河野行革担当大臣「ハンコなくしたい」発言にハンコ店は「食べていけない」「困った」 静岡市
「ハンコをすぐなくしたい。ただハンコを押したという事実が必要なケースは、すぐにでもなくしてしまいたい」
河野大臣の発言に、110年以上の歴史がある、静岡市のハンコ店からは、不安の声が聞かれました。
栗田印房 栗田詩朗店長:「もう驚きしかないですね。印鑑制度がなくなってしまうと、職人はやることがなくなってしまう。ハンコというのは、みなさんの分身であって財産を守ったりするものなんだけれども、それがなくなってしまうのが心配です。ずっと今まで使われてきているというのは、それなりの理由があって、同じものが2個とできないんです」
ただ、デジタル化やペーパーレス化の時代の流れの中で、既にハンコの需要は低迷した状況にあるといいます。
Q.ハンコの売れ行きってどうなんでしょうか?
「うーん、ない。給付金を貰うために身分証明的なことで、印鑑登録する方がちょいちょいいましたけれども、もうだんだんなくなってきて、普通の大きい会社もハンコ自体を使わなくなってきている節があるので、本当に仕事がなくなってきてます。
ゴム印とかはあるかもしれないけど、それだと食べていけないから…。どうしようもないけど困ったなぁ!」
こちらは、静岡市の本通りに店を構える、創業90年以上のハンコ店です。
立石印舗 速水雅子さん:「ハンコを事務的に使うのは手間がかかるからやめようという気風が出ていた。だから、そうなるのかなという感じはしていました。だけど、今までハンコに携わってきた者としては、ハンコが全然なくなるっていうことは、日本の伝統的文化がなくなることですから、すごく寂しいですよね。ハンコが守る自分の権利をないがしろにする考えもあるから、そういうのを、もう一度考えていただきたいと思います」
自民党の「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」、通称「ハンコ議連」の会長代行を務める静岡7区の城内実衆議院議員は…。
Q 河野大臣の発言についてはどう感じる?
城内氏:「ハンコを全くなくすっていうのは、ちょっと乱暴な議論でありまして、ハンコのせいでリモートワークができないと悪者にされていますけど、そうじゃなくて、その不必要な紙の決済をなくせばいいわけですし、例えば実印が押してある場合と押してない場合とだったら、信ぴょう性とか真実性を争った場合には当然、実印を押してある方が強いわけですよね。デジタルというのは改ざんしやすいですし、情報漏洩やハッキングの被害にあいやすいですし、どうしても紙が必要だというお年寄りもまだいるわけですから、デジタルが苦手な人が生きづらい世の中になっていいんでしょうか。どんどんデジタル化するとこはデジタル化していいと思うんですけど、ハンコやサインなど選択肢も、やっぱり残すべきだと思います」