「日本一臨時休館を有効利用した水族館」…飼育員5人の小さな水族館が行ったこととは 浜松市 体験学習施設「ウォット」
ウォット飼育員 7年目 工藤隆馬さん
「恐らくですけど。日本一臨時休館を有効活用した水族館をうたってもいいんじゃないでしょうか」
緊急事態宣言で休館に
浜名湖のほとりにある体験学習施設「ウォット」は、2階建ての小さな水族館。浜名湖や遠州灘に生息する生き物、およそ150種類を常時見ることができます。中には、突然変異で10万匹に1匹生まれるという「パンダ柄のウナギ」まで。
飼育員は5人。子どもたちに生き物との触れ合い体験や、交流イベントを通して、学びの機会を提供してきました。しかし…
ウォット副館長 大竹純也さん
「(生き物に)触れるところが強み、うちのストロングポイントで売り出していたので、そこが出せなくなるのは辛い部分があった。小学校の団体とか、幼稚園の方もやはりコロナになってからはキャンセル、客足が減ったというのは事実」
コロナ禍で接触したり、密になったりするイベントは全て中止に。緊急事態宣言下のいまは、休館を余儀なくされています。
ウォット副館長 大竹純也さん
「観光に行くとか出掛けることが世間的になかなか厳しい。来てくださいというお願いはできないし。私も含めてほかの飼育員も全員歯がゆいなという気持ちで過ごしている」
動物の世話で出勤の飼育員…休館中でしかできない作業
午前10時、本来ならオープンしている時間。客のいない静まり返った館内、と思いきや…。 ノコギリの音がします。
Q.何を作っている?
ウォット副館長 大竹純也さん:「カメを飼育するためのケージ」
休館中であっても、生き物たちの世話のために出勤しなければならない飼育員たち。余った時間を有効活用するDIYです。
ウォット副館長 大竹純也さん
「休館中でしかできない作業ということで、普段はここまで時間をとってゆっくりやれないので。小・中学とやってきた工作…技術でやってきたぐらいのレベルです。強度はそれなりに考えてやって作っています」
ウォット飼育員 7年目 工藤隆馬さん
「素人です 全然言っていい」
さらにつくってしまったものが…。
飼育員 大竹さん
「これなんかも作ったやつなんですけど」
これも今回の宣言中につくったもの。飼育員5人だけでイチからつくりました。技術は拙いかもしれませんが、強度は申し分なし。特徴は集合住宅のように並んだ水槽です。
ウォット飼育員 7年目 工藤隆馬さん
「ここの水槽自体はスポット水槽という名前がついていて、何かひとつのテーマを決めてそれに特化した生き物を入れたいなという感じ。今が旬の生き物でバーッと並べてもいいし、例えばアジの仲間でそろえるとかね、夢がありますね。水槽の数も16個あるので16種入れられる」
他にも、お金をかけずにリニューアル。巻貝の飼育水槽。もとは「パスタ用の容器」。廃材を利用した説明ボードやイラストも飼育員の手作りです。
ウォット飼育員 3年目 堀江侑美さん
「やったことのないこともするので大変なんですけど、再開した時に変わったウォットを見てもらいたいなという思いで、みんなで頑張ってやっています」
ウォット飼育員 1年目 松本向生さん
「これを機に、自分たちでこのウォットを見直すことができたので、それはすごいプラスにつなげるチャンスにできたかなと」
深まる絆…黙食でもスタッフみんなで昼食を
緊急事態宣言が発令され、将来の不安に悩まされることもありましたが、良かった部分も多いといいます。
もうひとつの変化が、スタッフ皆と食べる昼食です。
飼育員 工藤さん 大竹さん
「うなぎですよ!」
この日は副館長の誕生日ということもあり、うなぎ弁当に。本来、全員が顔を合わせるのは難しい仕事。宣言の間だけは、黙食でも一緒に昼食をとるようにしました。かけがえのない仕事仲間との時間。休館を前向きにとらえた時に、いっそう「絆」が深まりました。
宣言が解除されれば、来月1日から営業を再開する予定で、新しくなった施設をお披露目する日を心待ちにしています。
ウォット副館長 大竹純也さん
「小さなお子さんにも浜名湖にはこんな生き物がいるんだとかそういった発見とかをしてもらいたい。まずは楽しんでもらいたい、より浜名湖を身近に感じてほしいなと思います」
(9月28日放送)