「悪天候」「多量の土砂」「急な坂」に悩まされた捜索現場の2週間…いまだ14人が行方不明 静岡・熱海市の土石流災害

 静岡県熱海市で7月3日に発生した大規模な土石流。多くの住宅をのみ込み、海にまで達しました。18日正午現在で、16人の死亡が確認され、14人の行方が分かっていません。静岡朝日テレビの林輝彦アナウンサーは発災直後に現地入りし、取材を続けています。被災地の2週間を振り返ります。

画像1: 「悪天候」「多量の土砂」「急な坂」に悩まされた捜索現場の2週間…いまだ14人が行方不明 静岡・熱海市の土石流災害
画像2: 「悪天候」「多量の土砂」「急な坂」に悩まされた捜索現場の2週間…いまだ14人が行方不明 静岡・熱海市の土石流災害

 土石流の起点から1.5キロ以上海側に下ったところにいます。私が今立っているのは国道135号。そして、その先にあるのは国道にかかる逢初橋です。現在は道路上の土砂は、ほとんど撤去されているんですが、まだ道路の脇にはがれきが大量に残っています。そのため行方がわからない方の捜索と同時にがれきの撤去が行われています。

「悪天候」「土砂の量が多い」「急な坂」

 私が初日から2週間取材して、警察、消防、自衛隊の皆さんのお話の中で良く出てきた話が3つあります。一つ目は「天候が悪いこと」二つ目は「土砂の量が多いこと」3つ目は「坂が急であること」この3つでした。

雨に悩まされ、暑さとの戦いも続く

画像1: 雨に悩まされ、暑さとの戦いも続く

 まず、一つ目の天候に関しては、発災初日から7日目ごろまでは、1日を通して断続的に雨が降っている状態でした。雨足が強まったり、弱まったりを繰り返しました。霧のような小雨が降ったかと思えば、急に大粒の雨が地面を激しく打ち付けるように降ったりしました。そのため雨と霧のようなものが混ざり、時にはあたりが真っ白になって先が全く見えないといった状況もありました。

画像2: 雨に悩まされ、暑さとの戦いも続く

 そして、発災から4日目ごろまでは、雨が降っている影響で蒸し暑さを感じたんですが、その後は気温が30度を超えるような日もあり、晴れ間も出るようになりました。強い日差しが地面に降り注ぎ、肌に日差しが当たると痛いと感じるほどの時もありました。そのため捜索隊員の皆さんは、最初の頃はジメジメとした暑さとの戦いだったんですが、その後は強い日差し、30度を超える気温もありました。うだるような暑さとの戦いが今も続いています。

画像3: 雨に悩まされ、暑さとの戦いも続く

 捜索隊員たちは、がれきなどでけがをしないように長袖の作業着を着ています。さらに、ある自衛隊員は装備などを含めると着ているものだけで10kgはあると語っていました。厳しい暑さの中での重装備は想像を絶します。コロナ禍です。マスクもつけています。口元でマスクをパタパタとさせて息を整えている姿もありました。

土砂に埋まって抜けない足

画像: 土砂に埋まって抜けない足

 そして2つ目の土砂の量についてです。発災から7日目くらいまでは、雨が振り続いていました。そのため土砂はかなり水分量が多く、足場が悪い状況が続きました。足が土砂の中に埋まってしまい抜けなくなったり、滑らせている様子がありました。土石流の中腹部は水が流れている所が多く、土砂と水をリレー方式で下流に掻き出し、足場を確保するといった様子もありました。

 そして、現場経験が豊富な自衛隊員は盛り土の話が出る前に、今回の現場は土砂の量が明らかに多すぎる。この多すぎる土砂の量が行方がわからない方の捜索活動を難航させます。発災初日からそして、今も土砂の中に行方がわからない方がいる可能性を考え重機を使わずに手作業で捜索活動、そして土砂や瓦礫の撤去作業を行なっています。ここ数日から重機が入るようになりましたが、それまでは重機をほとんど使わずに行っていました。横1列になって捜索隊員たちが土砂の中を一歩ずつ進んでいる様子は捜索活動の難しさを物語っている様子でした。

 そして、捜索活動が何回も中断される場面もありました。起点付近で小さな崩落があったり、住民から崩落があったと通報が入ったり、土砂の量が捜索活動を難航させたと話している自衛隊員を数多く見ました。

急な坂で重機が入れない場所も

画像: 急な坂で重機が入れない場所も

 そして最後3つ目の急な坂です。熱海は急な坂が多い土地柄です。斜面に沿って建物も並んでいます。土砂の量が多いということもありますけれども、急な坂が多いため重機が入れないといった姿もよく見かけました。坂が急な為、土砂が水に流れて海側に下っている様子を確認しました。警察、消防、自衛隊の車両がブレーキランプを赤く光らせながらゆっくりと坂を下っているそして大きなエンジン音を立てながら車両が昇っていく様子がありました。    (7月17日放送)