豊かな自然に魅せられて…人口400人の里山に暮らすアメリカ人女性 この地に暮らすワケは? 静岡・島田市
シェリーさん:「私の運命は屋敷を守ること」
彼女がこの地に暮らすワケとは?
シェリーさんが住んでいるのは…人口400人の笹間地区
静岡県島田市にある笹間川のほとりの笹間地区。人口400人ほど。高齢化と過疎化が進む地域です。
Q.ここに住んでいる?
シェリーさん:「はい、そうです」
シェリーさん:「これは私の一番好きな庭の場所です。池です。時々人は鯉と思ってますけど、金魚です。たくさんえさをあげるのでデカイになりました」
シェリーさんの住まいは、築65年ほど。元々は地元の名主・岡村家の屋敷でした。敷地は1050平方メートル、テニスコート約5面分。荒れ果てていた空き家を4年前に買い取りました。
シェリーさん:「このドアも価値があります。壁と柱とドアもそのままで、これもそのままで」
古いものはそのまま…。 壊れたものはつくろって…。
シェリーさん:「私の友達は、この蓄音機を直してくれました。動きます」
シェリーさん:「タイムスリップですね!」
水産分野の専門家として来日 豊かな自然に惹かれ笹間に移住
アメリカのメーン州に生まれたシェリーさん。水産分野の研究者として、世界中を飛び回ってきました。人生が大きく変わったのは、17年前。マグロ漁の調査のために静岡市清水区へ。
シェリ―・クラークさん: 「日本は現代的なものがいっぱいだけど、伝統的な習慣も守ります。たとえば祭りを行います。いろいろな食事には意味があります。とても深い、気に入りました」
趣味のサイクリングで訪れた笹間の豊かな自然に惹かれ、移住することに。以来15年、テレワークをしながら暮らしています。
夢だったカフェをオープン
そんなシェリーさんには、ある夢が…。カフェです。
カフェにするのは、老朽化が激しかった茶室。瓦、漆喰、建具、それぞれ専門の職人を探し、修理には約750万円かかりました。これまで、荒れ果てた屋敷を少しずつ復元してきたシェリーさん。稲荷神社を再建し、修復した離れでは民泊を始めました。日本の伝統技術で建物を蘇らせたい― その一心で。しかし…。
新型コロナ感染拡大で…
カフェをオープン
ようやく茶室の修理が終わるころ、新型コロナウイルスの感染が拡大し、オープンを無期限延期に。それでも諦めなかったのは、笹間への思いがあったからです。
シェリーさん:「(地域で)祭りを行います。人はとても親切。新鮮な野菜をよくいただきます。(笹間は)大きい家族みたいだと思います。30年後も笹間が生きているためには、新しい人が必要ですので、他の人に笹間の魅力を見せたい」
笹間を未来に残したい…。去年9月、ようやくオープンにこぎつけました。
看板メニューは、エスプレッソと手作りマフィン。地元のお母さんたちも手伝ってくれています。
県内外からお客さんが…
シェリーさん:「おはようございます、久しぶり」 名古屋からのお客さん。なんと、4回目の訪問です。
シェリーさん:「きょうは寒かったですか?」
客「寒かったよ。ダウン着てきたけどそれでも寒くて」
客「ああ、おいしい。しみわたる」
この日のお客さんは16人。口コミで県内外から人が集まります。
地元男性客A:「さびれる一方でね、過疎化がなかなかひどいだけえが、こういうことやってくれると、ありがたいなって」
地元男性客B:「昔のものは使わないもんだから、もう捨て去るものだと思っていたのが、シェリーさんが復活させてくれてるよね。笹間の良さを我々に気づかせてくれてる」
毎月1日、必ず神社を訪れます。笹間の伝統が未来につながるように…。そんな願いを込めて。
シェリーさん:「私にとって笹間は特別な場所なので、一生懸命貢献したいです。静岡県・県外から来た人が笹間を、大切な場所を知ってくれればいいと思います」
(1月12日放送)