災害時水の確保は? 地域で取り組み家庭の井戸を活用 静岡市
東部事務所柿田川支所 小南嘉宏支所長:
「こちらの山が台風の時に豪雨で土砂が流れ込みまして、こちらのほうに管がはいっていたんですけど、管がぐにゃっと90度おれまがってしまったような状態になっていた」
函南町では去年10月、台風19号の影響で土砂崩れが発生。地下の水道管が破損し、熱海市などで断水。復旧に1週間かかりました。
ハザードマップで定期パトロールを
県は事故を受け、ハザードマップをもとに土砂崩れの恐れがある箇所をピックアップ。定期的にパトロールをするようになりました。
東部事務所柿田川支所 小南嘉宏支所長:
「斜面に管が露出してないかとかですとか、あと水がもれてないかとか、地割れみたいな地形にいじょうがないかとかそういうところを確認をしています」
この他、水道管を外れにくいものに変えるなど備えを強化。去年のような事態は、おこらないのでしょうか?
東部事務所柿田川支所 小南嘉宏支所長:
「最近の天候とか気象を見ると異常な雨が降ったりとかいうことがありますので、絶対ということはないといえると思います」
地域で災害対応 水の確保を
「絶対」はない災害対応。行政に頼るだけでなく地域で水の確保に取り組んでいる所があります。
安倍川の西。静岡市駿河区の鎌田(かまた)地区。およそ1500世帯が暮らしています。
三浦記者:
「長田体育館の地下には大きな貯水槽があります。災害時には地区でこの水を利用することができるということです」
およそ100トンを貯めることができる貯水槽。手動で水を汲み上げる仕組みです。これで対策は万全、といいたいところですが、思わぬ落とし穴が・・・
鎌田自治会 寺尾和則会長:
「実際の時には圧力がなくなっちゃうもんですから、そうすると、圧力がなくなると、上がらないもんですから、手漕ぎでも相当大変です」
貯水槽は、災害時に水道が遮断されると、水圧がなくなってしまいます。
これでは水を汲み上げるのに相当な力が必要に。自治会は貯水槽の活用を断念。
そこで目をつけたのが・・・
町内会で家庭の井戸を活用
自治会 寺尾和則会長:
「井戸を持ってる家庭が多いので、それを活用しないわけにはいかない」
井戸は災害時でも、断水することはまれです。ただ、電動ポンプを使っているので、停電すると水をくみ上げることができません。
町内会では持ち運びができる発電機を用意。井戸のポンプを発電機につなぐと、すぐに水を汲み上げることができます。用意された3つの蛇口につなぎ完成。ここまで時間はおよそ10数分です。
町内の人:
「やっぱ水が一番。水が不足するのが怖いですね。」
「助かりますよ。これがあれば気分的に」
「1日3リットルっていっても、すぐおわっちゃう」
災害時、井戸水を汲み上げる拠点は、町内に5か所。地域の人ならだれでも利用することができます。
自治会 寺尾和則会長:
「公の助けはなかなか来ない。だから自分たちでなんとかするしかないというのがあります。基本的にこのへんは自宅避難がベースだもんですから、自宅避難で水が不足すると一番困る。その確保のために動いている」
自治会館の屋根にはソーラー設備もあり、スマホの充電もできます。
行政や個人の備えはもちろん、こうした地域の取り組みも、災害時の不安を軽減する一つといえそうです。