居酒屋女将が洋菓子店「ピンチをチャンスに」 裾野市の煎茶、沼津市の甘酒…こだわりは地元の食材 静岡・沼津市、清水町
静岡県清水町にある「ななカヌレ」。今月5日にオープンしたばかりです。
こちらが店名にもなっている「カヌレ」。見た目も楽しい、フランスのお菓子です。 ラインナップはおよそ20種類。そのうち7種類が日替わりで店頭に並びます。
オープン前に行列が
オープン1時間前には行列が。 お客さん:「プレオープンの時も並んでいて、すごいな思いました」
お客さん:「インスタで、オープン前からチェックしていて、すごくかわいいお店で。箱までこだわっているということで来ました」
人気店のオーナーが花井美里さん(35)。
花井美里さん:「私、もともとカヌレがすごく大好きで、ただ、この辺で買えるのが、本当に数カ所しかなくて、味も1種類2種類くらい。なので、本当は、もっといっぱい色んなカヌレを食べたいし、身近にあったらうれしいなと」
Q.カヌレの特徴は?
花井さん:「外がカリっと、中がモチっと。あとはバニラの香りいというのが、特徴的なお菓子」
裾野市の煎茶、沼津市の甘酒…こだわりは地元の食材
「カヌレ」とは、フランスの伝統菓子。 小麦粉や牛乳などで作る生地を1日じっくり寝かせた後、専用の型に流し込み、オーブンで焼き上げます。
こだわりは、地元の食材を使うこと。裾野市でとれた煎茶や、沼津市の酒蔵の甘酒を使うなど、地元の味を生かしています。
花井さん:「地元の食材でおいしいものを作って、お客さんに提供できれば、と思っている」
そんな花井さん、実はもともと別の仕事をしていました。 沼津駅近くにある居酒屋「花の菜」。
花井さん:「4名様、ご予約のお席を用意しています」
Q.きょうはその4人とおひとり?
花井さん:「はい、そうです。でも、ご予約があるだけありがたい」
かつては、常連客でにぎわっていました…。
花井さん:「売り上げは、平均すると3分の1くらい。お客さんが来ない日がありました、何日も。今まではなかったんですけど、お客さんゼロという日はけっこうありました」
ピンチをチャンスに… 逆転の発想でカヌレ専門店オープン
そんな状況の中、カヌレ専門店をオープンさせた理由。
花井さん:「コロナでお店が忙しくなくなって、結構いろいろなことを考える時間が増えて。でもこのピンチをチャンスに変えられたらなと思いまして…」
ピンチをチャンスに。逆転の発想でオープンさせたのが、カヌレの専門店です。
去年7月、知り合いのフレンチのシェフに相談。半年かけて試作を重ねてきました。
取材したこの日、開店わずか1時間…。
花井さん:「すみません。本日分、もう完売となってしまいました。申し訳ございません。申し訳ございません」
用意した500個のカヌレは完売。オープン以降、大盛況が続いています。
花井さん:「ちょっと驚きと、どう改善していこうかと…」
Q.うれしい悲鳴?
花井さん:「大変うれしく思っています。一つ一つ手作りですし、雑にしたりとか、いっぱい作ろうと思うと、商品自体のクオリティも下がってしまうので、今はこれが限界ですね」
そして、この日も、夕方からは、居酒屋での仕事。
花井さん:「例えばだが、従業員の給料も払えない、家賃も払えないという状況が、本当にあまりにもずっと続いたら、それはもちろんやめるしかないが、今のところ、ギリのぎりぎりをいっているので、お客さんのことも考えたりとか、自分自身も続けたいと思っているので、このままやっていきたいと思っています」
あるときは、居酒屋の女将として…。またあるときは、行列のできる人気洋菓子店のオーナーとして…。
花井さん:「やりぬきますし、やりぬくために協力してくれるスタッフも、こっちも、カヌレもいるので、大丈夫だと思います」