20日すぎに『軽石』が静岡県沿岸部にも漂着か 漁師「船に大きな影響」 県の対策は…

 小笠原諸島の海底火山から噴出し、沖縄などの海を漂う軽石。長い海岸線を抱える静岡県内にも流れ着くと予想され、漁業関係者らが警戒しています。

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20日すぎに『軽石』が静岡県沿岸部にも漂着か 漁師「船に大きな影響」 県の対策は…

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 「びっくりした! え!?と思いました。ああなったら、もう大変」。こう話すのはその道50年、静岡県御前崎市の漁師・西原忠さん。全国有数のカツオの水揚げ量を誇る御前崎港の漁師たちが今、気をもんでいるのが…。

 漁協の担当者が気をもんでいるのが、8月に小笠原諸島の海底火山から噴出し、各地を漂っている『軽石』です。

16日の御前崎市沖は

 今後、静岡県沿岸部に大量に漂流すれば、漁業にも大きな影響が予想されます。16日、御前崎沿岸部を上空から確認してみると…。

須藤誠人アナウンサー:「御前崎上空です。こちらの海には波は確認できますが、軽石と思われる漂着物が到達しているような様子はありません」

 御前崎沿岸では16日も10隻以上の船が漁を行っている様子が見られました。

須藤アナウンサー
「こちらではシラス漁が行われているようです。このシラスを取るための網、海中に入っていますが、透き通っていて はっきりと見えています。この様子からみても軽石はいまのところ、この御前崎の海には近づいてきていないようです」

11月20日すぎには県内沿岸部にも軽石が漂流する見通し

 JAMSTEC=海洋研究開発機構のシミュレーションでは、11月20日すぎには御前崎沖を含む県内沿岸部にも軽石が漂流する見通しです。

 実際に県内沿岸部に漂着した場合、西原さんは船に大きな影響が出ると指摘します。

西原さん:「今、黄色いペンドルというが、クッションの下に大量に水が出ている。あれが船を冷やす冷却水。(軽石が)細かくなって小さくなると、どうしても吸い込みやすいからやっぱりそこが唯一の心配。エンジンがストップする。そういうことも考えられる」

 冷却用の海水に軽石が混じり、エンジンが故障してしまう可能性があるといいます。懸念はそれだけではありません。

西原さん:「大量に(軽石を)食べてしまって、鮮魚店が(魚の)お腹を切ったら(軽石が)入っていたよということがあれば、心配になる。湾内でたまってしまうとそれを排除しないといけないので、そうなれば何日間か、長ければ1週間程度出港停止になるので我々としては痛手」

 その軽石、すでに本州に近づきつつあるようです。10日には伊豆諸島の式根島でバケツ2杯程度の軽石が確認され、12日には下田市から40キロほどしか離れていない大島でも、少量の軽石が見つかっています。漁業などへの影響は出ていないということです。

 いずれも沖縄県などで被害が出た軽石との関連は分かっていません。

静岡県「物流の貨物船や旅客船の運行・航行に影響が出てくる可能性はある」

 静岡県によりますと、16日までに県内に軽石が漂着したという情報は入っていません。

静岡県港湾企画課 北川裕人課長:「県内は熱海から湖西まで海岸線が長いので、どこに漂着するか分からないから、どこかで漂着の情報があったら、いち早く県内全ての沿岸の港湾管理者に伝えて警戒態勢をとってもらうということを考えている。港に入ってくる漁船、漁業への影響はあるのではないかということと、物流の貨物船や旅客船の運行・航行に影響が出てくる可能性はある」

 シミュレーションでは今月中旬以降に静岡県沿岸部に最接近する見通しの軽石。県はどのような対策を考えているのでしょうか。

静岡県港湾企画課 北川裕人課長:「例えばオイルフェンスを流用して拡散を止めるといった対策などは検討中。軽石を見つけたら、県や海上保安部に連絡をいただきたい。船舶を運行している方には十分注意していただきたい」