【大雨情報】36万6000人に避難指示…避難所には計26人 専門家「安全確保の行動をとることが目的」 静岡県

 活発な梅雨前線の影響で、静岡県内各地で土砂崩れが発生し、複数の自治体で避難指示が発表されています。大雨のピークは過ぎましたが、今後も土砂災害に警戒が必要です。河川の増水、土砂崩れが県内各地で起きています。

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【大雨情報】36万6000人に避難指示…避難所には計26人 専門家「安全確保の行動をとることが目的」 静岡県

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 氾濫危険水位を超え、避難指示が出される地域も。

竹内一夫記者:「川が濁流となって流れている」

 熱海市では線路沿いで土砂崩れが。

藤井記者:「JR伊東線の線路の法面が幅10メートルほどにわたって崩れています。現在は重機で土砂の撤去作業が行われています」

 JR伊東線は伊東駅から熱海駅の間で運転を見合わせていて、復旧の見通しは立っていません。伊豆急行も雨のため一部区間で運転を見合わせています。駅には電車を待っていた人が。

電車を待つ人(神奈川県へ)
「危なっかしいなと思っていたんですよね、きのうの夜から、手がないですね」

電車を待つ人(東京都へ)
「これは大変だよ。あすだって、どうなるか分からない」

 降り始めからの雨量は静岡市で233,5ミリ、浜松市で223ミリ、伊豆市の天城山で395ミリなどとなっています。あす3日午後6時までに予想される24時間雨量は多いところで200ミリ。さらにあさって夕方までの24時間に100ミリから200ミリが予想されています。

 長引く雨の原因は東海地方に停滞する梅雨前線です。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定となっています。梅雨前線は引き続き東海地方に停滞するため、県内では今夜、雷を伴った非常に激しい雨が降り、土砂災害の危険度がさらに高まる見込みです。現在、浜松市全域、静岡市南部、沼津市など多くの自治体に土砂災害警戒情報が発表されています。

 静岡地方気象台は土砂災害に厳重に警戒するとともに、河川の増水、低い土地の浸水に注意するよう呼びかけています。

 交通機関にも影響が出ています。東海道線の在来線は大雨の影響で、熱海駅から豊橋駅の間で最大1時間程度の遅れが出ています。三島駅から熱海駅の間は速度を落として運転しています。高速道路は新東名が藤枝岡部ICから愛知県の新城ICの間で通行止めとなっています。ネクスコ中日本によりますと、今後、藤枝岡部ICから新静岡ICまでの間も通行止めをする可能性があり、迂回ルートの利用を呼びかけています。

 5段階の警戒レベルのうち、上から2つ目レベル4となる避難指示は静岡市や沼津市、伊東市などご覧の地域に発表されています。対象は16万8000世帯余りおよそ36万6000人です。一方、自治体が指定する避難所を使用したのは20世帯26人にとどまり静岡市は利用者がいませんでした。

ほとんど避難しない状況に専門家は

 避難指示を出しながら、避難所にほとんど人が集まらなかったことについて、防災の専門家は…。

静岡大学防災総合センター 牛山素行教授:「避難所に行くことが目的ではなくて、安全確保の行動を取ることが目的なので避難所に人が集まらなかったことを否定的にとらえる必要はない。少しでも予定を変えるとかがあれば、それも立派な安全確保の行動」

 一方で自治体側の課題も指摘します。今回、避難指示を出した自治体のほとんどが、気象庁などが発表した土砂災害警戒情報を受けて避難指示の判断をしました。こうした基準も見直す必要があるといいます。

牛山教授:「(国の)ガイドラインでは、土砂災害警戒情報が出たら避難指示を出すということが条件となっているが、これはルールではない。最終的にはそこは各自治体の判断。仮にその条件で出してしまうと、高頻度で出てしまうということであれば、その自治体なりに現実的に運用可能な基準に見直していくこともありうること」