土石流災害から2年 被災現場近で追悼式 被災者から「怒り」や「不安」の声も 静岡・熱海市
28人が犠牲に
おととし7月3日、熱海市伊豆山の逢初川の源頭部に違法に造成された盛り土が崩れ、関連死を含め、28人が犠牲となった土石流災害から、3日で2年となりました。
静岡・熱海市 斉藤栄市長:「今般の土石流は穏やかな日々を突然に奪い去り、伊豆山地区に甚大な爪痕を残しました。本市では9月1日に予定している警戒区域の解除に向けて、復旧・復興事業を進めていく」
静岡県 川勝平太知事:「県といたしましては、熱海市と共に被災者の方々の生活再建と伊豆山地区の復興に全力で取り組むとともに、このような痛ましい災害が二度と起こることのないよう、県を挙げて命を守る安全な地域づくりを推進していく」
3日午前、被災現場近くの伊豆山小学校では、追悼式が開かれ、熱海市の斉藤市長や川勝知事、そして遺族らおよそ70人が参列しました。
遺族らの怒りや不安は募るばかり
災害発生から2年。行政に対する、遺族らの怒りや不安は募るばかりです。
母を亡くした太田朋晃さん:「今の現状がこんなで、安らかに眠ってくださいって言われたって眠れない。我々のいた場所を安心して住める場所に早く復旧・復興してもらいたい。他のところで同じような災害が起こらないように、この地で二度と起こらないように、そこだけは自分の信念を曲げないように、行政にも訴えていきたいと思う」
妻を亡くした田中公一さん:「復旧、見ていただいた通り、あまり進んでいませんよね。やっぱりその辺が遺族としては腹立たしい」
被災地では9月に警戒区域が解除される予定ですが、住宅復旧の支援策をめぐっては、議論が続いています。
熱海市 斉藤栄市長:「遺族の皆様には本当に無念のことだと思います。心から犠牲になられた方のご冥福をお祈りしたいと思います。そして、市としてこれからやるべきことを全力でやることが、我々に課された使命だと思っている」
川勝知事:「無念さが消えません。2年前の7月3日、土砂の崩壊をもたらした。28名の方が犠牲となった。多くの方が命を失った。誠にもって申し訳ない。今は亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに、遺族の方がなるべく早く生活の再建ができるように全力を講じたい」
事務方:それでは知事への囲みを終わりたいと思います。
遺族が知事に直談判
太田朋晃さんが知事の前へ…
母を亡くした太田朋晃さん:「すみません。私は太田和子の長男の朋晃と申します。色々ありがとうございました。支援していただいて。本当に助かりました。今日までこれています。ただ、私は母がなぜ亡くならなければいけなかったのか、この真実が知りたい。真実が分かった上で、あの地が安全で安心して住める場所に、そういうふうに復旧してもらいたいと思っています。ぜひよろしくお願いします」
川勝知事:「お約束します。本当に残念でございました」
そして、消防に最初に通報があった午前10時28分に合わせ…。
熱海市 午前10時28分 「黙とうのサイレン」
遺族らは、災害現場に向かい黙とうをささげ、犠牲者を悼みました。
被災者が交流を持つ場「あいぞめ珈琲店」
林輝彦アナウンサー:「土石流が流れ下った逢初橋のすぐ近くにある、あいぞめ珈琲店に来ています。こちらは去年4月にオープンし被災者が交流を持つ場となっています。2年が経つ中でどんな思いを感じているのでしょうか」
土石流災害で自らの弁当店が被災した高橋一美さんらが、伊豆山の人たちが寄り添える場所を作りたいと、クラウドファンディングで資金を集め、開店した「あいぞめ珈琲店」。10時28分の黙とう後、被災者が集まり、集会を開きました。
災害から2年。復興への思いを聞くと…。
高橋一美さん:「みんなもっと早い形で、行政なり工事なり復興というものを期待していたんじゃないかと思う。寄り添って、寄り添ってと行政の方は言っていたが、僕ら住民たちは誰に寄り添っていたのか、どこと寄り添っていたのかが、いまだに不明だし、誰の声を聴いて前に進んでいたのか、そこがいまだにわからない。人それぞれの声を聴いて寄り添っていかないと、復興はありえない」