1~2時間かかるあいさつ文作成が数十秒 「チャットGPT」…便利だが課題も 静岡・島田市が導入に向け実証実験

 今、世界中で注目を集めている「チャットGPT」。開発元のオープンAI社が昨年11月に発表すると、2カ月で登録者が1億人を超え、行政や企業でもその活用方法を模索しています。静岡県内でも動きが出始めています。
島田市 染谷絹代市長:「今まで1時間かかっていた作成時間が、10分でチェックできるのであれば、これは効率的に有効だと思うんですね」
 最先端の技術で仕事を効率化。県内の最前線を取材しました。

画像: 1~2時間かかるあいさつ文作成が数十秒 「チャットGPT」…便利だが課題も 静岡・島田市が導入に向け実証実験

 世界的に注目を集めている「チャットGPT」。質問や“お願いごと”を入力すると、ものの数秒で人工知能が「回答」してくれます。県内でも「この最新技術」を取り入れて、効率的にサービスを展開しようとしている自治体があります。

市長「DXは1年の遅れが10年の差になる」

島田市 染谷絹代市長:「(チャットGPTは)瞬く間に、2カ月足らずで1億人以上の登録者数、急速に認知されてきているわけですよね。この状況を見た時に、私は2018年にGoogleに行った時に受けたショックと、同じようなものを感じました」

 島田市は4月、「チャットGPT」を行政サービスに取り入れる実証実験を開始したと発表しました。

島田市 染谷絹代市長:「ゆくゆくは行政窓口に来なくてもいい、行政サービスの提供、手続きができるようにしていきたいと思っています」

画像: 市長「DXは1年の遅れが10年の差になる」

島田市 染谷絹代市長:「DXは1年の遅れが、1年の違いが、10年の差になると、だから頑張らなきゃいけないんだということを、一番最初に職員にも伝えました」

 「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略。簡単に言い換えると、「デジタル化で便利になること」です。今回、島田市が目を付けた「チャットGPT」。国や県外の自治体でも活用に向けた動きが加速しています。県内で取り組みを始めたのは島田市が初めてです。

 行政がチャットGPTを使ってどういったことをしていくのか? 実際に実験をしている担当課を取材しました。

1~2時間かかる「あいさつ文」作成が数十秒で

 島田市では毎年10月末にマラソン大会があります。その大会で市長が挨拶すると想定し、チャットGPTを使って挨拶文を作っていました。

画像1: 1~2時間かかる「あいさつ文」作成が数十秒で

 あっという間に文章が出来ました。島田市では本格導入の前に、まずは市長の挨拶文や資料の要約などで、チャットGPTを活用したいと考えているそうです。

画像2: 1~2時間かかる「あいさつ文」作成が数十秒で

島田市DX推進課 太田政志さん
Q.今年のマラソン大会で、チャットGPTでつくった挨拶文、できた文章を人間がチェックをするが、実際に使われるかもしれない?

A.「可能性は高い」

 担当の課に在籍しているのは10人。その中でチャットGPTを担当しているのは3人です。チャットGPTを使うことによって業務の効率化ができると考えています。

画像3: 1~2時間かかる「あいさつ文」作成が数十秒で

島田市DX推進課 太田政志さん:「挨拶文1つにしても、1から考えると30分、1時間、場合によっては2時間かかってしまうものが、骨格になるようなものがほんの数十秒でできあがってしまうと。大幅に時間は短縮されると思う」

課題は「誤った回答」

島田市 染谷絹代市長:「対話式ですから、さらに質問を重ねることで、より深い文章に変えていくことができる。『小学生向きにはどうしたらいいか』とか、そんなことを聞くことができます。その対話式に精度を深めていけるっていうところが、このチャットGPTの優れたところかなと思います」

 作業時間の短縮や、簡単に質問できるなど、便利なツールである一方で、デメリットもあります。それが「誤った回答」です。

画像: 課題は「誤った回答」

島田市 染谷絹代市長:「染谷絹代ってどんな人ですかって入れたら、1940年代に活躍した、日本の女優って出た。多分、田中絹代さんのことかなと思ったんですけれども、そういったところでも、それ(回答)を鵜呑みにすることができるような、まだ段階ではない」

市民は

画像: 市民は

 調整は必要なものの、「行政サービスのIT化」に市民の反応も上々です。

40代:「これからコンピューターとか時代になってくるからいいと思う」

20代:「作業が楽になるから、いいのではないかと思う」

大学生1年生18歳:「マイナンバーカードとか住民票とか、この前取る機会があったんですけど、そういうのをコンビニで印刷できる、市役所だといろいろ手続きしなきゃいけないけど、コンビニだと楽にとれるので、そういうところはいいと思う」

 今後の課題は「正しい情報を正しく正確に処理すること」。民間企業に比べてIT化の動き出しが遅い傾向にある行政にとっては大きな変革期でもあります。

島田市 染谷絹代市長:「職員のチャットGPTに対する質問力って、これもすごく高めていかないとチャットGPTを活用することが難しい。職員の質問力を高めて、対話式で成果を出していくためには、やはりその訓練も必要だと思っていて、そのためにも私はいち早く実証実験に入りたいと思いました」

 島田市ではセキュリティ面などで問題なければ一部の課で実用し、今年度中の使用開始を目指しています。