳南電車の現役運転士・山田さん。真夜中の駅で岳南電車劇場の幕開けです。
※設定はなぜかJR中央線です。
山田さん:お客さん、終電ですよ!終電!もう「高尾」着きましたので。降りてもらっていいですか?お客さん!
女性:立川ですか今? 山田:高尾です。
女性:あぁ…。
山田さん:あす、朝5時20分まで始発ないので、起きてもらっていいですか?
女性:はい…。
山田さん:駅前にベンチあるので
長年憧れていた酔っ払いを体験し、大満足だったようです。
◆東京からの参加者(20代):「『そういうことはちょっと』みたいに言われたらどうしようかなと思っていたんですけど、夢が叶いました。もう、これのためだけに来たので、良かったです」
◆岳南電車 山田健主任運転士:「(こうしたお願いは)初めてです。逆にこのイベントやった意味という感じですね。そういう希望をした方が1人でもいれば、こういうイベントは大成功だったんじゃないかと思いますね」
消灯時間後の「裏イベント」は
乗客それぞれが思いを抱いて参加したナイトステイホーム。日付が変わる午前0時、消灯の時間です。
ところが午前1時。懐中電灯を片手に、続々と駅から出ていく人の姿が。『裏イベント』、深夜徘徊のスタートです。 目的地は駅の南側にある津波避難タワー。工場夜景が人気の富士市。参加者は昼間とは違った顔を楽しみます。時刻は午前1時半。今度こそ就寝です。
早朝のサプライズとは…
場面転換:午前5時 早朝。熟睡する参加者たちにサプライズが!! 目覚まし代わりに、電車の発車ベルがホームに鳴り響きます。予想外の展開で目を覚ますまで、ぐっすり眠っていました。
◆大阪からの参加者(10代):「寝心地が最高すぎて、1回も起きることなく5時まで寝ていた」
◆東京からの参加者(40代):「すごい寝心地が良くて、座るところも柔らかかったのでついつい寝過ごしてしまった」
◆岳南電車 山田健主任運転士:「今、コロナの影響で売り上げが落ちている中で、こういうことをやり続けなくてはならない世の中になったと思っている。お客様の反応を直に聞くことができるので、これを続けていくことが大事なこと」
常識にとらわれない発想で、乗客の夢を形に。新型コロナの逆風で生まれたイベントを追い風に変えます。 11月17日放送