災害対応のノウハウを広島の災害ボランティアから学ぶ中学生・静岡市
小玉さん(敬渡君を指導):
「ぞうきんで拭いたら(カビが)舞うので1回エタノールで拭いて」
浸水被害を受けた住宅のボランティアによる修復作業。
静岡市の中学生を指導する小玉幸浩さん。広島から支援に入っている技術系の災害ボランティアです。
「気を付けてくぎ!」
中学生ボランティア 千代敬渡君(静岡市立末広中学2年):
(近くで小玉さんの作業見て?)「かっこいいです」
小玉さんは広島県の災害ボランティア団体「コミサポひろしま」の代表を務めています。
先月上旬に静岡入りし、1か月近く休みなしで活動しています。
団体を立ち上げるきっかけになったのが8年前の広島土砂災害です。
集中豪雨で大規模な土砂崩れが発生し、74人が死亡、4700棟以上の家屋が被害を受けました。
広島に住む小玉さんは、地元の力になりたいと仲間とボランティア活動を始めました。
その後、2016年の熊本地震を始め、全国各地の被災地に入り技術系のボランティアとして活躍してきました。
コミサポひろしま代表小玉幸浩さん:
「全国から来てもらっている恩返しをしていこうという感じで(全国を)回るようになった」
全国各地を走り回っているという車を見せてもらうと・・・
「すごい びっしりですね機材が」「どういうものが入っている?」「災害支援が全部できるかなって感じですかね」
活動資金は一般の寄付や様々な財団からの助成金などでまかなっています。
災害対応のノウハウを伝えていくことが大きな使命
災害対応のノウハウを全国のボランティアに伝えていくことも団体の大きな使命だといいます。
静岡市葵区災害ボランティアセンターサテライトリーダー 桜井康詞さん:
「危険も伴ったり専門的な技術も必要なところを対応してもらっているので大変ありがたい。ボランティアは最初家財の撤去や泥かきが多かったが、(小玉さんと)一緒に活動することによって、技術も活動も良くなっている」
その一人が静岡市立末広中学校2年の千代敬渡君(14)です。
先月中旬、父に誘われて初めてボランティアに参加しました。
小玉さんに教えてもらった工具などを使った本格的な作業にやりがいを感じ休みの度に通うようになり、きのうが5度目。
すっかり 師匠と弟子のようです。
小玉さん:
「日々顔つきが変わっている。大人っぽくなっている」
電動のこぎりの使い方について指導を受けてから、床上浸水で濡れた壁をはがすために、ていねいにのこぎりの刃を入れていきます。
小玉さん:
「まっすぐ入っている。(小玉さんの弟子ですか?)将来コミサポに入るらしい」
中学生ボランティア千代敬渡君(静岡市立末広中学2年):
「最初は(刃が)深くまで行かなかったけど小玉さんに教わっていけたので良かった」
災害ボランティアの想いを全国の若い力に
きのう作業した住宅は床上70センチ近くまで浸水。
壁をはがしてみると、断熱材はかびてしまっていました。
「こんな状態です」「はいはいカビが・・・」
ボランティアセンターによりますと、こうした状況に気付かない被災住宅が増えているといいます。
浸水被害を受けた島津敦さん:
「もう1か月経っているあんなに裏にカビが生えている。外から分からないんで、助かりますよ本当に」
床下の消毒や乾燥、壁をはがして湿った断熱材を取り出すなど、業者が修理に入る直前の段階までを、一つの家屋につき4日ほどかけて作業していくそうです。
小玉さん:
「自分たちは外部支援者なので去っていく地元の人が育ってくれないと難しいことになるので。敬渡のような若い子が育ってくれればいい」
千代敬渡君:
「学ぶのも楽しいしコミサポと活動できるのも楽しい」
「自分が行ける限りはいろいろな災害に行きたい」
広島や全国の被災地で培ってきた小玉さんのノウハウと想いが少しずつ若い力に受け継がれているようです。