高校生がお年寄りと電話やはがきで交流 見守り活動も 静岡・裾野市
県立裾野高校。放課後、生徒たちが教室に集まっています。真剣な表情で書いているのは…はがき。あて先は市内で1人暮らしをするお年寄りです。
2年生:「趣味とか、相手の方の生活のこととかを書いています。私と結構共通点があるので、毎回交わしていくうちにどんどん仲が深まっている感じとか。書いているのが楽しいなと感じる」
活動が始まったのは去年の7月。コロナ禍で自宅にこもりがちになっている1人暮らしのお年寄りが孤立しないようにと、生徒たちが電話やはがきで見守ります。1年の新実秀貴さんは77歳の山口正巳さんと電話でやり取りをしています。
1年生 新美秀貴さん:「とても元気なおじいちゃんです。毎日畑をやられてて、いつも盛り上がっています」
始めはぎこちなかったという2人ですが、10回ほどのおしゃべりを重ね仲を深めてきました。この日はいつもより少し日が空いて1か月ぶりの電話です。
電話:「プルルルル♪もしもし もしもし裾野高校の新美です、こんにちは。 こんにちは。」
「畑に行ってるんですか? 畑も行ってますよ。 おじいちゃんも(畑)やってるんじゃなかったけ? やってます。おじいちゃんおばあちゃん両方。そういう収穫したものを食べられるの幸せじゃん。はい。でも作ってもらうのはいいんですけど、それが自分の嫌いなものばっかなので。 そうなの? はい(笑)」
「今後は会いたいなと思いますか? そうだね、私の顔は分からないと思う。どんな顔していると思う? あってこした方がいいんじゃない?髪の毛はどういう形で、ひげは生えているのか生えていないのか(笑)」
笑いの絶えない会話に2人の仲の良さが伝わってきます。
山口正巳さん:「特に1人暮らしだから会話する人がいない。こういう若い高校生と話せるということはすごく重要だし楽しいし、生きがいにもなってくる」
1年 新美秀貴さん:「電話をかけることで、励ましてもらったりして進路とかも相談乗ってくれたりして、第2のおじいちゃん的存在になった」
この活動を始めたのは3年の山形千尋さん。きっかけは一緒に暮らしていたおじいちゃんに対する後悔でした。
3年 山形千尋さん:「おじいちゃんはもともと持病を抱えていて、毎週通院をしていたけど、体調の変化に気づけなくて、結局入院することになってしまった。それで、いくら身近にいてもおじいちゃんの体調の変化に気づけなかったというのが、すごく苦い思い出になっていて」
電話やはがきにはお年寄りの体調のチェックや安否確認の意味合いも含まれています。
山形さんはこの活動を校内に広めようと有志団体「Ring」を立ち上げました。山形さんが卒業したあと活動は後輩9人に引き継がれます。
3年 山形千尋さん:「本当のおじいちゃんおばあちゃんが新しく増えたみたいな感覚になって、自分たちにとっても嬉しい取り組みになっている。違った価値観に触れて自分自身が成長したなと思う」
コロナ禍で不安を抱えるお年寄りに高校生の思いやりが安心を届け、地域に新しい絆が生まれています。