新型コロナのワクチン輸送に必要な「マイナス70℃」の冷凍庫 静岡・沼津市の中小企業が開発
その課題の解決に、静岡県沼津市の中小企業が立ち上がりました。マイナス70℃での輸送を可能とする専用の冷凍庫を開発したのです。
バナナはカチカチに…
杉沢洋佑記者:「ワクチン輸送用に開発された冷凍庫の中を開けると、かなり冷たそうです。中に入っているバナナ。叩いてみると鉄のようにカチカチです」
つくったのは社員40人の中小企業
沼津市の機械製造会社「エイディーディー」。社員40人の中小企業がつくった「ワクチン用冷凍庫」の大きさは高さ94センチ、幅54センチ、奥行き80センチの箱型。マイナス120℃の冷却機能があります。
想像するのも難しいその温度に驚きますが、開発までのスピードと利便性も衝撃です。
Q だいたいどれくらいでできた?
エイディーディー 下田裕人取締役:「1カ月程度ですね。基本の(超低温の)技術は変わっていないので。しかも-120℃を100V、いわゆる家庭用の電源で、すぐ動かすことができる。車用の電源でもすぐに動かすことができるというのは、世界で初めてと認識している」
この冷凍庫には、1万回分のワクチンが入るといいます。さらに、電源がない状態でも、
40時間はマイナス80℃を維持することが可能。ワクチンが海外から国内に運ばれることを想定した設計です。すでに、この1週間で国内外から100件を超える問い合わせがあったということです。
エイディーディー 下田裕人取締役:「ASEANのほうに企業を展開している会社からの引き合いが多いので、おそらくタイ・マレーシア・シンガポール、もちろん中国とか含めて山間部、なかなか届けづらい場所までもワクチンを輸送できるのではないかと期待している」
-120℃の世界は…
では、普段体験することはないマイナス120℃を体験してみます。
杉沢記者:「温度計は-120℃を指しています。実はこの機械、アスリートが使用するアイシング用の機械なんですが、-120℃の世界、いったいどんなものなのか体験してみたいと思います。あっ、ヒンヤリとはするんですが、不思議なことにサウナにある水風呂より快適な感じがします」
アスリート向けから、ワクチン運搬用まで、様々な用途の冷凍庫をつくるエイディーディーですが、今、願っているのは、ただ1つ、新型コロナの収束。その一翼を担うつもりです。
エイディーディー 下田裕人取締役:「社会問題になっていることを解決できることは、我々中小企業・製造業にとっては非常にうれしいこと。どうにか期待に応えたい」