「丁字型の防空壕に逃げ込みました…」 脚本の朗読で空襲体験をリアルに伝承 静岡県立大学で特別講義
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、静岡県立大学では静岡空襲を学生らに伝える特別講義が行われました。
県立大学で5年前から行われている特別講義には、大学生や一般の市民らおよそ30人が参加しました。
戦争体験者の証言を聞いた静岡県舞台芸術センター・SPACの俳優 奥野晃士さん(53)や、静岡平和資料センターの職員らが出席し、当時の静岡市の状況を映像などを使って説明しました。
1945年6月20日の静岡空襲では、アメリカ軍の爆撃機B29による無差別の焼夷弾が静岡市中心部を襲い、2000人以上が犠牲になりました。
(朗読):「丁字型の大きな防空壕があったので、そこに逃げ込むことにしました」
映像を使った説明に続き、行われたのは奥野さんが静岡空襲を経験した人の証言を基に書いた、脚本の朗読です。
読み上げる学生:「小長谷、奴らの爆弾は焼夷弾といって、ものすごい威力だもんで建物も一瞬で燃えてしまうそうだ」
別の学生:「私はまだ焼夷弾の本当の威力を知りませんでしから」
読み上げる学生:「隣の建物が炎に包まれたとき、身の危険を感じた私はとっさに工場長の手を引いて走り出したのです」
聞くだけではなく、戦争のリアルを声に出す。
国際関係学部2年:「(脚本の朗読は)自分が実際声に出して読むことで、気持ちに入りこめるいい機会だったなと思います。悲惨な体験を昔の記憶だけで終わらせずに、今自分たちが感じていることとか昔の人から伝えてもらったことをしっかり受け止めて、次の世代に継いでいくことが大事だと思いました」
奥野晃士さん:「戦争というのは究極の人権侵害。人間の尊厳とか平気で踏みにじられる要素が多分にある。人権に対する意識というのは世界中で持っていただきたい」