「大井川鉄道」は運休、「夢のつり橋」は渡れず 台風15号で秋の観光シーズンに深刻な打撃 静岡・川根本町
温泉宿ではキャンセル相次ぐ
間もなく迎える紅葉シーズン。訪れた人たちを魅了する県内屈指の名所、川根本町で今、台風15号の爪痕に頭を抱えている人たちがいます。
温泉宿の担当者:「スタッフ一同、肩を落としている状況。本当にこのキャンセルについては、どんどん増えてしまうのかなと、本当にそこを懸念している。」
南アルプスの麓から湧き出る天然温泉が自慢のこちらの宿。被害は免れたものの、台風が過ぎてから1週間ほどで350人ほどの予約がキャンセルになりました。
今週末に控えた3連休の予約も、例年なら予約で全て埋まっている状態ですが、今年は2割から3割ほどにとどまっています。
旅館:「まだまだ(キャンセルの)実数というのは把握しきれていない、きょう現在も電話をもらうけど、状況を説明とかキャンセルの申し込みとか、いま正直申し上げて、そちらに手いっぱい」
年間売り上げの30%を、紅葉シーズンに賄っているそうですが、このままだとシーズン中の売り上げは、例年の半分以下になる恐れがあるといいます。
土砂崩れで国道がふさがれ…
川根本町に影を落とす台風の影響とは。
西尾梓アナウンサー(川根本町):「島田市の金谷駅から北に10キロほどの北に上った場所。国道473号は、この先の土砂崩れの影響で全面通行止めとなっています」
島田市から川根本町に向かう道路は、大井川を挟んで2本走るうち、国道が土砂崩れにより通行止め、県道を迂回する必要があります。
また、静岡市から向かう方法としては国道362号があるものの、こちらも葵区昼居渡地区で道路の崩落が発生。細い道を迂回する必要があり、大型車は通行できない状況です。
「大井川鉄道」と「夢のつり橋」の2本柱が
ところが、道路状況よりも影響が大きいと懸念されているのが…。
「奥大井観光の本当に大事な要素、大井川鉄道、夢のつり橋、2つの柱が倒れてしまった。」
川根本町の観光資源、大井川鉄道は、土砂崩れにより、現在も全線で列車の運休が続いています。井川線では千頭~接阻峡温泉で8日の運転再開を目指して復旧工事が進められていますが、大井川本線では金谷から家山までの部分開通でさえも12月上旬まで開始ができない見込みです。
さらに、紅葉シーズンには観光客で行列ができるほどの人気スポット「夢のつり橋」でも大きな被害が…。
西尾アナ「つり橋の近くで土砂崩れが起きていて、つり橋に行けません」
こちらも、つり橋周辺の歩道で土砂崩れが発生。つり橋を渡ることができず、遊歩道から眺めるしかできない状態です。現場には夢のつり橋を渡るツアーを担当する旅行会社の関係者が訪れていました。
御殿場市の旅行会社:「目的としていた夢のつり橋を渡れないということで、今回10月下旬にツアーをつくっていたけど、今回下見にきて中止と。大変好評で、キャンセル待ちが出るほどだったが、今は残念な気持ち、非常にもったいない、お店に立ち寄ったけど人もよくて自然もよくて本当にいい場所なのに、繁忙期にここにきても目的のつり橋、きれいな湖の青と紅葉のコントラストを見られないのは本当に残念」
貴重な観光資源をことごとく奪われた川根本町、来週からは国による観光の新たな喚起策である「全国旅行支援」がはじまります。そうした中での被害に、地元の声も切実です…
温泉宿の担当者:「この土地で長く生活してきて、こういう状況というのはいままでなかった経験。川根本町というのは観光の町、日本のいたるところから見えてもらって町が活性、活気づく街、そこにお客様がお見えにならない、なれないと本当に街自体も沈んでしまう、静かになってしまう、元気をなくしてしまうということが本当に残念。旅館自体は何ら支障なく営業させてもらっている、お越し頂けるお客様については誠心誠意真心を込めておもてなし、お迎えしたいと思っている」