クリーニング店が「ノー包装」? 歯ブラシは竹の繊維から? 静岡県内で進む脱プラステック

海洋汚染などで注目される「プラスチックごみ」。4月からごみ削減を事業者に求める「プラスチック資源循環促進法」が施行されます。脱プラスチックに挑戦する企業を取材しました。

クリーニング店の取り組みとは

画像: クリーニング店の取り組みとは

静岡市駿河区のクリーニング店、ピュアクリーニング静岡南店。「ハンガー」をはじめ「衣類にかけるビニール」。他にも「防虫カバー」など店内は、プラスチック製品であふれています。「プラスチック資源循環促進法」の施行に先立ち、1月から”脱プラ”に取り組んでいます。

ホワイトウィングス マネジメント
芦沢雅仁 総務部長:「(今年)1月からになるんですけれども、お客様にお渡しするお洋服ですね。基本ノー包装でのご返却を開始させていただきました」

 クリーニング店から受け取る衣類。普通はビニール袋がかかっていますが、こちらのグループでは1月から原則ビニールをかけずに返却することにしました。

高齢男性客:「僕はいいと思いますよ。だって使うにしても、しまうにしても処分しないといけないわけじゃん。そうだったら今の内にない方が、むしろ僕は良い」

脱プラを歓迎する客がいる一方…。

女性客:「ビニールでも不織布でもかかってた方が前回クリーニングに出したかどうかが分かる目安になるので、かかってないとちょっと分かんないかな」

高齢女性客:「うちはね、袋はずっとしまうもんですからね。このままいれてもらうように、お願いしていれていただいたんですけどね」

ハンガーにも工夫が

画像: ハンガーにも工夫が

芦沢雅仁 総務部長:「実際にクリーニング業界全体としてはやっぱりプラスチック減らすのが難しいよねっていうことが言われている中で、その選択がノー包装だったり、100%のリサイクルということで動かせてもらいました」

 さらに、もう一つ取り組みがこちら。グループで使っているハンガーの色を「黒」から「茶色」に変更しました。その理由とは…

芦沢部長:「たとえ折れてしまっても粉砕して溶かして、再度このハンガーにするっていうことで100%リサイクルすることができるようになりました」

 ハンガーは壊れてしまっても、一度プラスチックを溶かし再びハンガーにすることが可能。しかし、多くの業者で使われている「黒」のハンガーは見た目は同じでも、成分が異なっているため、一度溶かして再利用することができません。茶色のハンガーにすることで確実なリサイクルができるようになりました。

芦沢部長:「僕たちはできることしかできないですけど、そんな仲間が広がってくれれば、プラスチックもなくなるし、海もきれいになると思っているので、この仲間が増やしていけたらなと思っています」

竹で出来た歯ブラシとは

画像: 竹で出来た歯ブラシとは

そして、脱プラの動きは身近なモノにも。富士市の「YUHOBI Cafe(ユホビカフェ)」。ピアスなどと一緒に「歯ブラシ」が並んでいます。
 一見ふつうの歯ブラシ。しかし竹で出来ています。ブラシ部分はナイロンと竹の繊維。また炭が練りこまれていて防臭やホワイトニング効果があるということです。この歯ブラシを開発したのは東京農業大学4年の林健斗(はやし・けんと)さん(22)。開発のきっかけは

林健斗さん:「竹林が放置されてしまっていると、放置されることによって、土砂災害とか生態系の破壊とかが起きてしまっていると言われていまして、脱プラスチックということで、プラスチックに変わる素材というところを必要とされているというのも頭にあったので、プラスチックに変わる素材として竹を有効活用できれば、同時に脱プラと放置竹林問題の解決を2つとも解決できると思ったのがきっかけ」

 2019年に会社を起業し歯科医の指導の下、去年5月に完成させました。今では、都内のホテルのアメニティとしても使われています。オンラインショップのほか、県内では、きのうからこちらのカフェで販売を始めました。

YUHOBI Cafe オーナー
古川大樹さん:「プラスチックであるのが当たり前のように思っていた品物ではあるので、竹を使うっていうアイディアがあるんだなと素直に興味をもったというのと、それを学生さんが研究して開発して商品化までこぎ着けたのがすごく興味深くて応援したい気持ちがあった」

 来月1日に施行される「プラスチック資源循環促進法」。プラスチックごみについて改めて考えるきっかけになりそうです。