【信用調査会社に密着】全国7番目に多い静岡県のコロナ倒産 申請2万5000件、支給完了は200件…懸念される協力金支給の遅れ

 静岡県などに発令されていた緊急事態宣言が解除されて1週間が経過しました。経済活動も徐々に再開し始めていますが…。

倒産情報あれば現地に足を運び

画像: 倒産情報あれば現地に足を運び

帝国データバンク 竹岸隆浩さん:「すでにシャッターが閉まっていて、特に張り紙等はないようですね…」

 この日、県内のある企業を訪ねていたのは、帝国データバンク静岡支店で働く竹岸隆浩さん。行っていたのは企業の倒産調査です。

帝国データバンク 竹岸隆浩さん:「手前どもの会員企業から、こちらの会社が事業を停止したんじゃないかという一報がありまして、それできょう現地の方に来ています」

静岡県のコロナ関連の倒産が多い理由は

画像: 静岡県のコロナ関連の倒産が多い理由は

 帝国データバンクによりますと、県内で新型コロナウイルスの影響を受けて倒産した企業は、これまでに84件(10月4日時点)。これは全国で7番目に多い件数です。負債総額はおよそ288億円に上るといいます。

帝国データバンク 竹岸隆浩さん:「静岡県は(元から)飲食店とか水産が盛んですので、食品の製造会社や卸業とかそういう会社が非常に多くありまして、今回のコロナが直撃している。(倒産企業84件のうち)42件、半分の会社が飲食店とか食品の関係会社です」

申請は2万5000件 支給完了は200件 懸念される協力金の支給の遅れ

画像: 申請は2万5000件 支給完了は200件 懸念される協力金の支給の遅れ

 現在の倒産状況は、以前に比べ落ち着きを取り戻しているといいますが、この状況は長く続かないとみています。

帝国データバンク 竹岸隆浩さん:「もともとコロナ前に業績が悪かった会社は、恐らくコロナの初めのころに倒産をして、倒産件数が増えたんですが、その後は、金融支援など補助金の手当てなどがあって、割と資金繰りが落ち着いていて、倒産件数が落ち着いている状態です。今はお金を返さないので、なんとか回っていますが、お金を返す時には、やはりまた倒産が増えていく」

 こうした企業の資金繰りを一層圧迫しているのが、協力金の支給の遅れです。県によりますと、緊急事態宣言などに伴う飲食店などへの協力金の申請件数は、6日時点で延べ2万5000件ほどに上りますが、支給が完了したのは多くても200件ほどにとどまっています。

 協力金は売上高に応じて支給されるため、申請書類の確認作業に時間がかかっているということです。

帝国データバンク 竹岸隆浩さん:「(去年)6月が借り入れのピークを迎えたと、私どもはいろんな取材で確認ができている。もし一年間据え置きだとすると(今年)6月から返済が開始されている。この後どうなるかな不安の方が大きいですね」

倒産情報ある企業周辺でも聞き込み

 帝国データバンク。東京に本社を持ち、その歴史は古く、1900年創業。企業と企業が取引する際に、取引相手のことを知るために行う信用調査を行ってきました。

 調査を、「取材」という竹岸さん。倒産情報がある企業の近所にも丹念に聞き込みをします。

企業の近くで働く女性
「聞いた話によると2、3日前から閉まっているようなことを近所に住んでいる方がそんな話をしていた」

帝国データバンク 竹岸隆浩さん
「すみません、突然お邪魔して申し訳ありませんでした」

ディレクター
この時点ではコロナ倒産とはいえない?

帝国データバンク 竹岸隆浩さん
「そうですね、まだわからない。今そこが閉まっているのがはっきりして、きょうではなくて数日前から閉まっているということが分かっただけ。休業しているのか、どうされているのか、そういったところも裏取りがまだとれていませんので、今の現状だとそういう状態です」

「代表の方から言質をとる。もしくは弁護士の方から言質をとるということを原則として、はっきり確認できたものをコロナ倒産ということで位置づけています」

 倒産情報を正確に伝えることは、経済をつないでいく意味をもつと語ってくれました。

帝国データバンク 竹岸隆浩さん:「いろんな形で倒産情報が使われている側面はあるかと。その会社が倒産したことによって従業員の方も路頭に迷ってしまうので、そういう経験のある方を他の会社が雇われるとか、あそこ倒産したならうちが新規でそこと取引ができるのではないかという形で経済活動をつないでいく目的もありますので」

 (10月8日放送)