悪くないのに先生に怒られたらどうする? 発達障害ある子どもたちがVR=仮想現実で意思伝達学ぶ 静岡・島田市
松田和佳アナウンサー:「こちらでは全国初の試みである授業が行われています。子どもたちはVRを装着し、自宅から画面越しでリモートの授業を受けています」
この取り組みは、福祉施設を展開する静岡県藤枝市の会社が新型コロナの感染拡大が続くなかでも、子どもたちが安心してコミュニケーション能力を高められるように始めました。
公開されたのは、東京のIT企業が開発した発達障害児向けの「ソーシャルスキルトレーニング」を用いた授業です。
株式会社ジョリーグッド 竹内恭平さん:「もともとコミュニケーションが苦手で、相手の顔を見てしゃべることができないっていう子が、VRで何度もトレーニングすることによって、人の顔をきちんと見て、コミュニケーションを取れるようになったと」
対人関係や集団行動を疑似体験
子どもたちは特殊なゴーグルをつけて、プログラムを通し対人関係や集団行動をより実際に近い形で体験します。
〇VRの映像
(友達)きのう、TVで出てたラーメン特集見た?
(自分)こうたくん、今授業中だから
(先生)そこの2人、何やってるんだ、今授業中だぞ
(自分)え、なんで僕が怒られなきゃいけないの。ひどい、何かイライラしてきた
今回、体験するプログラムは「自分は悪くないのに、学校の先生に怒られた」という場面で、子どもたちは「深呼吸する」という対処方法を選びながら、自分の感情をコントロールする方法を学んでいました。
発達障害のある子どもたちは、初めてのことが苦手な場合が多く、失敗を繰り返すことで自己肯定感が低くなる傾向があります。こうしたマイナスの面がVRの授業では少ないと利用者は話します。
利用者 仲田伊吹くん:「いつもだと机とかを蹴って選択しちゃうと、それで怒られて終わりだけど、VRだったら深呼吸するのも選択肢がたくさんあったから両方試してうれしかった」
株式会社リカバリー 松浦妃佐子さん:「どっちもあることという、そういうことを体験することで、やっぱりこっちのほうがいいんだ、こっちのほうが安心するということを理解してもらうのでは凄い良いツールではないかとは感じています」
授業はワークシートに沿い「自己紹介」や「学校でおこられたこと」など、あわせて4つの項目に答えながら進みました。途中休憩をはさみながらオンラインの授業は1時間続きました。
株式会社リカバリー 松浦妃佐子さん:「(授業に参加して)自信もついて、最終的には一歩勇気をもって踏み出すことが出来るようになったら、いいんじゃないかと考えています」