「人手不足」に「0時待ち問題」…課題山積の長距離ドライバーに密着 「駐車場が空いてない!」

 最近ニュースでよく耳にする「2024年問題」。これは来年4月1日からトラックドライバーの長時間労働の改善が強化されることで、結果的に輸送量の減少が懸念されている問題です。

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ドライバー「時間外労働の制限」は人手不足に拍車をかける恐れも

静岡県トラック協会 佐野寛会長:「労働時間、いわゆる残業時間の短縮という形で、現在でも人手不足で、100%荷主の要求に応えられていない状況なので、ここで時間の短縮を実行するとなると、労働力が確保できない以上は物流に滞りが出てくる」

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 こう話すのは静岡県トラック協会の佐野寛会長。5月29日に開催されたトラック協会の総会でも、「2024年問題」について、会員に熱く訴えかけました。

 ところが、この時間外労働の制限は、トラックドライバーの労働環境を良くしようとする狙いがある一方で、人手不足に拍車をかける可能性があるといいます。県内のトラックドライバーはおよそ4万人。そのうち50歳以上のドライバーが全体の4割を占めています。20代から40代のドライバーが新たに入ってこないという現状があるのです。

トラック協会会長「全産業の平均並みの賃金必要」

画像: トラック協会会長「全産業の平均並みの賃金必要」

 本来、トラックドライバーは走行距離に応じて「運行手当て」が支給されるため、走れば走るほど収入が増えますが、働いてもいい時間が制限されることで収入が減ってしまいます。収入が減れば、離職に繋がる可能性もあり、トラックの数も減ることになります。つまり、「安定的な物流」という観点で、私たちの生活にも大きな影響を与える可能性があるのです。

静岡県トラック協会 佐野寛会長:「ドライバーに新規参入してもらうには、やはりきちっとした全産業の平均並みの賃金を支払うということが一番大事になってくる」

深夜の高速はいつも「大渋滞」

 安定した輸送力を確保するためには、人手不足の解消が課題のトラック業界。ところが、高速道路上でも新たな問題が発生しています。

画像1: 深夜の高速はいつも「大渋滞」

 その問題とは「0時待ち問題」です。

 東名高速道路の上り車線。最後に料金を払うのが「東京料金所」です。午後11時。複数のトラックが路肩に駐車しています。高速道路上の駐停車は、道路交通法で禁止されているにも関わらず、続々とトラックが路肩に…。

 さらに、あろうことか、トラックから降りて高速道路上に出る運転手も…。そして、1台のトラックが完全に料金所の前で停車。

画像2: 深夜の高速はいつも「大渋滞」

 路肩だけでなく、本線上にもトラックが止まり始め…。あっという間に3車線すべてがトラックで埋め尽くされてしまいました。

 トラックの大渋滞で、最後尾も見えず、渋滞の中には一般の車両も紛れていて、身動きが取れない状態に。そして、午後11時59分。列の先頭ではトラックがゆっくりと動き出します。

午前0時

 堰を切ったように料金所を通過し始めます。午前0時が、まるでスタートの合図かのように、一斉に料金所を通過するトラック。

 そして、日付が変わって15分が経つと…渋滞は解消され、ガラガラに…。深夜の高速道路の“異様な光景”。その理由が…。

画像: 午前0時

トラック運転手
「高速道路が深夜0時から割引になるから。それをめがけて。会社も割引になったらちょっとは助かるかなと思って…」

 トラックの狙いは「深夜割引」。深夜0時から午前4時の間に料金所を通ると料金が3割引きになるため、大渋滞が夜な夜な発生する事態に…。

 こうした問題を受け、国土交通省は今年1月、現行の「午前0時~4時」を「午後10時~午前5時」に、深夜割引の時間帯を拡大する方針を発表。
来年度(2024年度)中に適用される見通しです。

 ところが、この制度の見直しに長距離ドライバーからは懸念の声も…

長距離ドライバー
「来年以降の新しい制度でも、また“新しい問題”が出るのかなと思う」

 いったい、どういうことなのか? 深夜の長距離輸送の現場に密着しました。

深夜の長距離輸送の現場に密着

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「きょうはよろしくお願いします」

画像1: 深夜の長距離輸送の現場に密着

 長距離輸送専門のドライバー、大村さん。午後4時半に千葉を出発し、大阪を目指します。その距離500km以上。到着は深夜。割引料金の適用を受けることが出来ます。

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「きょうはいつもより、渋滞の伸びが長い…」

 さっそく、首都高の渋滞にはまってしまいます。千葉を出発して3時間半が経過。静岡県内を走行中に突然…。

【アラーム音】「ピピピ…」

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「鳴りましたね。残りの走行時間が30分。30分以内に休憩を取らないとダメです」

画像2: 深夜の長距離輸送の現場に密着

 長距離ドライバーは、連続4時間運転すると30分間の休憩をとることが求められています。

駐車できない…

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「(4時間まで)30分をきったので、静岡(SA)に入ってみようと思います」

 大村さんは新東名・静岡SAで休憩を取ることに…。ところが。

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「あ~、ギチギチですね…全然だめだ。ここはだめなので、次に行こうと思います」

 諦めて次の藤枝パーキングエリアへ。しかし…

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「入っていく側としても気をつけて減速して進まないと、めっちゃ危ないですよ…」

 パーキングエリアにつながる道にも何台ものトラックが…。大村さんによると、長時間運転の休憩だけでなく、「0時待ちのドライバー」も多いと言います。

画像: 駐車できない…

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「ちょっと無理だな、さすがに…全然止まれない。次止まらないと、3度目の正直で止まらないと。ちょっとマジで4時間オーバーするんで」

 休憩が必要となる4時間のタイムリミットが迫る中、さらに先の「掛川パーキングエリア」へ。

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「お!空いてますね!1個空いていました! 良かった~。本当に良かった…」

 千葉県を出て、掛川市までちょうど4時間。なんとか駐車することができました。

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「4時間に1回30分の休憩を取れなかったら。会社としてもだめだし、それを守らなきゃって思いながら走ってるんだけれど、お客さんのところにつかなきゃいけない時間もあると考えると、そこの板挟みっていうのはありますよね…」

来年度以降、実施予定の「深夜割引」には不安も

 一方で、来年度以降、制度が変更となる予定の「深夜割引」。実は、時間帯が拡大されるだけではありません。見直し後は、対象時間帯に走った分だけが割引されることになるんです。例えば、午後8時から午前1時の間、高速道路を走行した場合、現在はすべてが割引の対象ですが、見直し後は午後8時から10時までの走行分は割引の対象外になります。

画像: 来年度以降、実施予定の「深夜割引」には不安も

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「交通が集中するでしょうね、どう考えても。(割引を受けるために)その時間にピンポイントで走らなければいけなくなっちゃうので…」

 割引の対象となる時間帯に出来るだけ長い距離を走ろうとし、無理をするドライバーが出てくる懸念もあります。

フジトランスポート野田支店ドライバー 大村勇一郎さん(38)
「じゃあ、出発します」

午前1時

 千葉を出発してから8時間半。大阪に到着しました。この日の高速料金は、1万2400円。3割引きが適用です。

画像1: 午前1時

フジトランスポート 川上泰生執行役員
「高速道路の“0時待ち”問題や、トラックのSA、PAでの駐車スペースが少ない問題等も含め、いろんなものについて問題解決をしていかないと
今後の物流というのは、非常に難しくなってくると思っております」

 私たちが欲しいものを買い物をしたり、指定通りに宅配便が届くのに必要不可欠な物流。深夜の県内でも大渋滞が起きる中、課題はまだまだ山積しています。

    (5月31日放送)

画像2: 午前1時