「完全復旧は1週間1カ月のレベルではない」…台風15号から1カ月、いまだ残る深い爪痕 ガス販売店の奮闘 静岡市清水区

 台風15号の被害から1カ月以上が経ちましたが、今も深い爪痕が残っています。復旧に向けて奮闘するガス販売店を取材しました。

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「完全復旧は1週間1カ月のレベルではない」…台風15号から1カ月、いまだ残る深い爪痕 ガス販売店の奮闘 静岡市清水区

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事務所の中に濁流…すべてを飲み込む

 静岡市清水区天王地区の「大石燃料」。家庭や事業所にプロパンガスのボンベを60年近くに渡って届けています。地域にとってなくてはならないインフラの拠点。9月の台風15号で被災しました。

 販売店を営む大石明弘(42)さん。

大石明弘さん:「会社の隣に小さな川が流れているんですけれど、きょうは川底が見えるくらい、いつもは全く水が少ない川なんですけれども、これが溢れてきまして、完全に川の水がここに流れ込んでくるっていう状態で」

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 発災直後、事務所の中へ押し寄せた濁流は、一瞬にして全てを飲み込みました。

大石明弘さん:「ここまで泥水がきていると、足下に何があるかわからない状態で、いろいろ動かしていたので、作業もはかどらずに真夜中の2時だったので、全てのものを(上に)あげるっていうことができなくて」

 在庫として保管していたガス給湯器は全て破棄。他にも、配送用のトラックなども水に浸かり、700万円を超える被害が出ました。

仕事をしながらの復旧作業

画像: 仕事をしながらの復旧作業

 被災後は、同業者から余っているガスボンベなどを届けてもらい、業務を続けています。水に浸かった事務所は先週ようやく、机などを入れ替えました。しかし…。

大石明弘さん:「急きょ、一番安い机を並べている。実はこのパソコンとかも、置いてあるだけで動かないんですよ、いつかデータだけ抜き取ってもらいたいと思っているんですけれど」

 仕事を続けながらの復旧作業。1カ月あまりが経っても、思うようには進みません。そうした中、大石さんはある取り組みをはじめました。

大石明弘さん:「これはもう自力だけではどうすることもできないと思いまして、みなさんのお力をお借りするしかないんじゃないかと思いまして、クラウドファンディングを2週間前に立ちあげさせていただきました」

 目標金額は500万円。来月末まで支援を呼びかけています。クラウドファンディングを始めた初日は、24時間で全国から50件近くの励ましのメッセージが届きました。支援は、全国だけでなく身近なところからも。

大石明弘さん:「クラウドファンディングを立ち上げた直後にメッセージが入りまして、『お車大丈夫ですか』とメッセージがきたんですよね。代車があるから使って下さいということで」

 清水区内の車の販売店が半年間、軽ワゴンを無償で貸してくれました。会社の名前「Disaster recovery がんばろう」という文字を添えて。

大石明弘さん:「完全復興には1週間1カ月のレベルではなくて、来年の春までに目途がつけられればいいなとそういったレベル感ですね。復興した後は、このいただいたご声援、ご協力を少しでも多く返していければと思っております」

 台風15号の被害から1カ月あまり。思うように進まない復旧作業。寄せられる支援の輪。来年の春に向けて…。

 毎日が、目まぐるしく過ぎていきます。