魚介類にスイーツも…『工場直売でお得に』 訳アリ品「見た目は悪くても味は変わらない」 静岡・沼津市
沼津市「マルヤ水産 沼津港直営店」
まずやってきたのは沼津港。新鮮な魚介類が楽しめる飲食店や土産物店が軒を連ねる一角に「直売所」があります。
埼玉県から
「お店の前に並んでいるアジとサバ(の干物)がすごくお得な感じを受けました」
栃木県から
「以前来た時に、親戚のみんなに干物をお土産で送ったんですけれど、好評で、また機会(旅行)があったので来ました。スーパーとかで買うと、パサパサなものが多いけど、(このお店の干物は)脂が乗っていて、食べやすくておいしかったです」
店頭には 「ジャンボサイズのアジの干物」や肉厚なホッケやキンメダイなどおいしそうな干物がずらーっと並んでいます。
マルヤ水産取締役 望月伸一さん
Q.こちらはどういったお店ですか?
A.「創業明治22年のマルヤ水産の直売店です。工場で出来たものを直接販売していますので、値段もお手頃になっています」
沼津港の「マルヤ水産 沼津港直営店」。“直営店”という名前の通り、干物が作られているのは、店からおよそ500m離れているマルヤ水産の工場です。マルヤ水産は今年で創業から134年を迎える老舗干物店。味や製法など、伝統を引き継いでいます。
アジに異変?
この日、朝から開いていたのは「オランダ産のアジ」。オランダ産は脂の乗りがよく、その中でも良質なものをこだわって使っているそうですが、実は今、その『アジ』に異変が出ているといいます。
マルヤ水産取締役 望月伸一さん「年を追うごとに、(アジの)漁獲高は減っている。(アジの漁場の)ヨーロッパで禁漁になっている。今年はもう輸入はしてこない。「しばらくは国内(産の)原料でつなぐことになる。国内の原料も非常に取れていない状況が続いている」
“不漁”という状況の中でも、毎日干物作りは欠かせません。身を開くのは この道30年の職人。華麗な包丁さばきで一匹およそ10秒足らずで腹を開き、内臓などをきれいに取り除いていきます。
マルヤ水産 樋口和夫工場長:「私は30年以上(干物作りに)携わっていますので、ここは熟練の技ですかね。(身を開く技術は)だいたい3ヵ月ぐらいで形にはなります。ですが、身のきれいさが引き立つのは、やっぱり熟練の人でないと難しいですね」
味を左右する塩水につける作業は、最も神経を使うそうです。塩水の濃度は18%。この作業をすることで、うま味が増していくそうです。水洗いをして、セイロの上に一枚一枚並べられていきます。温度28度の乾燥室でおよそ1時間半。乾燥することで 身はジューシーでしっとりと仕上がります。そして すぐにお店に運ばれて店頭に並べられます。
「朝開きのひもの」は工場直売所ならではの商品で、輸送コストなどもかからないことから“お買い得”にしているといいます。「特大サイズのとろアジの干物」、その値段はというと…。
マルヤ水産取締役 望月伸一さん:「うちでは(1枚)500円で売らせていただいている。一般のお店で買うと、たぶん700~800円ぐらいする。中間の業者が入っていない分、お安くできる」
工場で出来たての干物を冷凍せずに販売しているため、身はふっくらとしていて脂が乗ってジューシーな味だといいます。そして 工場直売所ならではのアウトレット商品、干物詰め合わせもありました。
マルヤ水産取締役 望月伸一さん:「工場で出ました傷があるもの、頭がなかったり、身が欠けたりしたものを詰め合わせて売らせていただいている」
いったい、どんな干物が入っているのか? 一例ではありますが、キンメダイの大が1枚、アジが大小合わせて5枚、ホッケは大小合わせて2枚。合わせて8枚、重さはおよそ1.3kg。気になる値段は1200円です。
漁の状況や燃料費高騰の影響を受けやすい海の幸。“お得”を求めて週末に出かけてみてはいかがでしょうか。
スイーツの直売所も…
海の幸だけでなく、小麦や卵もまだまだ“値上げ”に悩まされる中、こんな直売所がありました。やってきたのは 沼津市新宿町にあるスイーツ店「ドルチェガレージ」。ショーケースには美味しそうなスイーツが並んでいます。
沼津市から(月に2回程度来店):「今、洋菓子やケーキは結構お高いので、割と買いやすい感じかなと思いますけどね。クリームとかさっぱりしていて、家族はみんな好きです」
沼津市から(初めての来店):「(他のお店と)比べるとお安いと思いますけど。見た目も可愛らしくて良いと思いますけど」
沼津市から(常連):「本当にこの価格でいいの? という感じはあります。何でも今値上げしているじゃないですか? だから、(こんなに安くて)心配ですけど」
「見た目」は悪くても味は変わらない
お客さんも心配するその安さとは。例えば、「カップケーキのモンブラン」。値段は300円です。原材料費が上がっている中で“お値打ち品”だといいます。
ドルチェガレージ 天野雅義代表:「うちはしずてつストア33店舗に、(商品を)出荷させてもらってまして、大量に原料を仕入れてまとめて製造するので、クリームが沈んでしまったり、見た目が悪くなってしまったり、味は変わらないんですけれど、そういった(アウトレット商品)を販売しているので、この値段で販売できているかなと思います」
まるで「コンビニスイーツ」のような商品の数々ですが、アウトレット商品だけあって、値段は正規品の2割から5割引きとなっています。小さな店舗の奥を覗いてみると、そこには大量のフルーツが。機械製造ではなく、パティシエたちが一つ一つ丁寧に1日に1000個から2000個のスイーツを作っているそうです。
ドルチェガレージ 天野雅義代表:「うちはコンビニスイーツぐらいお手軽な価格帯で、パティスリーにも負けないぐらいの味だったり、クオリティーを目標にしている」
こちらは天野さんオススメの「フリジエケーキ」。見た目のカワイイこのケーキはフランス版のショートケーキ。イチゴの断面が見えるのが特徴で、甘さは控えめ。甘いものが苦手な人でも食べられるケーキだといいます。
こちらはの焼きプリンは136円とお財布に優しい値段。昔ながらの硬めのプリンであっさりとした味が特徴です。パティシエが丁寧に作る本格的なスイーツがお手軽な値段で購入できるということもあり、まとめ買いするお客さんも多いといいます。
家計を圧迫している物価高騰。“工場直売”もお得に買い物をする選択肢となりそうです。