【2021年静岡】2年目のコロナ禍…新規感染最多は675人 夜の街も閑散と 自社用PCR検査センター設置する会社も 静岡県
コロナ禍2年目 印象的な出来事は―
静岡市民 30代:「娘が今年1月に生まれた。立ち会い出産ができなくて、マスクを着用しながらの出産だったので大変だったが、無事に生まれてきてくれたので良かった」
静岡市民 60代:「やっぱりコロナが当たり前になっちゃった。オリンピックはコロナでもやるんだという感じ。やってみたらやっぱりそれなりに良かったのかなと思う。日本の選手もすごく活躍できたし」
菊川市民 20代:「ワクチンを2回打ったこと。2回目のときにすごく副反応が出て、すごくしんどかった」
2月 ワクチン接種スタート 静岡市では混乱も
コロナ禍2年目となった2021年。去年とは大きく異なるのがワクチンです。
2月、静岡県内でも医療従事者から新型コロナワクチンの接種がスタート。4月下旬には県内トップを切って、森町で一般高齢者向けの接種が始まりました。
そうした中、混乱を見せたのが静岡市です。
静岡市 田辺信宏市長(6月4日):「ワクチンの接種予約受け付けを、一時的に停止を余儀なくしたことにお詫びします。申し訳ありませんでした」
見通しの甘さから確保した枠を上回る予約が殺到し、一時停止に追い込まれました。
ブレークスルー感染で病院や高齢者施設でクラスターが相次ぐ
一方、ワクチンを2回接種した人が感染する、いわゆるブレークスルー感染によって、病院や高齢者施設ではクラスターが相次ぎました。
「手の消毒をしましょう。手を出して(消毒液たらす)。(手こする)ありがとうございます」
ここは静岡市駿河区にある高齢者入所施設。およそ50人の高齢者が入所し、共同生活を送っています。昼食の時間、アクリル板越しに顔を合わせるのもすっかり日常となりました。
プレミアムハートライフ小鹿公園前 小林弘樹施設長:「警戒レベルが下がって、でもまた上がってで、面会のスタイルも変わったり、戻ったりというのがあったので、やっぱり現場としては大変な部分はあった。その都度『今はこういう状況だから、こうしましょう』と言って、皆さん協力して一生懸命やってくれたという感じです」
県内の感染状況が悪化していた時期は窓越しやオンラインでの面会に制限。感染が落ち着いたことで、10月から対面での面会を段階的に再開したそうです。
小林弘樹施設長:「利用者がワクチン接種2回済んでいる状態で、3回目を打つ、打たないという話が出てきているので、より安全対策をしてお客さんの安全、職員の安全を守っていきたいと思います」
自社用のPCR検査センターも
このホームを運営するのは福祉サービスを手がける「アクタガワ」。県内で25の高齢者施設を運営、感染対策の司令塔を担うのが静岡市にある本社です。
アクタガワホールディングス 塚本泰彦常務
「こちらがうちのモニターになるんですが、ご覧のように各施設の共有部分が映っていまして、アクリル板の状況ですとか、こちらで把握できます」
そして、こちらの部屋では…。
アクタガワホールディングス 塚本泰彦常務
「検体がクーラーボックスで届きますので、それをこちらで受け付けます」
奥へ進むと、防護服を着たスタッフが。
ここは、自社専用のPCR検査センターです。
アクタガワホールディングス 塚本泰彦常務
「たまたま弊社では独立した会議室を持っていたので、そこにPCR検査センターを設置して、本社の管理本部が中心となって運営しています」
設置したのは今年9月。決め手は静岡県にこれまでで最大の感染拡大をもたらした第5波でした。
アクタガワホールディングス 塚本泰彦常務
「第5波のときに検査を外部の機関にお願いしていたが、だんだん検査センターの予約が取れなくなってきて、検査の結果が2日も3日もかかってしまうと対策が遅れてしまうので、自社で検査センターを設立して、検体さえあれば最短60分で結果が出るようにということで準備しました」
ここでは1日最大で50人分の検査が可能。感染が落ち着いている現在はワクチンを打っていない利用者や職員のほか、認知症などでマスク着用が難しい利用者らを2週間に1回検査して陰性を確認しているということです。
アルファ株で国内初の市中感染を静岡県で確認
思い返せば、今年は第3波の感染拡大から始まりました。そのさなかでした。
静岡県疾病対策課 後藤幹生課長(当時)
「県内で確認された英国等の渡航歴のない新型コロナウイルス患者3人から英国由来の変異種が検出された」
静岡県内の3人がイギリス由来のアルファ株に感染していたことが判明。
感染経路は不明で、国内で初めての市中感染を確認したケースとされています。
その後、春から夏にかけて静岡県を含む全国で広がりを見せたのが、インドで大流行したデルタ株です。
8月19日には最多の675人の新規感染者が
7月には1年の延期を経て、東京オリンピックが開幕。
首都圏などほとんどの会場は無観客でしたが、静岡県では一定の条件のもとで、観客を入れて開催されました。
しかし、その間にも感染は急速に広がっていきます。
8月19日には静岡県として、過去最多675人の新規感染者を確認。
このころ、静岡市でも1日に150人の感染が発表され、過去最多となりました。
菅義偉総理大臣(当時):「緊急事態宣言の対象地域に茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、京都府、兵庫県、福岡県を追加する」
静岡県 川勝平太知事:「これまでにない最大の危機を迎えている。このままだと、医療提供体制が崩壊しかねません」
静岡県全体の病床使用率は8月下旬にこれまでで最も高い73.1%に達し、医療体制はきわめてひっ迫した状況となりました。
現在、県内の病床使用率は1%前後、きわめて落ち着いた状況が続いています。
飲食店も休業…夜の街は閑散と
そして、緊急事態宣言によって大きな影響を受けたのが飲食店です。多くの店が休業し、夜の街は閑散としました。
忘年会シーズンを迎えた現在の様子は―
活気にあふれる店内。こちらはJR静岡駅前にある居酒屋です。この日は午後5時すぎから続々と客が入ると、1時間後には早くも満席に。
女性店員
「やっとこのにぎわいを取り戻した感じがして、すごくやりがいがあって楽しいです」
去年は数件しか入らなかったという忘年会の予約も、今年は…。
海ぼうず本店 高橋明輝店長
「もちろん20人30人とかの大宴会とかはないが、10名様や5名様以上の宴会も普通に(予約が)入っているという形です。緊急事態宣言で店を休業せざるを得ない時期もあったり、暇な時もあれば、本当にすごく忙しいときもあるという振り回された1年でしたね」
取材中にも次々と予約の電話が。居酒屋としての日常を取り戻しつつあることに喜びを感じているようです。
海ぼうず本店 高橋明輝店長:「居酒屋っていうのは1日の疲れた体、気持ちをリフレッシュして、あすもまた頑張るぞっていうところだと思っているので、安心してお客さんにまた飲みに来てもらえるような環境づくりを進めていきたいですね」