藤井六冠のおやつ「ぼくたち8人兄弟クッキー」…3カ月後も反響続く ただ深刻な悩みが…解決策は「今日の負傷者」? 静岡市
藤井六冠がおやつに選び…電話が鳴りっぱなしに
CAT&BAKES9456 永田愛店長(16日):「反響がかなり大きい。早い時だと午前中、お昼過ぎには売り切れてしまうことが多い」
こう話すのは、静岡市葵区のパン屋 「CAT&BAKES9456」(キャットアンドベイクスグシコロ)の永田店長。店内にはネコをモチーフにしたパンや焼き菓子などが多く並べられています。こちらの店で今、反響が大きい商品というのが…。
4月、静岡市で行われた将棋のタイトル選。藤井聡太六冠と渡辺明名人との対局に注目が集まりましたが、今ではおなじみとなった、藤井六冠が選ぶ「おやつ」にも熱い視線が送られていました。名人戦第2局、2日目の午前中のおやつに、藤井聡太六冠が選んだのが、「ぼくたち8人兄弟クッキー」。
このクッキーを販売している店が「CAT&BAKES9456」なんです。かわいいネコが描かれた一口サイズのクッキーに問い合わせが殺到。当時、取材中にも電話が鳴りっぱなしの状態でした。あれからおよそ3週間が経ちましたが、現在はどうなっているのでしょうか。
購入制限を設けるほどの「藤井フィーバー」続く
CAT&BAKES9456 永田愛店長:「県外からもかなり多くのお客様にご来店いただいて、開店前から行列ができるような状態がずっと続いていて、焼いてる回数が今までは週に1、2回、一度にたくさん焼いていたが、それをいま毎日焼いても追いつかないという状態なので、かなり多く生産している」
今でも毎日のように問い合わせがあり、早い時には午前中に売り切れてしまう日も。ただクッキーは全て手作業で焼いているため、これまで以上に数は作っているものの、それでも生産が追いつかない状態が今も続いていると言います。あまりの売れ行きに現在は1人1個までと購入制限を設けるほど、「藤井フィーバー」が続いています。
CAT&BAKES9456 永田愛店長:「「ぼくたち8人兄弟クッキー」を目当てで来られた方が多いと思うが、猫好きの方が他の商品も見られて「わー、みんな猫だ」と言って皆さん、かなりの点数を買ってくださって、他の商品もたくさん売れている感じです」
材料費の相次ぐ値上げに…
藤井六冠で注目された「8人兄弟」。ただ、この「ネコ兄弟」たちは今、深刻な状況に直面しています。
CAT&BAKES9456 永田愛店長:「毎週、毎週どこかしら、何かしらの値上げがある状態がずっと続いていて、1カ月で何も値上げがない月っていうのはまずないという状態。小麦粉、あと油脂全般、卵。全般的にほとんど全ての材料が値上がりしている状態。ざっくりだが、大体1年間で1.5倍ぐらいにはなっているなという感覚」
パンやクッキーを作るのに欠かせない小麦を始め、卵や油などの原材料高騰が止まりません。こちらの店では、1カ月に小麦粉をおよそ900kg、卵は500個近く使っていて、少しの値上がりでも大きな痛手となるといいます。
CAT&BAKES9456 永田愛店長:「かなり苦しい状態ではあるが、うちも何度も値上げするというわけにはいかないので、今のところは頑張って削れるところは削って、値上げをしないようにしているが、ちょっとあまりにも値上げが多いので、今後はどうするか未定だが考えている」
「今日(きょう)の負傷者」を安く提供
また原材料だけではなく、パンを包む袋の価格や、さらに電気代の高騰も追い打ちをかけているといいます。そんな中、こちらの店でも“ある工夫”をしています。
CAT&BAKES9456 永田愛店長:「廃棄になってしまうようなパンをロスを減らす努力をしていて、その一環で、ちょっと形の悪い商品を値引きして販売している」
製造過程で割れてしまったり、形が崩れてしまった“ネコのパンやラスク”たち。こうしたものを「今日(きょう)の負傷者」として、お客さんに手に取ってもらう工夫をしています。
可愛らしい見た目を生かして、逆転の発想で廃棄ロスをなくす取り組み。SNSでも大きな反響がありました。
「心なしかしょんぼりしているように見えて可愛いですね!」
「こんな子たちを見つけたら、きっと引き取っておうちに持って帰るだろうな」
CAT&BAKES9456 永田愛店長:「特にラスクだと、焼いている間に反ってしまったり、ひびが入ったりで、一定数、割れや欠けがどうしても出てしまう時があるので、そういうものは廃棄にせずに負傷者として販売させてもらっている」
注目を集める人気店でさえも頭を悩ませている「原材料費の高騰」。「8人兄弟」のネコたちも、今後の動向を心配しています。