夏の風物詩『安倍川花火大会』に黄信号…去年の台風で大きな爪痕 復旧・修復中の19カ所中14カ所が大雨でまた被災 静岡市
今年は7月22日に開催予定で、70回目の記念すべき大会となる「安倍川花火大会」。この静岡の夏の風物詩とも言える花火大会について、静岡市の難波市長は「間に合わせるために緊急的に整備する」と、危機感を持って言及しました。いったい何が起きているのでしょうか。
石田和外アナウンサー(去年9月):「普段はこの安倍川、所々中洲のようなものが見えるんですが、きょうは川幅いっぱいに茶色い水が海に向かって流れ込んでいます」
去年の安倍川花火大会の2カ月後、県内に台風15号が直撃しました。その爪痕は大きく…。
去年の台風で19カ所が被災
栗田麻里アナウンサー(去年10月):「安倍川の河川敷にあるサッカーグラウンドです。こちらご覧いただくと、地面が大きくえぐれていて、またゴールポスト下のコンクリートがむき出しになっています」
大人から子どもまで多くの人が野球やサッカーなどのスポーツを楽しむ安倍川の河川敷。去年の台風15号によって、河川敷にあるスポーツ広場33カ所のうち19カ所が被災し、グラウンドが冠水したり、一部が陥没したりするなどの被害がありました。
静岡市スポーツ振興課 小山貴史主任主事(去年10月):「被害状況から見て、市の予算だけで全てを修復するのが難しいと判断して、国の補助を受けられる都市災害復旧事業という形でほとんどの広場を修復していく」
台風15号による被害が広範囲で大規模のため、市は、国土交通省の補助を受けて工事をすることを決めました。その申請をしたのが、去年9月。そして、その予算が下りた今年1月末。
台風被害から国の予算がおりるまで、時間がかかったことで、市は大規模な復旧工事を進めることができず、今年3月、ようやく作業に取り掛かることができました。
当初は安倍川花火大会までに工事を終える予定でしたが…。
再び大雨が…復旧・修復中の19カ所中14カ所がまた被災
片山真人アナウンサー(2日):「静岡市を流れる安倍川です、お昼ごろには水位が1mほどでしたが、今は1.5m上り2.5mまで上がってきています」
片山真人アナウンサー(3日):「土曜日、日曜日といいますと、安倍川の河川敷には多くの家族連れ、子ども連れが訪れてボール遊びなどしている姿、少年団の子どもたちが野球をやったりという姿が見られますが、この時間帯その姿は見えません」
今月、台風2号の影響で梅雨前線が活発化したことによる大雨が、安倍川の河川敷を襲いました。そのため、復旧が終わっていたスポーツ広場8カ所のうち4カ所、修復中だった11カ所のうち10カ所が、再び被災しました。そのうち7カ所は安倍川花火大会の、桟敷席や屋台が設置されたり、観客が立ち入ったりする場所。このままでは開催に支障が出るため、先週、難波市長がこの問題について言及したのです。
静岡市 難波喬司市長(23日):「(スポーツ広場は)復旧が済んでいたところもあるし、まだ堆積土砂が残っていたところもあった、その上にまた土砂が入ってきたので、これを撤去する必要がある、特に直近でいうと、安倍川花火大会があるから、あれにはどんなことがあっても間に合わせないといけないので、それに間に合うように緊急的に整備は進めている」
市の担当者「順調にいけば間に合う」
安倍川花火大会は、7月22日開催。それまでに、復旧工事を終える必要があります。
26日、安倍川の河川敷を取材すると、整備は進んでいましたが、まだ、人が立ち入ることはできない状態でした。スポーツ広場を管理する市の担当者は…。
静岡市スポーツ振興課 伊藤勝宏係長:「花火大会の準備に数日日数を要するので。7月22日よりも前の日程で作業を終えられるように進めている。このまま順調にいけば、間に合う予定となっている」
市は重点的に、安倍川花火大会の会場の復旧作業を進めてきたこともあり、このペースなら、開催はできそうです。ただ、まだ梅雨の期間でもあります。再び大雨に襲われると、計画が大きく遅れ、開催に支障が出る可能性も残されています。
安倍川をよく散歩するというこちらの男性は
静岡市民 80代:「スポーツやるグラウンドは上の土が流された。整備が十分ではないときに来ると危ないから、制限したり、止める選択もやむを得ないと思う、その時の状況で」
安倍川近くの店舗「市民も楽しみにしている…」
安倍川から目と鼻の先にある、創業100年以上のあべかわもちの製造、販売をしているお店も、祈るような気持ちで、スケジュール通りの復旧を期待しています。
かごや 伊藤康司店主:「(去年は)以前普通に開催していたころのように、たくさんの客が来て、この辺りもにぎやかだった。コロナの対応が軽くなってきて、市民の人たちも楽しみにしている花火大会が中止になるのは残念なので、ぜひ、グラウンド整備も間に合って、開催してもらいたい。」
安倍川花火大会まで、あと1カ月を切りました。無事に開催できるよう、多くの市民が祈っています。
(6月27日放送)