荷物は増加、ドライバーは不足…宅配業者の大きな負担は「再配達」 ネットスーパーは運び手確保に一工夫 静岡
静岡市にある宅配業者。主に法人向けの荷物を取り扱うこちらで、負担になっているのが…。
広伸配送 梅原陽平課長:「こちらの方に不在の荷物は置いてあります」
再配達の負担…連絡がなくても3回は配達
宅配業界で長年問題になっているのが再配達です。
広伸配送 杉山真明課長
「連絡がなくても、3回は(配達に)行かないといけない。3回(配達を)繰り返したあとに不在だったら、一回保管になる。(その後)客から1週間連絡がなければ、返送になる」
この日、配送に同行させていただくと、最初に訪れた先で…。
杉山課長「不在っぽいですね」
スタッフ「不在なんですね」
杉山課長「はい」
スタッフ「ちなみに不在の時は、不在連絡票を書く?」
杉山課長「書きますね」
はじめに訪問した個人宅は留守。不在連絡票を書いて、ポストに投函しました。
杉山課長「不在票に、ご在宅日を連絡くださいというメッセージがあるんですが、連絡が来ない方も結構多い」
スタッフ「そういう場合はもう一度行く?」
杉山課長「そうですね。あすもう一回連絡がなくても、行きますね」
1日に何件も不在通知書を書くと、それだけで大幅な時間ロスにつながります。
スタッフ「いきなり不在でしたね」
杉山課長「そうですね。最初から不在ですね。そうすると、やっぱり荷物を満タンに積んでいるので、最初から不在だと荷物がはけないので、次の客の荷物も出しにくくなる。なので、そのまま不在で残ると、その後が大変ですよね」
こちらでは主に法人向けの荷物を取り扱っていますが、日付や時間指定も多いそうで…。
杉山課長「個人経営されている企業さんですと、少人数でやっているので、この時間はいないとか、この日はいないとか」
スタッフ「誰もいない時もある?」
杉山課長「あります。そうすると、また電話が掛かってきて、いまから来てくれとか、あすもう一回来てくれとか、そしてもう一回行っても、急用が入ったから、もう一回来てくれとか、そういったのありますよ。あと代引きの配達もあるんですけど、いま担当者がいないので、お金が払えないからまた来てとか、そういうのもあります」
この日の取材では、4件中1件が不在でした。こちらの会社の再配達は、個人向けを中心とする宅配業者よりは少ないそうです。
時間外労働…年間960時間に制限へ
そして、再配達と共に大きな問題となっているのが、1年後に迫る物流業界の2024年問題です。これまで、トラックドライバーは、時間外労働の制限はありませんでしたが、来年4月から年間960時間に制限されます。
広伸配送 梅原陽平課長
「基本的には、18時までの配送を受けているので、会社としては、2024年問題に引っかからないですが、他の業者はやはり朝と夕方に分けて、配達員を準備しなければいけない。それに際して負担は会社が、全部人件費などの経費を払いますので、やはりそこは荷主に配達料を還元してもらうのがベストだと思う」
政府の推計では、何も対策をしなかった場合、2030年には、およそ34%、輸送能力が不足する恐れがあるといいます。
ネット通販が拡大
こうした中、拡大傾向なのがネット通販です。コロナ禍で利用する人が増え、宅配の荷物は増え続けています。おととしの宅配便の件数は…およそ50億個。
ドライバー不足の深刻化が危惧される中、対照的に運ぶ荷物は増える一方です。
そんな中、県内に33店舗を展開するスーパーマーケット「しずてつストア」は、去年4月から地域密着型の買い物代行サービスをスタートさせました。
静鉄ストア店舗運営部 岡村直樹さん:「お客さまの買い物の多様化、手段の多様化によってリアル店舗、お店に来ていただくだけではなくて、お客さまの元へ届けなければならないといった部分も出てきている」
現在は、静岡市と藤枝市、沼津市の3店舗の対象エリアで、注文が可能。生鮮食品から食料品、日用品まで、およそ5000点から選ぶことができます。
静鉄ストア店舗運営部 岡村直樹さん「(1日に)だいたい30~40件、注文をいただいている。しかしながら、まだ(商品数が)少ない。これを1万点、1万2000点といった形で増やしていきたい」
スタッフ「端末に注文が登録されている?」 配送代行スタッフ「そうです」
3時間前までに注文すれば、指定した時間に配達してくれるそうです。ネットスーパーの展開にも欠かせない宅配ドライバー。しずてつストアでは、新聞配達店や宅配業者などと連携して、運び手を確保しています。
静鉄ストア店舗運営部 岡村直樹さん「本当に配送が一番大変です。商品を集める、商品をアップすることは、なんとかできる。配送だけはどうしても、私たちだけではなくて、お願いしないといけないので、そちらを一生懸命探している」