台風の爪痕残る「静岡茶発祥の地」…800年の歴史を次世代へ 静岡市

 茶農家にとって大切な新茶シーズンを迎えていますが、去年の台風15号で被災した静岡市足久保地区の茶畑は、復旧の見通しが立っていないところもあります。茶農家の取り組みを取材しました。

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台風の爪痕残る「静岡茶発祥の地」…800年の歴史を次世代へ 静岡市

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「静岡茶発祥の地」

画像1: 「静岡茶発祥の地」

 静岡市葵区の茶畑では3日、お茶摘み体験が行われました。県内外の子どもから大人までおよそ50人が、新芽を丁寧に摘み取っていきました。

静岡市から9歳:「楽しいです。すごくいい匂いです」

神奈川県から40代:「お茶の始まるところから知ってみたいなと思って、まずはお茶摘み体験をと思って、横浜からきました」

画像2: 「静岡茶発祥の地」

 山間の鮮やかな萌黄色。この茶畑が広がるのは、静岡市の市街地から車で30分ほどの、足久保地区です。ここは「静岡茶発祥の地」とも言われ、至る所で茶葉が育まれています。

茶畑襲った台風…半年以上たっても再開のめど立たず

画像1: 茶畑襲った台風…半年以上たっても再開のめど立たず

 しかし去年9月。

 台風15号による、これまでにないような大雨が茶畑を襲いました。用水路が溢れ、水や土砂が茶畑の中へ川のように流れ込みました。

足久保ティーワークス 中山雅之さん:「冗談でしょって感じですよね。何とかできるようになったところで、この様ですので、今までの苦労がほとんど水の泡になってしまいました」

 収穫に向け、茶葉を4年かけて栽培していた最中でした。

 お茶を育てていたのは、農協、「足久保ティーワークス」で理事を務める茶農家の中山雅之さんです。この場所で栽培を続けるには、土砂や流木を取り除き、苗を植え直さなければならないため、いまだ再開の目途は経っていないといいます。

足久保ティーワークス 中山雅之さん:「残土処理代がかなり上がってしまって、全部の土砂を捨てるのに1千数百万かかるそう、個人負担が約2割で。なるべく早い復旧を願っております」

画像2: 茶畑襲った台風…半年以上たっても再開のめど立たず

 この辺りでは30軒以上の農家が被災しました。中山さんの畑にように、復旧の目途が経っていない畑がいくつもあるといいます。そんな状況でも、一歩ずつ前へ。

 「足久保ティーワークス」は、今できることをと、手を取り合い新茶シーズンを迎えました。

製茶工場にカフェを併設

画像1: 製茶工場にカフェを併設

 ここは「足久保ティーワークス」が経営する、製茶工場に併設されたカフェです。摘みたての茶葉や、お茶を使用したテイクアウト用のドリンクなどを売っています。今月からかき氷の販売も始めました。

静岡市から 40代:「いま見る限り、復興の早さだったり、地元の人がショップを出して還元されているのを見ると、すごく有難いし、また何度でもきたいなと思います」

 若い人にもお茶を好きになってもらおうと、和紅茶の販売にも力をいれています。

画像2: 製茶工場にカフェを併設

足久保ティーワークス 石川茜さん:「(台風被害を)乗り越えながらも、とにかくお茶に興味を持って、ここに足を運んでほしいと思いますので、取り組みを色々行っていければと思います」

 この日は収穫の激励にと、難波市長も訪れました。

静岡市 難波喬司市長:「(県内の茶産業は)限界状態になっているんですよね、いままでの延長線上でやっても持続できないので、本気で考えなければいけない。(市が)一緒に考えて同じ方向でいけば、必ず結果は出せると思います」

「800年の煎茶の歴史を守り、次世代へ」

 県内では、茶農家の高齢化で生産量が減少し、茶の産出額は1992年の862億円をピークに低迷。おととしは268億円と、ピーク時の3分の1以下に減っています。

 足久保ティーワークスの組合長は、お茶を守り続けるため、さらに新しいファンを増やしていきたいと話します。

画像: 「800年の煎茶の歴史を守り、次世代へ」

吉本邦広組合長:「足久保は800年くらいの煎茶の歴史があるんですよ。歴史を守りながら、次の世代に繋げていきたい。色んなところ、日本だけではなく世界へ、そういったところまでお茶のファンが広がればありがたいなってところで、全国、もしくは世界に向けて発信したいなと思っています」