新型コロナ禍の老人ホーム 時間制限して面会再開…中庭には「コビットシールド」 静岡市
新型コロナで面会禁止に
巴の園 小泉きよみ施設長:「新型コロナが蔓延して、面会全面禁止・中止となったんです。家族との唯一の楽しみの時間であるというところで、なんとか会わせてあげたい」
静岡市清水区にある特別養護老人ホーム「巴の園」。69歳から108歳までの130人が入所し、一緒に暮らしています。
新型コロナの感染拡大により、老人ホームや介護施設で共通の課題となっているのが感染症対策です。高齢者は感染すると重症化するリスクが高いことに加え、集団生活をしているため、クラスターの恐れもあります。実際、今月1日には三重県の介護施設で、2日には千葉県の老人ホームでクラスターが確認されました。
巴の園には年間約4000人が面会に訪れます。感染症対策の一環で、2月から面会を中止しましたが、ある試みにより再開することができました。
「コビットシールド」で面会再開
巴の園 小泉きよみ施設長:「どういう風にしたら安全に3密を避けて面会ができるかなということを、みんなで相談して屋外で面会をしようということを決めたんですね。これがいいんじゃないというところでコビットシールド」
中庭につくられた「コビットシールド」。施設内にウイルスが入り込むのを防ぐ狙いです。アクリル板と木材で作られた仕切り。2メートルの距離が確保する赤いライン。飛沫を分散させるサーキュレーター。
面会者が建物の中に入らずに、入所者と会うことができるようお互いの動線も確保されています。
この夫婦は入所している母親に毎週会いに来ています。
静岡市内夫婦と90代入所者
女性:「元気そうだね 変わりない?良く眠れる?」
入所者(母):「眠れるよ」
女性:「良かった 良かった」
面会時間は最大15分。1日4組までに限定しています。
入所者(母):「ありがたいよね、みんなに良くしてもらってね」
女性:「またね」
入所者(母):「気を付けて帰りな」
アクリル板越しの面会であっても、顔を見ながらの会話は、入所者にとってかけがえのない時間になっています。
利用者 男性:「いつまた会えなくなるかわからないから、このフェンス越しですけど直接見ると本人もすごく気持ちは楽になっているみたいで」
利用者 女性:「元気な姿を自分たちの目で見られるというのが、一番私たちにとってもすごく安心ですね」
こちらの男性は、入所している叔父を訪ねてきました。
・静岡市内男性と90代男性
男性:「元気?」
入所者:「元気でやってるよ」
入所者の男性は、思わずアクリル板に寄ってしまい、注意されてしまいました。
入所者:「重大な話があったもんでね」…苦笑いです。
利用者 男性:「新型コロナが蔓延してから痛感しましたね。やっぱり生で会う、生で会話するのが大切だと、すごく感じました。アクリルも間にあるし、お互いの距離もちゃんとしなきゃならない。それはそれであるんですけど、それでも以前に比べればこれは本当に助かります。面会の時間が終わると、施設の職員が入念に掃除をします。仕事量は増えましたが、それ以上に増えたのがやりがいです」
職員:「(通常の業務が)中断して、大変な部分もあるんですけども、ご家族とか入所者の笑顔が見られて、この仕事をやっていて良かったと思います」
新型コロナの感染拡大で役割が大きくなっている高齢者施設。命を守り、笑顔を守っています。
巴の園 小泉きよみ施設長:「いろんなリスクがあると思いますけど、その1つ1つを除きながら、利用者、家族に寄り添っていくのが、こういう施設ではないのかなと思ってます」