農家にとって『死活問題』…連日の猛暑で野菜の生育に影響「水をやってもすぐに蒸発。完全に水不足」 静岡

 静岡県内でも連日、猛暑が続いていますが、この厳しい暑さが野菜の生育にも影響を及ぼしています。農家やスーパーを取材しました。

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農家にとって『死活問題』…連日の猛暑で野菜の生育に影響「水をやってもすぐに蒸発。完全に水不足」 静岡

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浜松市佐久間は3日連続の猛暑日

林輝彦アナウンサー:「午前11時です。静岡市の上空は雲が目立つんですが、強い日差しを感じます」

画像: 浜松市佐久間は3日連続の猛暑日

 31日も県内は湿った空気の影響で雲が目立ったものの、時々、強い日差しが照り付けました。過去最多となる、今年12回目の熱中症警戒アラートも発表されています。最高気温は、佐久間で35.9℃と3日連続の猛暑日に。三島と浜松で34.2℃、静岡で32.3℃など厳しい暑さが続きました。また日中の湿度は60%前後と高めで、蒸し暑い一日でした。

富士市民20代:「職場で、適宜水分と塩あめとかをなめている」

大阪府の母と静岡市の義理の娘
母「経口補水液は家に常備している」
娘「私もあります、家に置いてある」
母「もう動けなくなったら、買いにいけないし」

静岡市民 40代母と中学生娘
娘「すごい暑い。飲み物をどこかに飲みに行こうかなと思っていた」
母「毎日暑くて、不安になるくらいの暑さ。エアコンが壊れないか心配。壊れたらもうアウト」

スーパーではナス、ピーマンが値上がり

画像: スーパーではナス、ピーマンが値上がり

 この猛暑は私たちの食卓にも大きな影響を及ぼすことになりそうです。静岡市内のスーパーでは…。

田子重西中原店 増田克己店長:「こちらのナスが去年と比べて少し値上がりしております」

 ナスは去年より1本当たり10円の値上げとなりました。産地の愛知県で猛暑が続き、生育不良となったことが原因だということです。

田子重西中原店 増田克己店長:「こちらのピーマンも去年と比べれば高いです」

Q.どれぐらい
A.「一袋あたり30円ぐらい高いです。青果物ですから気温に左右されやすい。猛暑によって、今のように生育不良とか、あと長雨とか。そういう天候要因がかなり大きいです」

買い物客は

 夏野菜の値上がりに買い物客は…。

静岡市民 70代夫婦
夫「これから日照りが続くから、 (野菜の価格が) 上がるかもしれない」

妻「買う方も大変だけど、(野菜の値上がりも) しょうがない、自然相手だから。ピーマンも高い、大好きだけど、(買うのを) 考えちゃう。でも食べないわけにはいかない」

静岡市民 60代:「ピーマンはひき肉を味付けしておいて、ピーマン詰めとかよくする。高くても買っちゃう 。食べ物はしょうがない。自分の衣類とかお化粧も買うのを控えている、だって、しょうがないじゃん」

農家にとっても『死活問題』

 一方、野菜をつくる農家にとって連日続く猛暑は死活問題です。

三和農園 河村亮さん:「毎年のことではあるんですけども、今年は特にひどい。今こっちナスがあるんですけど、ナスはほんとに水がたくさん必要な野菜なんですけど、いくら水をやっても、どんどん蒸発していく感じで、完全に水不足の状態になってますね」

 直売所やスーパーに野菜を出荷している、焼津市の三和農園。連日続く暑さで、夏野菜のナスが不作となっています。

三和農園 河村亮さん:「出荷量が半分ぐらいになっていると思います」

 三和農園にはおよそ200株のナスがあり、このように、パイプを通して、毎日1株に15リットルほどの水をやります。しかし、水をあげても気温が高いため、すぐに蒸発してしまうのです。ナスを育てる上で適正な気温は25℃から30℃ぐらいということですが、今はそれより5℃から10℃ほど気温が高い状況。ナスの葉も、ご覧のように元気がありません」

「B品としても出せない」「出荷できない」

画像1: 「B品としても出せない」「出荷できない」

 三和農園 河村亮さん:「見かけあまり変わりなさそうなんですけれども、まずヘタのところが黒くかたがはっていないんですよ。しっかり水が入って調子が良ければ、ここが真っ黒でいいヘタができるんで、触ったときのこの硬さなんですが、通常もうちょっと柔らかいんですが、ちょっと今硬くなっちゃってるという状況ですね」

Q.こうなってしまうと出荷は厳しいですか?
A.「これは出せないね。これはちょっとB品としてもちょっと出せない感じになってますね。もうしょうがないですけれども、もう切って捨てるしかない感じですね」

画像2: 「B品としても出せない」「出荷できない」

 根から水を吸って短期間に大きくなれば、良いナスが出来ます。しかし、生育に時間がかかると「石ナス」と呼ばれる、石のように固いナスとなってしまいます。そうなると出荷はできなくなり、廃棄するしかありません。こちらの農園にも、泣く泣く廃棄となったナスがありました。そして、ナス以外にも影響が…。

三和農園 河村亮さん:「ピーマンなんですけれども、もう日光が強すぎて、こうついてるまま白くこう腐ったみたいな感じになるっていうのが起きてます」

Q.白くなってしまったものは、出荷できない?

A.「もう全然できないです、とても、そういう感じのものじゃないですね」

 ピーマンの出荷量は通常の3分の2ほどにまで減ってしまっているといいます。さらに、この暑さが続けば、夏野菜だけではなく、冬野菜にも影響が出そうです。

三和農園 河村亮さん:「温度が高い状態だと、今度冬野菜に影響が出てきて、冬野菜、温度が低くなり始めて、作付けして種を撒いたりするんですが、その時期が遅れてくる。遅くなるっていうパターンが今考えられます。通常であれば、9月の上旬に種まいてたのが温度が下がらないんで、9月の後半に種をまくとなると、出荷自体がだいぶ遅れてくるっていう可能性があります」

 出荷が遅れればブロッコリーなどの冬野菜も値上がりしてしまう可能性もあるということです。