【熱海市土石流災害】被災から2年2カ月警戒区域解除「復旧復興の大きな節目、一里塚」

おととし7月に起きた熱海土石流災害。その後も安全確保のため立ち入りが制限されていた伊豆山地区の警戒区域が解除され、被災者がそれぞれの自宅の整理に訪れました。

画像1: 【熱海市土石流災害】被災から2年2カ月警戒区域解除「復旧復興の大きな節目、一里塚」

林輝彦アナウンサー:
「午前9時です。熱海市の斉藤市長が警戒区域のロープを解除しました。およそ2年ぶりに伊豆山地区の住民は自由に入ることができます」

 おととし7月、熱海市伊豆山で発生した大規模な土石流災害。

 災害後、伊豆山の一部地域は、安全確保の面から警戒区域に指定され、100世帯180人が避難生活を送っていました。

画像2: 【熱海市土石流災害】被災から2年2カ月警戒区域解除「復旧復興の大きな節目、一里塚」

熱海市 斉藤栄市長:
「警戒区域の解除は今後の被災エリアの復旧復興の大きな節目、一里塚だと考えている。被災者、住民の声を聞きながら復旧復興を一歩一歩前に進めていきたい」

 崩落が発生した起点部分に残った土砂は、8月26日県の行政代執行により撤去が完了しましたが、まだ災害の爪痕が残っているままの場所も…。

林輝彦アナウンサー:
「警戒区域は解除になったが、まだ人の背丈を超えるほど、土のうが積まれている場所が複数ある。またこちらの瓦礫はシートに覆われているし、その隣の住宅は扉や窓が壊れてベニヤ板で補強されたまま」

小磯和雄さん(81)

画像1: 小磯和雄さん(81)

小磯和雄さん(81):
「ようやく待ちに待った(警戒区域の)解除ができて、本当にうれしい。」

あさって自宅へ戻る予定の、小磯和雄さん(81)です。

 小磯さんの自宅は土石流に流されることはありませんでした。

 それでも被害がなかったわけではありません。

小磯和雄さん(81)
「ここは全部、整理した。」

Q.ここはどういった状況だった?

「床が浮き上がっていたり、この辺はカビだらけ。これもカビだらけ、これも全部清掃した。」

 これまでも一時的に区域内に入ることはできましたが、

 それも1カ月に3日間だけ。

 家はずっと閉められていたため、湿気などで床が浮き上がってしまい、台所は取り替えることになってしまいました。

画像2: 小磯和雄さん(81)

白鳥衛記者:
「小磯さんの自宅では現在業者による浄化槽の点検作業が行われています。水に問題がないかこれから確認するということで、少しずつ復旧作業が進んでいます。」

 小磯さんの家は、すでに水道や電気といったライフラインが復旧しています。

 1日は3日の引っ越しに向け、水道の点検を行いました。

小磯和雄さん(81)
「私は一年半くらい眠れない時があった。(病院で)薬をもらったりして今までもずっときているが、ようやくこれで眠れそう。ようやく・・・。本当に待ちに待った警戒区域内の解除。大変うれしいです。」

後藤光雄さん(77)

 久々に自宅へ入った、後藤光雄さん77歳です。

画像1: 後藤光雄さん(77)

被災者 後藤光雄さん(77):
「一度こうしてきちんと帰りたかったんですけど、やっと自由に(家に)入れて懐かしく感じている」

 発災当日、母親を背負って命からがら避難した後藤さん。

 土石流は後藤さんの家のすぐ前を流れ、危機一髪で難を逃れました。

後藤光雄さん(77)
「これが私の家です。僕の家の前です。下が土石流のあった場所です」

画像2: 後藤光雄さん(77)

 あれからおよそ2年と2カ月。

 後藤さんは現在、熱海市内の市営住宅で避難生活をしています。

後藤光雄さん(77)
「ここに帰ってきても上の方の人はみんな家がなくなって(周りに)誰も住んでいない。だからここにきても私ひとりだけになる。来ても寂しい」

 周辺に住民が住んでいないことに加え、

 後藤さんの家は水道や電気などのライフラインが復旧していないため、今は帰りたくても帰れない状況です。

画像3: 後藤光雄さん(77)

 ただ、いつかはこの場所に戻りたいという思いはあります。

後藤光雄さん(77)
「私もここへきて市の方もいろいろ一生懸命やっていただいて、ここまで帰れた。今の住まいにも住ませていただいて感謝している。またここに帰ってきて生活を始めようと思っている」

小松昭一さん(91)、小磯栄一さん(75)

小松昭一さんの家では・・・。

小松昭一さん(91)
「土砂で2年も入ってないから戸も何も汚れちゃってすごいですね」

 小松さんは、1日の警戒区域解除に伴い、9月15日に引っ越しを予定していました。

 ところが、ある問題で、月末に引っ越しの予定を変更せざるを得なくなりました。

Q:小松さん、電気は?

画像1: 小松昭一さん(91)、小磯栄一さん(75)

小松昭一さん(91)
「つかない。この通り、つかない」

Q:まだ電気は通じていない?

「電気が通じるのはいつになるか分からない。今の時点では。」

 市は警戒区域内の電気、水道、ガスの復旧を進めていて、居住可能な住宅46棟のうち32棟は、1日までに復旧させましたが小松さんの家は電気工事が間に合っていませんでした。

画像2: 小松昭一さん(91)、小磯栄一さん(75)

小松昭一さん(91)
「まだ電気の復旧工事が終わっていないので、そう簡単には喜べないですど、家に帰れたら、この住み慣れた土地で、余生を私たち夫婦と共に、90歳を過ぎているので、ですから静かに楽しく生活をしたいなと思っている。」

 小松さんの近く小磯栄一さんの自宅は、既に電気が復旧しています。

小磯栄一さん(75) 

 ただ、2年という月日で新たに修復が必要な箇所も出てきたといいます。

Q:これからどんな作業を?

画像3: 小松昭一さん(91)、小磯栄一さん(75)

小磯栄一さん(75)
「床の張替え、2枚、2部屋。ていうのはいない間に雨漏りしちゃったんですよ、ベランダから。家も古いから溢れちゃって。で、伝わって電気のところに来てしまったので、漏電が一番心配だったので、それはクリアしたから。電気繋いだからこっちはもう作業できるので、今週あたりから大工さんとか防水をするとか、ベランダに屋根を付けようと思って」

 帰宅が可能となっても、住める状況になるまでには、まだまだ時間がかかり、引っ越しは10月になりそうだということです。

小磯栄一さん(75) 
「本当は早く帰りたいんだけど、ちょっとなかなか難しいよ。家内は帰りたくないって言ってるし、現場が見えちゃうから。あそこアパートのところが、帰りたくないって。」

画像4: 小松昭一さん(91)、小磯栄一さん(75)

 現在の避難者数は、100世帯、180人。
そのうち41世帯、82人が帰還する意向を持っていて、年度内には19世帯39人が、生活を再開する予定です。