【袴田事件】弁護団も感極まって…涙の記者会見 東京高検は特別抗告を断念…静岡地裁で再審へ

 1966年旧清水市で一家4人が殺害された袴田事件で、東京高検は特別抗告を断念したことが分かりました。これで静岡地裁で再審が開かれることになりました。

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【袴田事件】弁護団も感極まって…涙の記者会見 東京高検は特別抗告を断念…静岡地裁で再審へ

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会見直前に検察官から連絡が「特別抗告しない」

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袴田事件弁護団事務局長 小川秀世弁護士:「先ほど午後4時29分、検事からお電話頂き、特別抗告をしないというお話を頂きました。私は何て答えたかというと、ありがとうございますと」

 弁護団は午後4時半から会見を開き、検察から特別抗告をしない方針だという連絡を受けたことを明かしました。

西嶋勝彦弁護団長:「(東京高裁の)決定が、あれほど詳細に検察官の論点を1つ1つ判断して成り立たないことを懇切丁寧に説明していますから、刑訴法のいう特別抗告の理由には全く当たらない」

袴田事件弁護団事務局長 小川秀世弁護士:「僕はただ、袴田さんを早く無罪にしてやりたいというのが第一。袴田さんが無罪にならないと、無罪の判決を袴田さんに聞かせないと、ひで子さんが言っているように本当の生活に戻れないじゃないですか、それが僕は第一だと思っています」

姉ひで子さん「巌さんに『安心しなもう大丈夫だよって言った』」

画像: 姉ひで子さん「巌さんに『安心しなもう大丈夫だよって言った』」

 吉報を受けた、袴田巌さんの姉・ひで子さんは。

姉・ひで子さん:「今回の検察が(特別抗告を)断念したことに敬意を表します。本当によくぞ決断してくれたと思います。本当にありがとう。ありがとうの言葉しかないけど、もう嬉しくて、ありがとうの言葉しかございません。ちょうど抗告断念のニュースが入った時に巌が帰ってきたんです。この際だと思って思い切り言いました。あんたの言う通りになったよって、安心しなもう大丈夫だよって言ったんです」

支援者らが特別抗告しないよう訴え

袴田ひで子さん (90) (浜松市 19日):「がんばって、がんばって、がんばってきたんです私は。それで57年という歳月が知らない間に過ぎました。私も90歳でございます。もうこの辺で、一区切りつけてもらいたいと思っておりましたが、その一区切りがつくのかと思っています…」

 1966年、旧清水市で一家4人を殺害したとして死刑が確定し、無実を訴える袴田巌さんについて、13日、東京高裁は再審開始を認める決定を出しました。ただ、東京高検がこの決定を不服として、最高裁に特別抗告することも一時検討していました。20日も、弁護団や支援者からは特別抗告をしないよう求める動きがありました。

画像: 支援者らが特別抗告しないよう訴え

支援者(弁護士会館前 都内 20日正午ごろ):「裁判所から証拠が捏造だったと厳しく批判された検察が、それを不服として最高裁に特別抗告をする。とんでもありません」

 午後1時ごろには、支援者らが東京高検に特別抗告の断念を求める要請書を提出。さらに…。

支援者らの座り込み
「検察は特別抗告をするな」

 支援者らは東京高検の前で座り込み、およそ3時間にわたり抗議をしました。

袴田さんはテレビを見たり散歩したり普段と変わらぬ様子

 一方、浜松市内の袴田巌さんの自宅では…。

袴田巌さんとひで子さん(浜松市 20日朝)
ひで子さん「きょうどこ行く?」
袴田巌さん「蒲田駅」
ひで子さん「蒲田行くの」

画像: 提供:袴田さん支援クラブ

提供:袴田さん支援クラブ

 20日朝、袴田さんは自宅でセンバツ高校野球をテレビ観戦したあと、普段と変わらぬ様子で、日課の散歩に出かけたということです。東京高検が20日の日付が変わるまでに特別抗告をしなければ、静岡地裁でやり直し裁判が行われることになります。一方、特別抗告をすれば、再審を開始するかどうか、再び最高裁で審理されることになります。東京高検の判断次第で、事件の行方が大きく左右する中、19日、浜松市内では、袴田巌さんの支援者集会が開かれ、およそ160人が参加しました。

袴田ひで子さん (浜松市 19日):「巌には『再審開始になったで安心しな』『もう何にも心配いらないよ』と言った。そしたら、 (巌は) 少しわかっているような様子です。弁護士をはじめ支援者の皆さまのおかげ。本当にありがとうございます。がんばってまいります」

 一方、弁護団の角替清美弁護士は「特別抗告は時間の無駄」と、検察の動きをけん制しました。

弁護団 角替清美弁護士(19日):「この特別抗告ですけど、弁護士の業界では判例違反と憲法違反の理由は、普通はないのが常識。だけど、無罪を主張している方は、理由があろうがなかろうがこじつけてやりますよ、当たり前ですよね、無罪なんだから。だけど検察官はそんなことすべきじゃない。あわよくば『ワンチャンあるかも』と思って特別抗告をしようと考えているかもしれない」

 検察の特別抗告について、ひで子さんは。

袴田ひで子さん(19日):「それは出てみなきゃわからん。出るか出ないかまだわからんから。出たときは出たとき」

「特別抗告断念」に感極まって…

 そして20日午後4時半ごろ、検察の特別抗告断念の報が入りました。

画像: 「特別抗告断念」に感極まって…

弁護団 小川秀世事務局長(20日午後4時半過ぎ):「本当にうれしかったものですから。今ひで子さんにも電話した。ひで子さんは『検察官はえらい』とおっしゃっていた。やっぱり同じ気持ちだったと思う」

袴田ひで子さん:「皆さんありがとうございます。再審開始になりまして、検察も特別抗告を断念したようです。本当にありがとうございます。57年間、60年近くになったが、本当にこんなにうれしいことはありません。57年(の苦労)も吹っ飛びました」