「食」を見直すきっかけに 静岡市で博物館館長の講演会 テーマは「コロナ禍の食」
静岡市では博物館の館長による1日限りの講座が開かれました。テーマはコロナ禍の「食」です。
佐藤洋一郎館長:「この200万年の長い歴史を通じて、誰かが作ったものを自分が作ったものと交換して、それで命をつないで来たんです。そういうふうに考えると食べるという営みは、決して1人ではできないことなんです」
静岡市では50人の市民を前にコロナ禍の「食」について講演が開かれました。講師の佐藤さんは「和食文化学」に精通していて静岡大学農学部の助教授などを経て現在はふじのくに地球環境史ミュージアムの館長を務めています。
佐藤さんはこのコロナ禍を「大災害」と説明し、「方丈記」に描かれた大飢饉や地震など過去の災害と比較しながらコロナ禍の食の問題を提起しました。
佐藤洋一郎館長:「他の誰とも接触しなければ、コロナは完全に無くなります。だけど1カ月の間、2週間、他の誰ともあらゆる交渉を絶つってことができないのが人間なんです。これがコロナの大変に厄介なところ」
感染拡大にともなってひとりで食事をとる「孤食」が瞬く間に進んだことにも危機感をあらわにしました。
講演の最後にはこの大災害の中で生き延びる生活の知恵を伝授。過去、大火事の後に焼け跡で露店や屋台ができたようにコロナ禍でもデリバリーなど時代に合わせた食の形態が必ずあり、歴史から学べることを伝えました。講演を聞いた市民は自らの「食」を見直すきっかけとなった様子でした。