「メロンパン、アップルパイもあるよ」 でも本業は…? 駅前の靴店が二刀流に挑戦 静岡・磐田市
「パンを売っているが、靴屋なんですよ」
お好み焼きに…、こちらはクレープ。 毎週火曜日に磐田駅前で開催されているフードフェスタ。その一角、青のテントのこちらはパンのお店。
親子連れの母親:「どれがいい」
店主:「一応ね、これがメロンパン」
母親:「メロンパン大好きじゃん」
店主:「これがリンゴジャムパイ、アップルパイ」
子ども:「これにする~」
母親:「ママはこれにしようかな」
店主の渡辺俊朗さん、去年10月からここでパンの販売をはじめました。しかし本業は…
店主:「パンを売っているが、靴屋なんですよ」
母親:「靴屋さんなんですか」
店主:「そこの目の前のプリンスという靴屋なんですけど、パンも最近売り始めたんですよ」
母親:「すごいですね、いろいろ。靴屋さんの方も見てみます」
コロナによる外出自粛で靴が売れず…
渡辺さんの本業は、磐田駅前の商店街にある「靴屋」です。70年近く続く「靴のプリンス」。市民が「お気に入りの一足」を買い求める場所として、にぎわっていました。しかし郊外に大型ショッピングセンターが出来たことや、長引くコロナ禍での外出自粛が追い打ちをかけ、客足が遠のきました。
渡辺さん:「コロナでお出かけをしてはいけないという空気になると、やはり出かけるタイミングで靴屋洋服を買われる方が多いと思うので、出かけてはいけないとなると靴を買うタイミングがなかなか出てこないというところがある」
そんな苦境を乗り越えようと目を付けたのが「パンの販売」です。店内にパンを並べるための台車を設置、食パンや菓子パン、総菜パンなど数種類を取りそろえています。
靴のプリンス渡辺俊朗さん:「靴の売り上げが落ちてきた事もあって、新しい事をやっていかないと難しいだろうと思った時に、そういったところで新しい風を吹かせようと食べ物をやろうと前々から考えていました」
商店街の人たちの励みにも
店に並ぶパン。
渡辺さん:「スミマセン、忙しいところ、ごめんなさい」
市内のパン工場から毎日出来立てを仕入れています。
パンの郷 スタッフ:「焼きそばこっぺがお2つ、ベーコンチーズがお1つ、こちらがプレミアムバターリッチがお2つ」
渡辺さんには、人通りが少なくなった駅前の商店街を活気付かせたいという思いもあります。
パンの郷 スタッフ:「なんで靴屋さんなのにパンなのかなとも思ったが、駅前が静かだから何とかしなきゃって行動する気持ちに心打たれたというか、すごいなと思って」
応援を受けながら奮闘する渡辺さん。昼ごはん時、お客さんです。
渡辺さん:「じゃあ、これ、230円」
近所の商店の主人:「はいありがと」
渡辺さん:「300円お預かりね」
近所の商店の主人:「すごいと思うよ。僕はすぐそこの洋服屋だけどさ、若かったらいろいろやりたいけどね。このマスター若いからいろいろ挑戦してるから、すごいと思うよ」
商店街の人たちの励みにもなっています。
渡辺さん:「本業は靴屋なので靴が売れたほうがもちろんいいが、パンとかおにぎりを買いに来た時にそのお客様がついでに、ああ靴も置いているんだと。そういえば昔からここのお店やっていたよねという形で動機付けになった靴を買いに来た方が、最近パンも置き始めたんだと一緒に買っていただける相乗効果があると。お互いいいところを伸ばしていけるという考えはある」
創業70年を迎える靴のプリンス。靴店、パンを売る。二刀流は続きます。