「トレーごとレンジでチン」「骨がない干物」 進む「干物離れ」にアイデア商品で対抗 「骨が多くて食べにくい」消費者の声を反映 静岡・沼津市

伊地健治アナウンサー;:「やっぱり、干物って炭火で焼くのが贅沢ですよね、いい炭の香りと魚の焼けるニオイ、甘い油の香り、もうたまりません。あついあつい、うん、ふっくら、油が甘い、じゅわーっと広がって、たまりません」

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「トレーごとレンジでチン」「骨がない干物」 進む「干物離れ」にアイデア商品で対抗 「骨が多くて食べにくい」消費者の声を反映 静岡・沼津市

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 静岡を代表する名産品のひとつ「ひもの」。しかし、今、「ひもの」を食べる人が減り続けています。

静岡市民70代
Q.干物はあまり食べない?
A.「あんまな、めんどくせえからな」

静岡市民50代:「若い方はニオイが部屋の中にこもりやすいとか、子どもだと骨があって嫌とか、そういうのがある」

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 総務省が毎年行っている家計調査によりますと、去年、1世帯あたりの「塩干魚介」の支出額は、1万3024円。20年前は、1世帯あたり1万8741円でしたので、ここ20年で、およそ3割減っていることになります。

沼津港では…

画像: 沼津港では…

須藤誠人アナウンサー:「多くの海産物が揃う沼津港にやってきました。平日にも関わらず、多くの人たちが訪れています。そこで聞いてみましょう、きょう沼津港で何を食べましたか?」

愛知県から:「海鮮丼」
静岡市から:「生シラス」
山梨県から:「浜焼きとか海鮮丼」
神奈川県から:「こちらは握り」
富士市から:「海鮮丼を食べました」

 全国有数の「干物産地」沼津港で、「ひもの」を食べたという人を探すことが、できませんでした。

干物工場は最盛期の5分の1

画像: 干物工場は最盛期の5分の1

ヤマカ水産 小松寛社長:「最盛期は40年ぐらい前になるんですけれど、その時は300軒ぐらい(干物工場があった)。現在は約60軒で5分の1ぐらいに減ってしまっている」

 ニッポンの朝食の定番料理とも言える「干物」は、このまま食卓から姿を消してしまうのでしょうか?

 今週のニュースの現場は、「干物離れ」を食い止めるために、県内で行われている、さまざま取り組みに迫ります。

伊地アナ:「見たことがない。あっという間です、いやぁ、おいしかった」

スーパーの工夫

伊地アナ(田子重西中原店 静岡・駿河区):「静岡市内のスーパーマーケットです、年々干物の購入額が減っている中、こちらのスーパーでは、お客さんに干物を手に取ってもらおうと、さまざまな工夫をしているんです」

画像: スーパーの工夫

 入社3年目、海産担当の浅井さんに、売り場を案内してもらいました。

田子重西中原店海産担当 浅野どれみさん:「干物のコーナーこちらになります。ここから、こちらまでが干物コーナーとなっております」

Q.けっこう干物コーナー大きいですね?

A.「やっぱり静岡なので、干物が特徴的なので(コーナーが)大きくなっています」

Q.静岡の人は干物が好き?

A.「はい、干物はけっこう売れますね」

レンジでかんたん焼魚

画像1: レンジでかんたん焼魚

 「アジの開き」や、「サバの麹漬け」など、定番の干物が並ぶ中で、このスーパーが、今年、力を入れているのが、干物の新商品です。

田子重西中原店海産担当 浅野どれみさん:「ここのコーナーになるんですけど、レンジでかんたん焼魚となっていて、トレーごとレンジで温めれば食べられるようになっています」

画像2: レンジでかんたん焼魚

Q.トレーごとレンジで温める?
A.「レンジでチンすれば、食べられるように容器も工夫されていて、忙しい主婦などはグリルを使わずにすむので、洗い物とかいらないのでおすすめです」

Q.焼かない干物ということですね?
A.「はい」

伊地アナが調理しました

画像1: 伊地アナが調理しました

伊地アナ:「買ってきたトレーごと調理できる“レンジでかんたん焼魚”と書いてありますが、ホッケのみりん干しなんですね。ちょっとやってみようと思います。つまようじなどで3・4カ所穴をあけてくださいとなっていますからね、600wで3分20秒スタート! これで焼魚が出来るんでしょうかね。」

レンジ音 ピーピーピー

伊地アナ:「できました、どうでしょうか? レンジで干物、初体験ですけれど、熱々…なんかおいしそうですよ、すごくいいニオイがします」

伊地アナ:「見た目はね本当に普通の焼き魚です。ホッケのみりん干しという事なんですが、皮の方もちょっと焼き目が付いてますね。だからこれ元々少し焼いてあるってことなんでしょうね。身がふっくらしてる感じが分かります。いただきます。いいニオイ。熱々なんですけど、今まさに焼いたって感じです。レンジでチンしたって言われないと分からないですね。焼かないでこれが出来るって、ホント手軽ですね、おいしいです普通に」

 ふたたびスーパーマーケットに戻ります。こちらの店では、曜日ごとに「干物の特売」を行っていて、毎週火曜日は「アジの開き」が、お安くなります。

田子重西中原店海産担当 浅井どれみさん:「いま1枚(税別)198円ですけど、それが1枚(税別)130円になります」

Q.干物を買わなくなっている年齢層は?
A.「20代とか若いかたは魚よりも肉が好き」
Q.浅井さんもお魚よりお肉が好き?
A.「お肉が好き(笑)。お魚も好きです」

画像2: 伊地アナが調理しました

干物製造会社は「中骨取ったアジの開き」

 一方、こちらは、沼津で100年以上「干物」を作り続けている会社。

ヤマカ水産 小松寛社長:「弊社も昔と比べると生産量は減っています。10年前と比べたら枚数(生産量)は2割ぐらい減っている」

 「干物」の生産量だけでなく、沼津では、店や会社の数も減っているといいます。

画像1: 干物製造会社は「中骨取ったアジの開き」

ヤマカ水産 小松寛社長:「最盛期には300軒ぐらい(干物工場があった)。現在は約60軒で、5分の1ぐらいに減ってしまっている。魚が安定してとれなかったり、市場の飽和、あとは跡取りがいないなどで(干物工場の)軒数が減ってしまっている」

 そうした中、こちらの会社では、おととし、新商品を開発しました。

画像2: 干物製造会社は「中骨取ったアジの開き」

ヤマカ水産 小松寛社長:「中骨を取ったアジの開きですね」
Q.中骨を取ったアジの開きを始めた理由は?
A.「お客さんからアジのひものって骨が多くて食べにくいという声をいただいてから。それから取り組んだ商品になります」

 この「骨なしアジのひもの」が、大ヒット。現在では、売り上げ全体の、およそ2割を占めるまでになったそうです。

スーパーにも「骨を取った干物」

 スーパーにも、あらかじめ骨を取り除いた「ひもの」が売られていました。

 こちらは沼津の会社とは別のメーカーのもの。骨取りさばみりんです。フライパンでも調理できるということなので、フライパンで焼いてみました。油を引いたフライパンに…。

 骨が取ってある部分は筋のようになっています。魚の皮がくっついてしまわないか、心配だったのですが…。

画像: スーパーにも「骨を取った干物」

伊地アナ:「いい感じに焼き目が付いてます。おいしそう。魚の皮もくっついてないです、大丈夫です」
 
 フライパンでこんがりと焼けました。骨が取ってある「さばみりん」いただきます!

伊地アナ:「グリルじゃないんで余分な油が下に落ちないから、ちょっと油っぽいかなと思ったら、そんなことはないです。とてもおいしい。ちょっと焦げた皮目の所がパリッとしておいしい。骨を取るとかないから、パクパクいけちゃいます。完食しちゃいました」