「こんな巨大施設が地下に…」冠水被害を防ぐ切り札へ  全長2300m・毎秒150トンを海へ 沼津で進む静岡県最大級の放水路建設現場に潜入

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 全国各地で水害が相次ぎましたが、静岡県沼津市では県内最大級の放水路が造られています。その建設現場に潜入しました。

片寄翔太アナウンサー:「沼津市にやってきました。こちらでは県内最大級の放水路の建設が進行中なんだそうです。きょうはその建設現場に潜入してみたいと思います」

今しか見られない巨大インフラの内部へ

 台風や線状降水帯の発生などによって、全国各地で相次ぐ冠水被害。9月、千葉県では印旛沼が決壊するなど関東近郊を中心に大きな被害が出ていて、県内でも、いつ同様の災害が起きてもおかしくはありません。そんな冠水被害を防ぐ治水対策の現場が今まさに建設の真っただ中。建設中の今しか入ることのできない放水路の中へ潜入しました。

片寄アナ:「沼津市にやってきました。こちらでは県内最大級の放水路の建設が進行中なんだそうです。きょうはその建設現場に潜入してみたいと思います」

片寄アナ:「きょうはよろしくお願いします、これ放水路ということですけども?」

静岡県沼津土木事務所 山本剛史課長:「今、放水路自体は建設中だが、一部完成したトンネル構造の放水路があるので、そちらを案内します」

静岡県沼津土木事務所 山本剛史課長
静岡県沼津土木事務所 山本剛史課長

地下に現れた「巨大トンネル」

 現在、建設が進められているのが「沼川新放水路(仮称)」。県内最大級で、完成すると全長2300メートルにも及ぶと言います。

山本剛史課長:「のぞくと奥の方に函体が見えてくる」

片寄アナ:「この2つあるトンネルみたいなものですか?」

 まず目に飛び込んできたのは、「函体(かんたい)」と呼ばれる地下に造られたトンネル。2つ並ぶこのコンクリート製の「函体」が、雨水などを海へと流す「放水路」の本体です。

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入れるのは11月まで

 中に入ってみると…。

片寄アナ:「近くで見ると、かなり大きいのがわかりますね。実際中に入っているとすごい高さありますし、すごく広いのがわかります」

山本剛史課長:「トンネルの先も、今後工事をしていく予定。恐らく11月ごろまでしか入れない」

 高さ4.5メートル、幅はなんと10メートルもある巨大なトンネル。複数に分割して工事を進めていて、この場所だけでも120メートルの長さがあります。

想定しているのは10年に一度の洪水

片寄アナ:「所々にある『計画高水位』とは?」

山本剛史課長:「計画高水位が満水だとあの高さまで水が来る。
その表示」

 10年に一度の規模の洪水を想定して算出した「計画高水位」。仮にこの規模の水がトンネルを流れた場合、水位は、身長168センチの片寄アナの2倍以上となる3.5メートルの水位に達するとしています。この時、海へ流れる水は毎秒150トンにも及びます。

片寄アナ:「そもそもここに放水路を造る理由は?」

山本剛史課長:「上流で高橋川という川があるが、高橋川の流域と沼川の流域で、床上浸水するエリアがかなり広いところがあり、見合った河川断面が既存の河川では確保できていない。水が一気に流れてくると、そこの断面だけでは流れきれない」

片寄アナ:「川から水があふれてしまうということなんですか。なるほど。だから、この放水路で一気に水を流してしまおうということなんですか」

山本剛史課長:「そうですね」

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繰り返されてきた冠水被害

 沼津市から富士市にかけて流れる沼川周辺では、度々、大雨による冠水被害が発生。この地域の土地は、海側が高く、山側が低いことから水が溜まりやすい特殊な地形をしています。そこで、川の水があふれないように、高橋川から駿河湾までを放水路でつなぎ、雨水を海へ直接流す計画です。

山本剛史課長:「今、全国的に線状降水帯やゲリラ豪雨で(雨が)降ってくるので、一応10年に1度の規模の洪水では、床上浸水自体がほぼ解消されるというシミュレーション結果が出ている」

 2017年に着工した工事も今年で10年目。現在、全体のおよそ6割が完成しているということで、ようやく折り返し地点です。

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海岸まで200メートル地点

片寄アナ:「この先の海に向かう部分をこれから建設?」

山本剛史課長:「一部建設しているところもあって、一部完成しているところもある」

 片寄アナが立つこの場所は海岸からおよそ200メートルの地点。11月以降に海岸へ向かって放水路をつないでいく工事が始まる予定です。完成後、放水路を流れる水は、高さ24メートルにもなる巨大な水門で制御されます。

毎秒150トンを放水する巨大出口

 別の場所を案内してもらうと…。

片寄アナ:「ちょっと場所変わって、さらに海の近くになりましたけど、こちらはどんなものなのでしょうか?」

山本剛史課長:「こちらは放水路の出口。ここから水が出てくる、この両方の穴から水が出てくる」

片寄アナ:「既に完成している?」

山本剛史課長:「もう既にこちらは完成しています」

 雨水などを海へ放出するための出口部分は既に完成。この2つの出口から毎秒最大150トンもの水が放水されるわけです。

片寄アナ:「わ、かなり深いですね」

山本剛史課長:「最終的には、この矢板も撤去して、下まで土をとってしまう形になるので、全て水が出てくる」

片寄アナ:「この放水路の出口は、私が見ているのは一部でもっともっと大きな出口になるんですね」

 出口部分の高さは、先ほど案内された放水路のおよそ2倍、8.4メートルにもなります。建設が着々と進められている沼川新放水路(仮称)。沼川から海岸までの下流は2028年度に開通し、4年後の2032年度には全体が開通する予定です。

 県内最大級となる放水路は、沼津市西部の冠水対策の切り札となるのでしょうか?

静岡県沼津土木事務所 山本剛史課長:「幸いなことに、沼津はそれほど今回、被害はあまり聞かれなかったので一安心だが、あすは我が身かなと思っている。1日も早く、被害が少なくなるような、地域の住民に安心して暮らしてもらえる施設になれば」

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