静岡市葵区の山間部の盛り土、その規模は熱海市伊豆山の5倍以上…なぜ、盛り土は造成し続けられたのか、今後の行政対応は?
「静岡市の中心部から車で1時間ほど。国道362号を山間部の方に上がってきました。このあたりは標高800m。杉尾地区と言ってここは展望台になっている。あちらには雄大な景色が広がっている。ただここには、およそ2ヘクタールにも及ぶ盛り土がされていることがわかった。その場所がこちら急な斜面、木々の向こう側にあります」
静岡市「杉尾地区」に盛り土
静岡市葵区の山間部に位置する「杉尾地区」に造成された盛り土。
近くの休憩所の管理人が、土を運び入れている様子を見ていました。
休憩所の管理人:
「週に3~4日くらいは結構大きなダンプカーが通っていた。1日に3・4回は通っていた。おととしの5月くらいからはあった」
実際に案内してもらうと…
伊地健治アナウンサー:
「歩いてすぐに盛り土があります。私の身長よりも高くて2メートル以上高さがある」
休憩所の管理人:
「ありますね。3~3.5メートルくらいあるんじゃないですかね。おととしの7・8月が匂いがすごかった」
Qどんな匂い?
「腐敗臭がすごくて、腐ったような匂いがすごくてハエもかなり出た。土砂を持ってきて埋めているというよりは産業廃棄物を持ってきて埋めているんだろうなという認識だった」
盛り土の造成はなぜ続けられたか
県によると、盛り土を造成した業者は、静岡市内の事業者です。
盛土はおよそ1.9ヘクタールと推定されていて、事業者による造成は2018年ごろから始まったとみられるということです。
県は2019年2月に口頭で行政指導を行ったところ、業者は「検討する」と回答。
しかし土砂の搬入は止まらず、おととしの1月まで続きました。
なぜ造成は続けられたのでしょうか。
県の担当者は-。
県河川砂防管理課 鍋田航平課長:
「今回の件が発覚してから、県としても事業者に対して指導を行って是正するように指導を行ってきたが、なかなかその指導に応じてもらえず、このような状況・状態になってしまっている」
現在は業者の出入りはないといいますが杉尾地区は、土砂災害警戒区域に指定されていることもあり、管理人の不安は消えません。
休憩所の管理人:
「休憩所をやっている手前、休みに来てくれた方に危険が及ぶとなるとすごく怖い。大雨が降れば崩れてこないかというのは心配になるし、その心配材料の一つになっていると考えるとあまり褒められたことではないと思う」
さらに、付近にはより大規模な「盛り土」が…
静岡市の山間部で問題となっている、盛り土。
葵区杉尾地区に隣接する日向地区にも造成されています。
面積はおよそ6ヘクタールで、杉尾地区の3倍以上です。
上空からの映像を見ると、盛り土の近くに建物があることが分かります。
県は2005年に住民からの通報を受け、盛り土の存在を把握。
2006年に事業者に口頭での注意や、文書で指導しましたが、事業者は「自分の土地に土砂を捨てているだけ」と応じなかったということです。
県は、強制力のある土砂の撤去命令を出さず、少なくとも、おととし1月まで、土砂の搬入が続いたとみられます
日向地区の盛り土も、杉尾地区と同じ事業者が介入していて、土地の所有者も、事業者名義です。
2つの地区の盛り土は、おととし、甚大な土砂災害を引き起こした熱海市の伊豆山に造成された盛り土の5倍以上で、県が確認している県内の盛り土の中で最も規模が大きいということです。
県 河川砂防管理課 鍋田航平課長:
「砂防指定地において無許可で盛り土されると、その盛り土が崩れて流出する恐れがあるので、今年度、県も現地を測量するなど調査をしていって、今後はそれを踏まえた形で適切な是正指導を行っていきたいと考えている」
警察は、県の砂防指定地管理条例違反などの疑いがあるとして、先週、現場検証を行い、県と連携して調べる方針です。