「汽笛が、蒸気の音が戻った日 大井川鉄道の運転再開を待ち望んで」【WEB限定特別企画】
今回は、台風15号で被災した大井川鉄道について。
3カ月の運休期間を経て、12月16日一部区間で運行を再開しました。再開を待ち望んでいた男性を取材しました。
伊地健治アナウンサー:
「崩れたその先を見てみますと、この下には大井川鉄道の線路が走っているんです。その線路も土砂によって完全に埋まってしまっています。大変な量の土砂が、国道、そして大井川鉄道の線路を覆ってしまっています。復旧までには相当な時間がかかるとみられます」
今年9月、台風15号で被害を受けた大井川鉄道。
大規模な土砂崩れの影響などで全線が運休になりました。
復旧のめどは、すぐには立ちませんでした。
12月16日
被災からおよそ3か月が経った今月16日。
蒸気の音、汽笛、歓声…。賑わいが戻りました。
五和駅から合格駅へ
渡邉琢史さん:
「こちらを見て頂ければ、よくわかる。こういう形で、メッセージノートですね。お願いとかを書いていただいて。もうすでにこれも20冊近くになっていまして」
島田市の渡邉琢史さん、76歳。
渡邉さんは、大井川本線の合格駅を拠点に活動する団体「チームおもしろ五和(ごか)駅」の代表です。
五和駅とはおととしまで使われていた駅名。
およそ20人のメンバーで、駅舎内の飾りつけや、観光客を歓迎するためのかかしの設置などの活動をしてきました。
渡邉さんの活動の原点は…
渡邉琢史さん:
「約60年くらい前にこの駅を利用させてもらって列車に乗って、通学した経験があるので、その時を思い出すと、その当時は、手段が電車しかないという形で、非常に混んでいて、大勢乗っている列車が見たいという気持ちになって、それからちょっとここに関わって管理みたいなのをするようになりました」
五和駅という駅名をもじって試験の前にお参りすれば合格が近づく。
全国から受験生たちが訪れる人気の駅へと生まれ変わり、おととし、駅名も正式に合格駅となりました。
渡邉琢史さん:
「土日はひっきりなしにお客さんが見えていただける、なにか活性化につながる形で、それが僕たちの励みになっている」
かかし
9月の台風15号。
大井川本線は運休に。紅葉シーズンを直撃しました。
汽笛や蒸気の音が無くなりました。
合格駅を訪れる観光客も激減。景色は一変しました。
渡邉琢史さん:
「ショックは受けました。災害の規模が大きすぎて、災害の。いつこれ開通するんだという形で、もう、見るたびにテレビを見るたびに」
それでも、車で駅を訪れる観光客のために…。
渡辺さんはメンバーと駅近くに設置したかかしを飾り付けました。
渡邉琢史さん:
「とにかくみなさんに喜んでもらおうというのが目的なので、今のような飾らせ方をさせてもらって、今ちょうど12月になってクリスマスの帽子を飾って、少しそういった味わいを味わってもらいたいと思ってやっています」
渡邉琢史さん:
「普段列車が動いて当たり前だと思っていたけど、いざ動かなくなると非常に違和感がありました。首を長くして開通を待っているんですけどね。当たり前の物がないと、当たり前でなくなるというかね。そういったことをその時は感じましたね」
出発進行
そして迎えた今月16日・・・金谷―家山駅間で運行再開です。
渡辺さん、合格駅で再開を見守ることにしました。
3カ月ぶりの運行再開。
大勢の家族連れや鉄道ファンが集まりました。
そして…。
出発進行―
久しぶりに響いた汽笛や蒸気の音―
合格駅を通過―
そして迎えた今月16日・・・金谷―家山駅間で運行再開です。
渡辺さん、合格駅で再開を見守ることにしました。
3カ月ぶりの運行再開。
大勢の家族連れや鉄道ファンが集まりました。
渡邉琢史さん:
「僕の若いころ見ていた風景がよみがえってくる。懐かしいとか思い出したような感じで、非常になくちゃいけないなと、うれしく思いましたね」
運休中にも多くの願い事、そして結果報告も―
渡邉琢史さん:
「やはりね、なくてはいけない。それが今まで空間があったためにね、より一層感じる気持ちです。長く続けて運行していただきたい。それが正直な気持ちです」
それでもまだ部分開通-
早く全線で開通しますように―