ウクライナからの避難者の通訳も…ロシア人女性「起きていることが信じられない」 ウクライナ人の友人と反戦訴え 静岡・富士市、富士宮市
5月31日、富士市で行われたロシア語講座。講師はロシア人の伊藤イリーナさん(50)。この日取り上げたテーマの1つが「食文化」。写真を使ってロシアや周辺の国の民族料理を紹介します。
受講者:「すごく優しい先生だと思います。授業も熱心にやっていただいて、準備も時間かけていろいろつくっているのがわかります」
イリーナさん:「言葉だけでなく文化・歴史・食文化とか、日本とロシアの違いを言うとみなさん喜んでくれる」
イリーナさんは、ロシア西部のサンクトペテルブルク出身。15年ほど前に日本人の夫と結婚し、来日しました。ロシア語の講師をしながら富士宮市内で暮らしています。これまでに、夫と子ども3人で故郷・ロシアを何度も訪れました。
「ロシア人にとってきょうだいのような国。信じられない」
今年2月始まったロシアによる軍事侵攻。
ウクライナにも友人がたくさんいました。
イリーナさん:「最初嘘でしょ。全然信じなかったですね。ウクライナ人は一番文化的・宗教的に一番ロシア人にとって近いきょうだいのような国。起きていることが信じられない」
激しさを増す戦闘。軍事侵攻が始まって3カ月あまりが経っています。
ウクライナから避難の親子の通訳を…「複雑な気持ち」
今年のゴールデンウィーク。イリーナさんにある依頼が来ました。ウクライナから富士市に避難してきた親子の通訳です。
イリーナさん:「複雑な難しい気持ちで行きました。ロシア人が通訳でいいか聞いて、『OK』って言ってくれたので」
5月17日、富士市役所。ウクライナから避難してきた親子と小長井市長の面会。イリーナさんも通訳として同席しました
避難者:「ちょっとだけ話させて…」
イリーナさん通訳:「軍人じゃない人、市民たち殺したり。女の人、子どもも殺したり。虐殺もあったようです。建物とか街を破壊している。日本のおもてなしにとても驚きまして、とても感動しました」
面会で避難者の男性が涙ぐむと…。
イリーナさん:「ロシアやソ連の文化では男の人は人前で涙見せない。体の大きな方なのに涙を流した。本当にとてもつらい思いしているんだと思った。想像していたより、もっと現場はつらい」
面会の後、イリーナさんは2人と連絡先を交換しました。
イリーナさん:「息子さんがイリーナの連絡先教えてと言ってくれて、心の中温かくなって、よかった」
ウクライナ人の友人と反戦訴え 娘同士は大の仲良し
5月29日、富士宮市…。イリーナさんはプラカードを持ち、反戦を訴えていました。
イリーナさんの隣にいるのは、沼津市に住む友人の斉藤エレーナさん(48)。ウクライナ人です。
10年ほど前、ロシア人やウクライナ人が集まるグループで知り合い
交流を続けています。エレーナさんも母国の惨状にいてもたってもいられませんでした。
斉藤エレーナさん:「涙止まらなかった。本当に叫びたかった。すごく心配なのは甥っ子。戦争やってる。軍隊に入ってるから。今一番もめているところにいる。(プーチン大統領は)人間と思わない。心あるって思わない。ここにいると平和だけど、向こうは毎日死んでいる人結構いる。私ここで何もできない。とてもつらい」
ロシア人のイリーナさんとウクライナ人のエレーナさん。2人の娘同士は大の仲良しです。
誕生日会をしたり、お互いの家でお泊まり会をしたり。
まりやさん:「優しくて、面白いところもあって、とてもいい友達です」
ソフィヤさん:「友達思いのところとか、みんなに優しいところとか。勉強面でも尊敬している。うらやましい」
平和を願う気持ち。それは子どもたちも同じです。
まりやさん:「私もウクライナ人の親戚たくさんいるし、ウクライナ人の方もロシア人の親戚たくさんいる。元々同じ言語を話してるし、友達もたくさんいるのにこうやって戦争になるってとても悲しい」
ソフィヤさん:「関係ない人たちが亡くなっていくところを見たくない。だから力ではなく言葉で決めてほしい」
ロシアとウクライナを思って…。
イリーナさん:「日本の方から一度も嫌な言葉を言われたこともないし、逆にロシア人と言ったら、みんなすごく温かい言葉言ってくれて、とてもうれしくなります。停戦の糸口も見えてこないまま、3カ月経ってしまったので、長期化になるともっともっと人の命が奪われるので、今話してるうちにもそういうこと起きてるかもしれないので、とにかく早く停戦してほしい」