「想像もできなかった事態」…反政府武装勢力タリバンにより政権崩壊 アフガニスタン出身の医師、不安を語る 静岡・島田市

 アフガニスタンは、反政府武装勢力タリバンによる攻撃で政権が崩壊し、混乱が続いています。30年近く現地の支援を行っているアフガニスタン出身の医師が不安な思いを語りました。

 おととし12月、アフガニスタンに向かう静岡県島田市の医師、レシャードカレッドさん。アフガニスタン出身で、日本で医師になり、1990年代から現地で医療、教育面での支援に取り組んでいます。

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 コロナ禍で1年半以上、現地には行けていませんが、今回の事態は「想像も出来なかった」といいます。

島田市の医師 レシャード カレッドさん:「あまりにも今までの政府、軍隊がこんなにももろくつぶれて崩壊するのかと驚きが隠せない」

 15日、アフガニスタンの首都カブールの空港は、「国外脱出」を望む人々が押しよせ大混乱。その発端は、反政府武装勢力「タリバン」です。首都カブールで大統領府を占拠し、政権は崩壊。市民生活は混乱し、銀行には長蛇の列が出来ています。

「公務員は出勤しない。店もほとんど閉まっている」

画像: 「公務員は出勤しない。店もほとんど閉まっている」

アフガニスタン 2019年 提供:カレーズの会

レシャード カレッドさん:「公務員は出勤しないし活動がほとんど停止している状態で、店もほとんど閉まっている。何が起こるか分からないという恐ろしさ、不安で出勤していない」

 しかしタリバンには、変化も見えています。ロイターによれば戦闘員は「民間人を恐れさせないように命令されている」といいます。さらに、国際社会が懸念を示していた女性の社会参加についても、イスラム法の範囲内で認めていくと表明しています。

レシャード カレッドさん:「(学校でも)女子が今まで通り学校に登校して勉強したり、その制限は一切加わっていないことを聞いて安堵している。これが国民がどこまで信用するのかが大きな課題」

中村哲さん、伊藤和也さんの思いを継いで

画像: 中村哲さん、伊藤和也さんの思いを継いで

 これまでアフガニスタンの平和のために尽くした日本人。おととし現地で武装勢力に銃撃された医師、中村哲さん。そして中村さんの元で支援活動をしていて、2008年に同じく武装勢力に殺害された掛川市出身の伊藤和也さん。2人の思いも継いで現地の支援を続けるレシャードカレッドさんは、アフガニスタンの行く末を案じています。

レシャード カレッドさん:「この20年は国際社会が一生懸命応援してアフガニスタンを支援したり、その中で中村先生を始め伊藤さんとか、一生懸命作り上げた基礎があって、作り上げたベースがどういう風にこれからも機能を続けられるかやっていけるか不安」