台風に竜巻…新幹線が最大5時間運転見合わせ 書き入れ時の台風襲来に観光地は 今週の静岡
16日水曜日、東海道新幹線と山陽新幹線は、最大5時間以上にわたって、運転を見合わせに。JR静岡駅付近の線路上には、身動きが取れなくなってしまった新幹線が止まっていました。
ホームには、長時間新幹線を待つことに疲れたのか、座り込む乗客の姿も…
山梨から奈良へ
Q.何時間待たされている?
A.「2時間半くらい。奈良まできょう行かなきゃいけないのに、どうしようかねって。今待つしかないという状況」
この運転見合わせにより、ダイヤが大幅に乱れたことで17日にも始発から遅れや運休が発生。平均の遅れが1分以内という正確性を誇る東海道新幹線にとって、まさに、想定外のお盆となりました。
この混乱を引き起こしたのが、16日に県内に最接近した「台風7号」。本体は、静岡県から遠く300km以上離れていたものの、県内に強い雨と風をもたらし、様々な影響を及ぼしました。
静岡市では竜巻が発生
静岡市を流れる安倍川から、空に向かって高く渦を巻く、水の柱。別の場所から撮影された映像には、海岸から安倍川に沿って移動している様子が捉えられています。この日、静岡市では、同じような2つの突風が発生し、静岡地方気象台は、その後の調査から、いずれも「竜巻」であると認定しました。
無残に横たわる白い軽ワゴン車が、その凄まじさを物語っています。
林輝彦アナウンサー(15日):「車体の中なんですけど、天井部分がへこんでいるのがわかります。そして、助手席ですとか、運転席の窓ガラスがすべて割れてしまっています」
車内には、乗っていた人のものと見られる血の跡が。倒れた車の近くには、後ろの部分がへこんだ数台の車が置かれていました。
水色の車の持ち主:「車に乗ろうと思ったときに、空に板と木が飛んで行ったので、これはちょっとおかしいと思って、すぐに店の中に入ったからよかったんですけど、その入ったとたんに、車とガラス片がバッと飛んできてぶつかった感じ」
こちらの女性などによると、白い軽ワゴン車が車を止めようとしたところ、突風により飛ばされ、女性の車の後部に衝突したということです。
水色の車の持ち主:「飛んで来た車の中に人が入っていたので、ちょっとそれが心配かなと。意識はあったような感じでしたけど、(車から)出られなそうだったので、レスキューの方に出してもらっていました」
白い軽ワゴン車に乗っていた50代の男性は顔から出血し、病院に搬送されたものの、軽傷でした。
屋根が飛ばされ、窓ガラスが割れ
白木愛奈アナウンサー(15日):「静岡市駿河区大浜街道近くの上空です。屋根がなくなっているのがわかります。その屋根の下の建物の構造が露わになっています。そのはがされた屋根なんですが、道路を挟んで反対側の建物、こちらにまで飛ばされてしまっているのがわかります」
その、すぐ横に立っているこちらのマンション。壁をよく見てみると、風に飛ばされたとみられる木材の破片が突き刺さっています。被害にあった部屋を見せてもらうと…
西尾梓アナウンサー(静岡・駿河区 15日):「こちらですね。かなり広範囲にわたって散らばっていますね」
住人:「こっちのあれ(部屋)までガラスが来ている。ここまで」
西尾アナ:「お部屋をまたいで、さらにもう一つのお部屋まで…」
床一面に広がる、大きなガラスの破片。竜巻は、こちらの窓を突き破り、ガラスを部屋中に散乱させました。女性は突風が来た当時 外に出ていたため、ケガはなかったものの、「もし家にいたら…」と、竜巻への恐ろしさを噛みしめています。
住人:「エレベーターが動いてなかったから、もしかしたら『やばいかな』と思いながら上がってきたもんでね、見て『ああ、やっぱり』って。これだけ散らばっているということは、一瞬で来たんでしょうから、ケガしたかもしれないね」
突風の影響により、駿河区の一部で2170軒が停電。信号は、3色どの色にも光がともっておらず、警察官が交通整理を行うなどをして、対応していました。
静岡市清水区ではマイクロバスが冠水
林輝彦アナウンサー(16日):「午前10時すぎの静岡市清水区です。大粒の雨が降っています。地面を叩きつけるように降っていまして、身体に当たると『少し痛いな』と感じるほどの降り方をしています」
台風7号が遠ざかってからも、県内では中部・東部を中心に、まとまった激しい雨が降った場所も。静岡市清水区では、この雨の影響で、国道1号静清バイパスの下を通るアンダーパスが冠水し、マイクロバスが、道の途中で立ち往生。乗っていた全員は救助され、けが人はいませんでした。
林輝彦アナウンサー(静岡・清水区 16日):「興津川の水は茶色く濁り、川の流れは非常に速いです。また、川が少し落ちたところなんですが、波しぶきのようになっています」
静岡市、富士市、富士宮市では、一時「土砂災害警戒情報」が発表され、40万人余りを対象に、「避難指示」も出されました。
白鳥衛記者(富士市 16日):「けさから強弱を繰り返しながら雨が降り続け、時折奥の様子がわからないほどの激しい雨が降っています。また、こちらの道路、普段は交通量が多いんですが、この大雨で冠水しているため、現在は通行止めとなっています」
この雨で、東名―新東名ともに、県内の一部区間でおよそ12時間通行止めとなるなど、台風は、帰省や旅行をする人たちの予定を、大きく狂わせました。
書き入れ時の台風に観光地は…
小林崇宏ディレクター(熱海市 16日):「午前10時すぎの熱海駅前です。強い日差しが出ていて、商店街では人通りも多くなっています」
東海道新幹線が停車する熱海では、観光客の交通手段にも変化がありました。
東京都から:「今さっき来ました。台風が接近していると思ったんですけど、電車ならそんなに問題ないかなと思って」
東京都から:「15~17日で堂ヶ島(西伊豆町)へ行くはずだったんだけど、通行止めになったりすると嫌だから、電車で来られる熱海に変えた」
お隣、神奈川県から来た観光客は…
神奈川県から:「電車の方が止まる可能性があるから、絶対車かな。どっちにしても車」
今年のお盆の客足について、商店街で聞いてみると。
磯也ひもの店 小林雄人社長:「もっと、(人が)少ないと思っていたんですけど、意外に思ったよりは多い感じですかね。天候が悪いと、アーケードがあるおかげで、逆に結構人が集まるんですよ」
ただ、商店街を行き来するのは、若者やファミリー層が中心。高齢者をメインの客層としているお店にとっては、厳しい面も…。
磯也ひもの店 小林雄人社長:「物販的にはちょっと厳しい部分がありましたかね。飲食の方も、天候(台風)のせいなのか、予約が全然入らなかったんですよね。期待値よりはやっぱりちょっと厳しかったかなというのは、実際の感じでしたね」
一方、若者から人気の洋菓子店でも、“いつもの”お盆期間とはいかなかったようです。
熱海スクエアシュークリーム 山田千歳店長
Q.例年のお盆最終日と比べると?
A.「よりは少ないです。電車(新幹線)の止まる影響で結構(客が)引くのが早かったですね。夕方にはだいぶお客さんが少なくなっていて」
「西」からの予約はほとんどキャンセル
熱海市内の宿泊施設にも、台風による影響が…
味と湯の宿ニューとみよし 富岡篤美代表取締役:「12、13日で新幹線の計画運休が発表されましたので、これに合わせて皆さん諦めてキャンセルということで、お取りやめがかなり多くなりました。特に愛知県以西ですね、西からくる方はほとんどキャンセルになりまして、最終的に14日のお昼ごろに兵庫からくるお客様も「どうしても行きたかったけど、取りやめます」ということでキャンセルになって、静岡から西は、全部取りやめになりました」
台風が来る前は、19日までの予約が満杯の状態でしたが、それが一転。全22室のうち9組が台風などを理由に予約をキャンセルしたといいます。
そんな中、埼玉県から来たという宿泊客は…
埼玉県から:「仮に、(台風が)それなかったとしてもキャンセルはしないで、今回(宿泊するのは)4回目なので、ホテルの部屋でゆっくりさせてもらおうと思っていました」
観光業にとっては、今が書き入れ時。しかし、このお盆期間は、台風に水を差される形となりました。
味と湯の宿ニューとみよし 富岡篤美代表取締役:「この数年間は、新型コロナや熱海の土石流災害などがありまして、夏に夏らしい営業がずっとできなかったものですから、今年の夏は本当に通常通りの夏休みの営業ができると思って意気込んでいたら、お盆にこういうことになりまして、なかなか思うようにいかないんですけれども、これ以降、夏の終わりまで通常通りの営業ができればいいなと思っております」