あたり一面に濁流が…豪雨被害から1週間 書き入れ時の夏を前に人気のオートキャンプ場は 浜松市
新東名高速道路・浜松浜北ICから車でおよそ30分。浜松市天竜区にある“小川の里オートキャンプ場“です。昼は川遊び、夜は満点の星空が楽しめるなど県内外から年間5000人の客が集まる人気の施設です。
水の力の凄まじさ
伊地健治アナウンサー:「天竜川の支流、気田川沿いにあるキャンプ場です。先週の大雨で、番組に寄せられた動画では、川の水がこちらまで溢れていましたけども、今はその水は引いています。ただ、こちらご覧ください。川の水が運んだということなのでしょうか、おびただしい量の泥が堆積しています」
先週の大雨の影響で、大きな被害が出ました。翌日の放送では…
伊地アナ:「オートキャンプ場ということなんですけども、具体的にどのような被害が出ているのでしょうか?いま映像が映っています」
小川の里オートキャンプ場管理人 藤田一輝さん(3日):「はい、昨日の大雨から駐車場と管理棟がだいたい1m以上浸水してしまいまして。けさの時点では、川のほうは引いているんですけど」
豪雨被害から1週間…浸水は過去最高の高さ
あれから、一週間経った現場は? 電話取材に応えてくれた一輝さんの父、
藤田眞朗さん案内の元、取材しました。
伊地アナ「実際、川の水がどこまで増水して、どこまで上がってきたんですか?」
藤田眞朗さん「僕が来た時は(川の)波が」
伊地アナ「ここですか?」
藤田眞朗さん「このレール、柵が外れたところに(川の水が)ダバン、ダバンと来ていた」
伊地アナ「あの川の水が、ここまで水位が上がっていたってことですか? この道路まで。ここから下に見えるキャンプ場は、全部川の中っていうことですね」
藤田眞朗さん「そうです」
目の前を流れる川から溢れ出た濁流は、キャンプ場の全てを飲み込んだと言います。
伊地アナ「ここに生け垣があって、このあたりの葉っぱも泥がついているんですよね。当然、ここを超えたそれだけの水位になったということですね」
藤田眞朗さん「そうですね」
伊地アナ「恐ろしいですね、河川敷のキャンプ場なんですけど、私の身長を超えるところまで川の水が上がって来たことがわかります。(去年の)台風15号の時は、ここまで水は来たんですか?」
藤田眞朗さん「15号ですか?その時は僕が荷物を取りに来た時に(水の高さは)太ももあたりですね」
伊地アナ「ここまでじゃなかった?」
藤田眞朗さん「この(浸水の高さ)は、今までで最高ですね」
藤田さんはこれまで7年間、このキャンプ場を管理してきましたが、ここまで浸水したのは初めてだと言います。そして、この先には大雨被害による驚きの光景が広がっていました!
伊地アナ「あの面が川を向いてここに立っていたんですか。10mぐらい移動してますよね。」
管理棟が濁流で10mも移動
先週の大雨の影響で目の前を流れる気田川が氾濫。大きな被害が出た浜松市天竜区にある“小川の里オートキャンプ場“。あれから1週間経った現場を訪ねると、驚きの光景が広がっていました。
藤田眞朗さん「こちらを向いているのが管理棟ですね」
伊地アナ「あれ管理棟ですか」
藤田眞朗さん「こういう形でここにありました」
伊地アナ「えっ!管理棟が?」
藤田眞朗さん一段高いところにこっち向いて。それがあそこまで動いちゃった」
伊地アナ「管理棟のところに木の看板があって、案内受付って書いてあるんですけど、あの面が川を向いてここに立っていたんですか。10mぐらい移動してますよね。中がめちゃくちゃです。どうなっているんですか? 窓ガラスが割れていますね」
藤田眞朗さん「水圧で」
伊地アナ「中まで水が入ったって事ですね」
施設の拠点となる管理棟は、90度回転しながら、10mほど押し流されました。建物の中の壁は、大きくめくり上がり、大きな冷蔵庫はなぜか配電盤の上に押し上げられています。さらに、トイレに隣接するシャワー室は、完全に破壊されていました。備品を収納していた倉庫も浸水。発電機などが、完全に水に浸かってしまいました。
「自然の怖さを知った」
伊地アナ「被害はこれだけではありません。さらにあちら、テントサイトも一面にびっしり、土砂が堆積しています」
鮮やかな緑が生えるテントを張るスペースは、大量の泥で覆われてしまいました。
伊地アナ「これそのまま堆積している状況ですね。見てください、ここでわかる。ここがコンクリートの部分で、これ堆積した泥ですから。もう20㎝ぐらい堆積していますね。すごい固くなっている。粘土質のような泥ですね。」
濁流が運んできた、粘土質の重たい泥。これだけの泥を除去するのは簡単ではありません。
伊地アナ「改めて水が引いてこのキャンプ場の状況を見て、どう思いました?」
藤田眞朗さん「やはり、自然の怖さを知ったじゃないですかね」
復旧には1カ月以上
元々、土木建設業を営み、大型特殊自動車免許を持つ藤田さんは、自らブルドーザーを運転。1日も早い運営再開を目指しますが、復旧には1カ月以上かかる見込みだと言います。
被害のようすを見に来た常連客は、あまりに変わり果てた風景にショックを隠せません。
常連客「いや、こんな状態とは…。悲惨だね。去年の(台風15号の時)より降ったっていうこと?」
藤田眞朗さん「量が多かったね。天竜川と気田川と両方マッチしちゃった」
常連客「いや、悲しいですね。綺麗なところだったのに。これが災害の恐ろしさでもあるし」
キャンプ場は浜松市と連携しながら、長女の綾さん。長男の一輝さん、家族3人で運営しています。これまで経験した事のない甚大な被害。気になるのはお金。復旧するまでの費用は、いくらかかるのでしょうか?
藤田一輝さん「おそらくインフラ関係、各キャンプサイトについても数百万円でいけるのか、いけないのか。安くても数百万円っていう金額じゃないかなと思われます」
Q:市から補償金は出るんですか?
A.「いちおう、市のほうも前向きに検討する段階ではあるんですが、市の担当の方々と調整はさせていただいているので、まだ確定的な情報はわかりませんけど」
そして、復旧の目途は立っているのでしょうか?
長女 綾さん「全然目途がつかないので、個人的にはできれば1カ月~2カ月くらいでは(復旧したい)。これから夏本番も来るし、秋からは本格的なキャンプシーズンになるので、それまでには復旧作業を終わらせてオープンさせられたらいいなと思っています」
稼ぎ時でもある夏休み前の再開を目指し、復旧作業に当たっています。しかし、この日の取材中にも…
「ピロピロパーン、ピロピロパーン。」
「なんだろ?なんか警報みたいなの出ました?あ、僕たちも。」
緊急速報で高齢者等避難発令が出されました。これからの雨で、再びこの地域周辺の河川が氾濫するおそれがあるというのです。
長女 綾さん「週末も台風3号がこれから来るというので、どうにかずれて欲しいなと言うのと、まだまだ梅雨の時期が続くので、また同じ被害に遭ったらと思うと不安です。」
大きな被害に合ってから1週間経った今も、再び大雨に襲われるという災害への恐怖を抱き続けています。
(6月10日放送)