浜松で生まれた「フードデリバリー」運ぶのはタクシードライバー 誕生の背景にコロナ禍

 今やすっかり定着したフードデリバリー。浜松市で生まれた新しいサービス、「フーデリックス」とは?

画像1: 浜松で生まれた「フードデリバリー」運ぶのはタクシードライバー 誕生の背景にコロナ禍

宮崎玲衣アナウンサー:「一体どんなものなのか、実際に注文してみたいと思います」

 注文は、スマホやパソコンから。

宮﨑アナ:「これにします。注文完了」

 専用のサイトで、メニューや自分の名前、配送先などを入力するだけ。

「待つこと数十分」

浜松タクシー 佐々木高志さん:こんにちは。お待たせしました。フーデリックスでございます。こちら商品になります」

宮﨑アナ:「ありがとうございます。おいしそう」

画像2: 浜松で生まれた「フードデリバリー」運ぶのはタクシードライバー 誕生の背景にコロナ禍

届けてくれたのは…

 届いたのは、おいしそうなスペイン料理の盛り合わせ。と、ここまでは普通のデリバリーサービスですが…。

宮﨑アナ:「配達員の方がスーツを着ていらっしゃる」

 ユニークなのは、この方の職業。

浜松タクシー 佐々木高志さん:「タクシードライバーです」

 なんと、料理を運んできたのは、現役のタクシードライバーだったんです。後部座席には、人ではなく出来たての料理が。

浜松タクシー 佐々木高志さん:「人の口に入るものですので、何か粗相があってはいけません。そういった意味で違った緊張感があります」

画像1: 届けてくれたのは…

 このサービスを始めたのは、浜松市のデリックスという会社。

デリックス 安田圭吾さん:「配送員がよくあるデリバリーサービスとは違って事業者様ですね。配送のプロに行っていただいている」

画像2: 届けてくれたのは…

 客がフーデリックスのサイトから料理を注文すると、その情報が飲食店にも届きます。混雑状況などをみて、その注文を店が受諾すると、フーデリックスから、タクシー会社を通じて配送に行けるドライバーに連絡が入ります。ドライバーは指定の時間に飲食店で料理を受け取り、お客へ届けるという仕組みです。

背景にコロナ禍…飲食店もタクシー会社も売り上げ減で

 このサービスを始めた背景にはコロナの影響がありました。

 浜松市中区にあるスペイン料理店「エルカミーノ」では、コロナ前に比べ売り上げが6割から7割減少。浜松タクシーでも半分以下にまで減りました。苦境にある飲食店やタクシー会社を支援する事業として、1年半前にスタートしたのです。

エルカミーノ 中野雄司オーナー:「タクシーが運んでくれるのはすごく理にかなっている。自社ではなかなかデリバリーまではできないのが現状なので、そこでデリバリーまでしてくれるのは一気に客層の広がりがあります」

浜松タクシー 佐々木高志さん:「いろいろと協力できる仕事の中でまた新たな仕事をやっていきたい」

画像: 背景にコロナ禍…飲食店もタクシー会社も売り上げ減で

 現在、参加しているタクシー会社は7社。飲食店は、当初60軒ほどだったのが、今では200軒以上に。そして、利用客数もおよそ20倍に増えました。

デリックス 安田圭吾さん:「実際に来店ができませんとか、お店を休業してくださいというような要請があった時に、どうしても売り上げを確保しなくてはいけない。僕たちも何か協力することができないかというところで手を挙げさせていただいたのがきっかけとなります」

タクシーが運ぶメリットは

 さらに、配送をタクシードライバーに依頼するという画期的なアイデアには意外なメリットも。

エルカミーノ 中野雄司オーナー:「やっぱり安心感はすごく感じます。タクシー会社さんは予定の時間通りピシッと取りに来ていただけるし、対応とかも安心できるのでそこは信頼しています」

 コロナ禍の今、テイクアウトやデリバリーは飲食店にとって命綱。充実させれば、新たな需要の開拓につながります。
こちらのお店では、あのアツアツ料理までテイクアウトメニューに。

エルカミーノ 中野雄司オーナー:「パエリアは取手の付いた鉄のパエリア鍋で炊くんですけども、テイクアウトでせっかく家で召し上がるときも、あの鍋がないとパエリアとは言いにくいので、できれば鍋のまま食卓まで持っていっていただいてスペインの雰囲気を感じていただければなと思います」

 デリバリーの活性化には、タクシードライバーからも。

浜松タクシー 佐々木高志さん:「お客様を運ぶことも私たちの仕事として第一ですけども、やはりそういった形で社会にお役立ちできていることが、私たちのモチベーションに繋がってやりがいを感じている」