富士山 山小屋に泊まらず一気に頂上まで登りすぐに下山する“弾丸登山”の危険性

富士山ですが今年はコロナ禍の行動制限も緩和され大勢の登山客の入山が見込まれます。その一方で危惧されているのが弾丸登山です。

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富士山 山小屋に泊まらず一気に頂上まで登りすぐに下山する“弾丸登山”の危険性

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「登録が決定いたしました~ みなさんおめでとうございます~」

「午後5時28分、富士山の世界遺産登録が決定しました。富士宮市役所内、大きな拍手、そして歓声に包まれています。」

画像1: 富士山 山小屋に泊まらず一気に頂上まで登りすぐに下山する“弾丸登山”の危険性

川勝知事:
「日本の宝物が公式に、正式に、世界の人類の共有財産になるという瞬間をしっかり見届けたので、県民の皆様にご報告申し上げたい」

 2013年6月22日、富士山の世界文化遺産登録に、喜びを語る川勝知事。

 それから、きょうで10年となりました。

 「信仰の対象と芸術の源泉」と評価された富士山。

 国内だけでなく、世界からも多くの登山客を集めています。

 静岡県側では来月10日に開山しますが、20日5合目から6合目の冬季閉鎖は解除されました。

 早速、富士山登山道「富士宮ルート」では、多くの登山客の姿が…。

画像2: 富士山 山小屋に泊まらず一気に頂上まで登りすぐに下山する“弾丸登山”の危険性

富士宮ルート 21日

画像1: 富士宮ルート 21日

登山者(函南町):
「本格的な登山シーズンは混むから、その前に登ろうと思っています」

登山者(東京):
「まだ頂上まで登ったことが無いですけど、今年こそはぜひ登ってみて、これから富士山の魅力を探していきたい」

画像2: 富士宮ルート 21日

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行して、
初めての夏の登山シーズン。
富士山の世界文化遺産登録から10年を迎え、観光需要も高まる中、
登山ルートにある山小屋では、宿泊予約が殺到しています。

画像3: 富士宮ルート 21日

六合目雲海荘 渡辺尚俊代表:
「ゴールデンウイーク頃から今月の中旬ぐらいまで、問い合わせや予約が殺到しました。週末が多いですね。あとはお盆の時期」

こう話すのは、富士宮ルートで山小屋を営む「雲海荘」の渡辺代表。

 コロナ禍前の2019年と比べても2~3割多く予約が入っている状況です。

 特に、海外からの人気も高く、
韓国からのツアー予約が多くなっているということです。

 取材の最中にも…。

「プルルルルーン(電話の音)ごめんなさい。」

「もしもしお電話かわりましたけど、はい、8月の10日から8月の14日ですね。ええ、大丈夫ですね。はい、わかりました。じゃあ、お願いいたします。はい、ありがとうございます。」

 富士山の山小屋に宿泊する人は、早朝に山頂で ご来光を見る人が多く、登山スケジュールの中間点である八合目前後の山小屋に予約が集中するといいます。

画像4: 富士宮ルート 21日

 ところが、今年は登山を予定している人が多く、八合目前後の山小屋の予約は取りにくい状況。

 そのため、六合目にある山小屋にも予約客が流れてきているということです。

 富士山には合わせて4つの登山道があり、合わせて40軒ほどの山小屋がありますが、登山者の急増で特に週末などは宿泊したくても宿泊できない可能性が出てきています。

そこで懸念されているのが・・・

「弾丸登山」。

画像5: 富士宮ルート 21日

吉田町立図書館 22日午前10時

写真家 植田めぐみさん:
「弾丸登山。夜出発してそのまま夜通し歩き続けて、ご来光を見るために登る方が多いが、やはり夜どうしても視界が悪かったりだとか、夏でも静岡(市内)の真冬ぐらいの気温が低い中、歩くことになりますので、体力の消耗が非常に激しい。通常の登山より、かなり危険性が増します」

画像1: 吉田町立図書館 22日午前10時

 山小屋に泊まらず、一気に富士山の頂上まで登り、すぐに下山する“弾丸登山”。

 その危険性を語るのは、吉田町出身の写真家・植田めぐみさん。

 植田さんは、富士山の美しい景色に魅了され、10年以上、富士山頂からの写真を撮り続けています。

画像2: 吉田町立図書館 22日午前10時

 毎年夏は、富士山頂で住み込みで働いていて、今年も来月7日から9月上旬まで、頂上の神社で働きながら、富士山の情報発信をする予定です。

写真家 植田めぐみさん:
「富士山というとSNSで調べてもガイドブックとか見てもきれいなご来光だったりだとか、すごく見渡しのいい景色だったりだとか、ただ良いイメージだけで登られてしまうと、いざ雨が降ったりだとか、視界が悪くなった時に対応できなくなるので、十分な装備をしていないままですと、その変化に対応できないまま、きれいなイメージだけですと危険な登山になってしまうかなと」

画像3: 吉田町立図書館 22日午前10時

 美しい富士山だけではなく、危険な顔をみせる富士山も知り尽くしている植田さん。

 さらにここ数年、強く感じていることがあるといいます。

写真家 植田めぐみさん:
「決して頂上に行くことだけを目標にして欲しくなくて。とにかく安全に、無事にけがもなく下山することが富士登山だと思って、富士登山をして欲しい。」

 世界文化遺産に登録されたこともあり、人気の山となっている富士山。

画像4: 吉田町立図書館 22日午前10時

 中には、日帰りで登山する人や、軽装で登ってしまう人もいるといいます。

写真家 植田めぐみ さん:
「山を知らないのであれば山小屋さん、キャンセルが出ていないか、空きがあるんじゃないかとかちゃんと確認して計画を立ててから登って欲しいと思います」

画像5: 吉田町立図書館 22日午前10時

まもなく、登山シーズンが始まる富士山。
7月1日に山梨県側の吉田ルートが、7月10日には、静岡県側の3つのルートが開通します。