オンライン成人式、家族とこたつを囲み参加する新成人も… 一方、駅前には人だかり 静岡市
6日前に式典中止が決定
林輝彦アナウンサー:「静岡市の草薙球場の会議場では、いま静岡市のオンライン成人式が行われています。会場には新成人十数人がいます」
晴れの日にふさわしい、晴天に恵まれた3日。3密を回避するため、当初は草薙球場での屋外開催を目指していた静岡市の成人式は、球場からのオンラインでの配信に切り替えて行われました。
成人式が開催されるのか注目されていた先月15日、静岡市の田辺信宏市長は予定通り実施するとして、新成人に2週間前の帰省を呼びかけました。しかし…。
静岡市 田辺信宏市長(先月28日):「年内のうちに決めなければいけないという意味で、きょうぎりぎりのところで、きょうになった。成人式に草薙に集まるということが、後ろ指をさされてしまう、それは本末転倒であります」
Q.2週間前に帰省するようにと言っていたことについては?
田辺市長:「それはあの時点では一つの判断でありました。刻刻と変わる状況の中で、私自身苦渋の決断です」
田辺市長は、静岡市内で新規感染者が増えていることなどから、先月28日に式典の中止を表明。中止が発表されたのは、式の6日前でした。
実行委員がオンライン配信…画面越しの参加者は10%に満たず
それでも、3日は新成人を代表して実行委員のメンバーら約20人が式典に参加。式の様子をオンラインで生配信しました。
新成人 鈴木大翔さん(新成人の誓い):「このような環境だからこそ、人とのつながりの大切さを再確認でき、当たり前の存在となっていた両親や友人などのありがたみを感じました。私の信頼する人たちと、これからも立ちはだかるであろう様々な困難に立ち向かい、自らの可能性を信じて未来を思い描き、立派な大人となれるように、ひたむきに努力をしていきます」
新成人約6500人のうち、500人ほどが画面越しで成人式に参加。静岡市にまつわるクイズや高校の恩師によるメッセージなど、オンラインならではの工夫を凝らした方法で門出を祝いました。
中には家族でこたつを囲みながら配信を見た新成人も。
新成人 佐野小紅さん:「最初、オンラインで成人式をやると言われたときは残念だったが、私は家族と見て良い思い出になった」
佐野小紅さんの父:「家族みんなで式を挙げられたという温かい思いはあった。オンラインではあったが、実行委員や市の方が一生懸命準備をしてくださって、そういった熱量が非常に伝わってきて良い式典だった」
市内6カ所にフォトスポット設置…近くに人だかりが
式典には参加できなくても新成人に晴れ着を楽しんでほしいという思いから、静岡市は市内6カ所にフォトスポットを設置。華やかな振り袖や真新しいスーツに身を包んだ新成人たちが笑顔を浮かべました。
新成人:「こんな時期ですけど。無事に着物が着られてよかった。自分としては(人生に)一回しかないから、もったいないかなというのはあるが、みんなとは集まれないけど、友達とも写真をちょっとだけでも撮れたから、それでもできたから良いかな」
林アナ:「午後5時です。静岡駅北口のロータリーには振り袖姿やスーツ姿の新成人の姿が多く集まっています。というのも、地下のフォトスポットで一度写真を撮った後、上に上がってきて、また写真を撮り直しているそうなんです」
混雑を避けるためにオンラインに切り替えられた成人式でしたが、JR静岡駅前は地下にフォトスポットが設置されたこともあり、新成人で多くの人だかりが。この混雑には当事者の新成人も。
新成人:「ソーシャルディスタンスがほぼないかなという雰囲気」
繁華街の巡回を急きょ1時間繰り上げ
静岡市は午後6時からの予定だった職員27人による繁華街の巡回を、急きょ1時間繰り上げ、5時から開始することに。
巡回する職員:「いま感染リスクが高まる行動ということで、いろいろなチラシを配らせていただいているんですけど、もしよろしければお願いいたします」
市は成人式後に飲酒を伴う会食などを控えるように呼び掛けていましたが、昨夜、静岡市の繁華街には感染対策には気をつけていると話す新成人の姿がありました。
新成人:「本来の成人式では、もっと集まっていると思うのを、ちょっと少なめで本当に仲いい人だけというのを心がけている」
新成人:「できるだけ(食事中に)マスクを外さないように心がけています」
コロナ禍で迎えた一生に一度の成人式。例年とは異なる新しい形での門出となりました。