【リニア】山梨・長崎知事が静岡県に『ご立腹』…「一言の連絡もない」 「空港新駅」案にJR社長は否定的 /今週の静岡
山梨県にとって「寝耳に水」
こう話すのは、山梨県の長崎幸太郎知事。長崎知事が怒りをあらわにしたのは、先週、静岡県がJR東海に提出したリニア新幹線の工事に関する文書について。現在、リニア沿線地域では各地で工事が進められていますが、静岡工区では大井川の水が減る恐れがあることなどから県が工事の着工を認めていません。
現状、南アルプストンネルの掘削は、山梨県側から静岡県側に向かって掘られていて、県境のおよそ1キロ手前まで進んでいます。そのため、静岡県はこのまま工事が進めば、本来、大井川に流れるはずの水が山梨県側に流出する可能性があるとして、どの場所で工事を止めるのか決める必要があると、JR東海に協議を求めました。ただ、この話は山梨県にとって、まさに「寝耳に水」でした。
山梨県 長崎幸太郎知事(17日):「われわれ山梨県にひと言の連絡も無く、仮にそういうことを本当に言っていたんだとすると、それは遺憾以外の何物でもないと思います」
静岡県との関係はどうなるのでしょうか。
JR社長「言われるような懸念は生じていない」
リニア新幹線、南アルプストンネルの山梨工区の掘削工事について、静岡県がJR東海に工事を止める議論をはじめるよう求めたことで、山梨県知事は苦言を呈しました。
山梨県 長崎幸太郎知事(17日):「少なくともひと言、こういうことを言うのは、もちろん静岡の考えだと、それはそれで結構なんですけれども、本県に関する話について、われわれ山梨県にひと言の連絡も無く、仮にそういうことを本当に言っていたんだとすると、それは遺憾以外の何物でもないと思います。行政のやり方の問題として、大変残念に思います」
ひどく“ご立腹”な様子の長崎知事。JR東海はこの話をどのように受け止めているのでしょうか。
JR東海 金子慎社長(20日):「山梨県側からこのトンネル掘ってるわけですね。静岡の県境から約1kmぐらいのところを、今掘削している。現在のところトンネル用水はほとんどないという状態。ですから言われるような懸念が今、生じていることはない」
長崎知事「空港新駅」案には前向き
一方、リニア新幹線をめぐっては最近、静岡県の川勝平太知事からこんな話が…。
静岡県 川勝平太知事(11日):「静岡空港、あれは富士山静岡空港と言っているが、実際に山梨県の方たちもたくさん利用していただいたし、行っているし、また山梨県に行くお客さんもいるんでね。もう富士山空港でいいと。富士山山梨空港と言ってもらってもいいと思うが、要するに共有しているものであるから、そういう意味で中部横断自動車道ができたので、山梨県知事あるいは山梨県民にとっても、あの空港は非常にこの可能性を強く強く意識して、ああいう(静岡空港新幹線駅)発言になったのではと。ありがたいことだと思っております」
これまでも度々、静岡空港に東海道新幹線の新駅を造ることを提案してきた川勝知事。山梨県の長崎知事がこの「空港新駅案」について前向きな姿勢を示していることについて、先週の会見で言及していました。
川勝知事の発言に応える形で今週、山梨県の長崎知事は「空港新駅」について、静岡県や山梨県などの沿線都府県が加盟する「リニア建設促進期成同盟会」で議論を進める考えを示しました
山梨県 長崎幸太郎知事(17日):「リニア全通、リニア開通後の望ましい高速交通体系を考えていく上で、東海道新幹線がどういう位置づけになるのか、どう位置付るべきなのか。静岡空港のところに東海道新幹線の駅ができるということは、これは静岡県の皆さんにとってはもちろんのこと、東京から名古屋、大阪に至るまで、沿線各県共通の利益になる可能性があると思って、考えておりますので、これを期成同盟会としての意見として、国にぶつけていけるように、我々としてはしっかり頑張っていきたいと思います」
「空港新駅」案にJR社長は「難しい」
再び、話題に浮上してきた「空港新駅案」。実現の可能性はあるのでしょうか、JR東海の金子社長は、20日の会見で…。
JR東海 金子慎社長(20日):「静岡空港っていうのは、静岡と掛川の間、特に掛川から15キロぐらいのところに空港があって、ずいぶん駅間が短い駅を計画されてということなので、スピードの問題でも、あるいはダイヤの構成の問題でも、難しいところがあって駅を作ることは難しいと考えています」
Q.そういった中で、山梨県の長崎知事も議論をしていきたいということを発言したことに対しては?
A.「これは期成同盟会の中での検討として今、長崎山梨県知事がおっしゃっているということで、まだ私どもとしては、具体的なこういう働きかけがあるわけでもないので、また今後の話だというふうに思う」